中盤に現れた“超逸材”…6月の森保ジャパンに推薦する11人 欧州で覚醒中のアタッカーも抜擢

7月の東アジアE-1選手権も見据えて“国内組”からも選出
“森保ジャパン”は3月シリーズのバーレーン戦で、3試合を残して2026年の北中米W杯の出場が決定。その後サウジアラビアには0-0で引き分けたが、すでに最終予選の首位通過も確定しており、6月シリーズでは大幅なメンバー入れ替えも予想される。もちろん、本大会の抽選で良いポットに入るために2連勝が求められるシリーズではあるが、本大会に向けた仕上げの1年間のスタートとも言える機会に、森保一監督はどういった選手を招集するのか。
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一部の選手は“国内組”がベースとなる7月のE-1選手権との連結も意識しながら、最終予選に未招集の有力選手から、筆者の推奨メンバーをベスト11形式で選んでみた。なお6月14日(日本時間15日)に開幕するクラブワールドカップに出場する浦和レッズの選手、また同大会に参加するオーストリア1部のザルツブルク移籍が決定的と報じられる北野颯太(セレッソ大阪)は対象外とした。
GKは早川友基(鹿島アントラーズ)だ。J1の首位を走る鹿島を最後方から力強く支えており、度重なるビッグセーブはもちろん、カバーリング、ハイボールの処理、時にビッグチャンスをもたらすロングフィードなど、代表基準でも申し分ない。E-1選手権での招集にも期待はかかるが、前倒しで6月シリーズに呼ばれてもおかしくはない。そのほか、パリ五輪を戦った“第一次・大岩ジャパン”の正GKで、ベルギーで経験を積んだ小久保玲央ブライアン(シント=トロイデン)も、現在の守護神である鈴木彩艶(パルマ)の対抗馬になりうるポテンシャルを買って招集される可能性もある。サプライズがあるとすればW杯開催地のMLSで活躍する高丘陽平(バンクーバー)か。
3バックは中野就斗(サンフレッチェ広島)、安藤智哉(アビスパ福岡)、角田涼太朗(コルトレイク)の3人を選んだ。中野は攻撃的なキャラクターでありながら、並外れた身体能力とスピードを生かした守備でもハイパフォーマンスを見せる。右ウイングバックもこなせるポリヴァレントな能力は3-4-2-1の可変システムをベースとする“森保ジャパン”のスタイルにもマッチしている。安藤は代表基準で粗削りなところもあるが、圧倒的な高さやデュエルなど、ポテンシャルに疑いの余地がない。J3からキャリアをスタートした叩き上げのタレントで、すでに26歳だが、代表経験を通じてさらに成長する可能性がある。
角田は貴重な左利きのセンターバックであり、2023年にA代表初招集されたが、怪我で辞退した経緯もある。横浜F・マリノスからイングランドのカーディフに完全移籍。期限付きで移籍したベルギーのコルトレイクでは絶対的な主力として奮闘したが、2部降格が確定してしまった。所有元のカーディフもリーグ1(英3部に相当)降格が決まった中で、今後の去就は気になるが、角田自身は町田浩樹(サンジロワーズ)や伊藤洋輝(バイエルン)の招集を見送る場合、ここで加えておきたい選手だ。
ウイングバックは毎熊晟矢(AZアルクマール)と森下龍矢(レギア・ワルシャワ)を選んだ。すでに“森保ジャパン”の経験を持つ両翼だが、毎熊は昨年1月のアジア杯を最後に1年半遠ざかっているが、セレッソ大阪に所属していた当時より力強さが増した。シーズン後半戦に欠場が続いていたが、最終盤に復調をアピールしている。サイドバックの選手ではあるが、元々の本職はアタッカーで、“森保ジャパン”でも右サイドハーフを経験済み。攻撃的なウイングバックとしても適応できそうだ。
森下はポーランドの名門でサイドアタッカーとして覚醒し、公式戦で14得点14アシストを記録。欧州カンファレンスリーグでもベスト8進出に大きく貢献した。準々決勝で対戦したプレミアリーグのチェルシーを相手に爆発的な活躍ができなかったが、スペイン代表DFククレジャとのマッチアップなどで得たものは大きいだろう。現在の“森保ジャパン”では3-4-2-1の左右ウイングバック、2シャドーのポリバレントとして再評価されそうだ。

1トップにはベルギーでも印象的な活躍を見せている坂本を抜擢
ボランチは“国内組”から山本悠樹(川崎フロンターレ)と熊坂光希(柏レイソル)を選んだ。山本は正確なボール捌きと視野の広さがスペシャルで、二、三手先を読んだ組み立てなど、中盤から攻撃にクオリティを加えることができる。守備面に明確な課題が見られたが、長谷部茂利監督のもとで改善が見られる。ACLエリートで、国際舞台でも通用することを示しているのも大きい。大学選抜を除き、世代別も含めて日の丸に縁はないが、現在の“森保ジャパン”にいないタイプとしてテストしてほしいタレントだ。
熊坂は待望の大型ボランチで、ボールを奪う能力と長短のパスをハイレベルに揃えた逸材。大卒2年目だが、現在のJリーグでは卓越した存在で、遠藤航(リバプール)、守田英正(スポルティング)、田中碧(リーズ)に続く4番手に割って入るポテンシャルはあると見る。中盤は“欧州組”にもタレントが多い。ドイツでブレイク中の佐野海舟(マインツ)をはじめ、ベルギーで奮闘する伊藤敦樹(ヘント)、新天地のイングランドで覚醒した岩田智輝(バーミンガム)などの代表復帰も十分にありうる。
2シャドーは鈴木唯人(フライブルク)と奥川雅也(京都サンガ)のセットに。鈴木はデンマーク1部ブレンビーで11得点3アシストの大活躍。1シーズンにしてドイツの強豪にステップアップを果たした。高強度でもブレない技術を武器に、ファイナルサードで違いを作り出すことができる。昨年の6月シリーズで二次予選のミャンマー戦に出場しており、招集されれば1年ぶりとなるが、確かな成長をアピールして、最激戦区のシャドーに割って入れるか。元“欧州組”の奥川は帰ってきた京都で、創造的なフィニッシュワークと強度の高い守備の両面で存在感を出しており、スタメンでもジョーカーでも稼働できる柔軟性も魅力だ。
そのほか佐野航大(NECナイメヘン)は究極的なポリヴァレントで、シャドーだけでなくボランチ、ウイングバックでハイレベルな働きが期待できる。奥川の同僚である原大智(京都サンガ)も1トップとシャドー、3トップならウイングもこなせる大型FWとして抜擢される可能性がある。
1トップは国内外にポテンシャルの高いタレントがいる中でも、欧州での充実ぶりが目をひく坂本一彩(ウェステルロー)を抜擢したい。昨シーズンはガンバ大阪で10得点を記録するなどブレイクを果たすと、欧州初挑戦となったベルギーリーグでも、半年間で6得点をあげるなど存在感あるプレーを見せた。173cmと大柄ではないが、裏抜けのセンスが抜群であるだけでなく、鋭い仕掛けからのフィニッシュもある。守備のスイッチとしても期待できるだけに、主力に怪我人がいる前線でチャンスを得る権利は十分にあるだろう。

河治良幸
かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。