香川真司へ「やりきって」 U-18で過酷体験…先輩からの願い「レジェンドだと思いますが」

青山隼氏がかつてのチームメイトでもある香川真司にエールを送った【写真:FOOTBALL ZONE編集部 】
青山隼氏がかつてのチームメイトでもある香川真司にエールを送った【写真:FOOTBALL ZONE編集部 】

「SHOW-WA」の青山隼氏の1学年下に香川真司がいた

 歌手グループ「SHOW-WA」の一員である青山隼氏は、2006年から2015年までJリーグで活躍したサッカー選手だった。宮城県出身の青山氏は、元日本代表MF香川真司も育ったFCみやぎバルセロナジュニアユースから、名古屋グランパスエイトU-18に加入。U-17年代から日本代表にも選出され、2007年にはカナダで開催されたFIFA U-20ワールドカップ(W杯)でも3試合フル出場している。香川や元日本代表DF内田篤人氏、同DF槙野智章氏、同MF柏木陽介氏らを擁した「調子乗り世代」の一員だった。(取材・文=河合拓/全5回の4回目)

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 青山氏はFCみやぎバルセロナジュニアユースで、1歳下の香川ともすでにチームメイトになっていた。その後、ドイツ1部ボルシア・ドルトムントやイングランド1部マンチェスター・ユナイテッドでも活躍した香川だが、中学生時代はどんな少年だったのか。

「体が小さかったので、やっぱりボールタッチとかは上手かったですけど、どちらかというと技術があってかわすのも上手いけれど、潰されるっていう印象ですね。僕が名古屋に行ってからの中学3年の時から高校1年になってから爆発的に成長したのだと思います。ただ、ボールを持った瞬間にも顔が上がっていて、ボールの置き所が良い選手だったことは、よく覚えています」

 香川が一気にブレークしたのは、2005年8月に行われた仙台カップ国際ユースサッカー大会(U-18)の時だった。この大会に青山氏はU-18日本代表の一員として出場し、香川はU-18東北選抜でプレーした。そして、青山氏のいたU-18日本代表はU-18東北選抜に2-5の敗戦を喫している。この試合、香川は3アシストを記録してチームの勝利の立役者となった。そして、この大会後からは香川は同じくU-18東北選抜にいたMF遠藤康氏(元鹿島、仙台)とともにU-18日本代表に招集されるようになったのだ。

若くしてヨーロッパで活躍をした香川真司【写真:IMAGO / Team 2】
若くしてヨーロッパで活躍をした香川真司【写真:IMAGO / Team 2】

過酷だった東北選抜との試合

 今では伝説の試合として語り継がれているこの試合だが、青山氏は「覚えていますね。僕も(宮城への)凱旋試合だったので」と目を細めた。そして、当時のU-18日本代表について、「チーム状況は正直、良くなかったですね。なんかしっくりこなくて、かみ合っていなかった感じでした」と言い、この試合の難しさを語った。

「これも良い経験にはなりましたが、今思うとあれはなかなかキツイですよ。日本代表選手からしたら『勝って当然』と見られますし、負けたら問題視される。やるメリットがほとんどないですからね。逆に地域の選抜チームは『あいつらは代表だ』と、自分たちが目指す場所にいるやつらを打ち破ろうとして、『これ食ったら、オレたちが代表だ』という思いで、最高のコンディションで臨んできますから。そのメンタルは、やっぱりすごいものがありますよ。相手は本当にノリノリで、僕らも飲まれましたね。本来の僕らのポテンシャルを出せていたらわからなかったですけど、試合に飲まれてしまって、真司や康が輝いていたのはすごく印象にあります」

 その後、U-20日本代表やセレッソ大阪でも再び香川とはチームメイトとなり、香川がドルトムントへ移籍してからも、帰国した際に会うことがあったという。最近はめっきり会う機会がなくなったと言うが、人づてに香川が「SHOW-WA」が出演するバラエティ番組「ぽかぽか」を見ていると聞き「見てくれているんだ」とうれしく思ったという。

「そういう何か腐れ縁みたいなもんなんです(笑)。連絡を取っていなくても会えば話せるし、かといって僕も『ライブ来てね』って誘うのもなんか違うかなと思うし、来たくなったら来てくれると思うので」

香川真司には「悔いなくやりきってほしい」と話す【写真:徳原隆元】
香川真司には「悔いなくやりきってほしい」と話す【写真:徳原隆元】

36歳の香川真司には「悔いなくやりきってほしい」

 青山氏が引退した後も現役を続けていた同年代のサッカー選手たちも、次々とスパイクを脱いでいる。欧州を渡り歩き、C大阪に戻ってきた香川も36歳となり、選手としての残された時間も、おそらくそれほど長くないだろう。青山氏は「悔いなくやりきってほしい」と、メッセージを送る。

「僕もサッカーが好きですけど、真司はカズさん(三浦知良/アトレチコ鈴鹿)のようにサッカーが大大大好きな人間ですからね。もう日本サッカー界のレジェンドだと思いますが、ここまで来たら本当に悔いなくやりきってほしいです。なんで辞めるのか、そのタイミングは、その人しか分からないことだと思うので。『40歳までやってほしい』とか、そういう思いはないですね。今年やりきったのなら、今年で辞めるべきだと思うし、自分のなかで『まだピリオドを打てない』と思うなら、どこまででもやればいい。本人が決めた時に、それが答えだったんだなと思い、その時に『お疲れさまでした』と伝えたいです」

 長らく日本代表で10番を背負い、世界に名をとどろかすメガクラブでも活躍してきた香川が、納得のいくキャリアのエンディングを迎えられることをかつてのチームメイトである青山氏は願っている。

(河合 拓 / Taku Kawai)



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