364日が生んだワンプレー「言われることだけやってても…」 23歳が“勝手な判断”をした理由

鈴木唯はオーストラリア戦で1年ぶりに出場を果たした
日本代表は6月7日、2026年北中米ワールドカップ(W杯)アジア最終予選・インドネシア戦に向けて、大阪府内でトレーニングを行った。5日のオーストラリア戦(0-1)では右のシャドーでフル出場したMF鈴木唯人(フライブルク)は「自分は自分の特徴で、他の選手と違った特徴があると思っているので、次のインドネシア戦もそうですし、代表活動していくなかで自分はこうっていうプレーを見せていくしかないと思ってます」と意気込んだ。
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オーストラリア戦でその特徴を発揮した“ワンプレー”があった。前半28分、DF町田浩樹の縦パスを中盤左サイドに位置取ってボールを引き出すと、ドリブルを開始。ペナルティーエリア付近までボールを約40メートル運び、パスの選択肢もあったなか、シュートを選択。「コースも見えていたんで、数的優位でしたけど、左から来ていた俵積田くんもちょっと遠かったんで、自分で打った方が最適解かなと思いました」。右足で巻いたシュートはうまく当たらずにゴール右に外れたが、持ち味を発揮したシーンだった。
右シャドーにも関わらず、なぜ左サイドにいたのか。「鎌田選手が左サイドに落ちることによって、あそこのスペースが空くっていうのは最初の方からわかっていたので、あそこで数的優位ができるんじゃないかと。自分も右の方で落ちて組み立てろということは求められていましたけど、それだけじゃなくても大丈夫かなと。自分の勝手な判断で向こうに行ってあのシーンは作れたので。そこはバランスかなと思いますけど」と明かした。
この試合はオーストラリアが守備的に来たことで、日本はボールは持てるものの、崩すことに苦労していた。「単純にチームで求められている形というものだけではやっぱり崩しきれないのもわかっていましたし、あれだけ引かれた相手に対してだと、言われていることだけやっていても何も生まれないと思っていたので。なるべく(DFとMFの)ライン間で待って、何かを起こしたいなと思っていた」と狙いを語った。
今回が日本代表では2試合目。デビュー戦はほぼ1年前の2024年6月6日、アウェーで行われたW杯2次予選・ミャンマー戦だった。後半開始から出場したが「あの時は少し積極的になってしまっていた部分もあるのかなと思います」と振り返ったように、爪痕を残せなかった。
だがあれから1年。今シーズンはデンマーク1部ブレンビーIFで公式戦38試合に出場して12ゴール6アシストを記録。オフ・ザ・ボールの動きに磨きをかけてきた。その活躍が認められ、来季はドイツ1部のSCフライブルクでプレーすることが決まった。「新しいチームに行きますけど、そこでしっかりと活躍した姿を見せれば、(代表でも)チャンスがより広がっていくのかなと思います」と言い切った。1年ぶりの出場で成長の跡を見せた23歳が、森保ジャパンでもポジションを掴みにいく。
(FOOTBALL ZONE編集部・井上信太郎 / Shintaro Inoue)