森保監督が専スタを熱望「これを一番言いたい」 Jリーグと欧州の違い「より非日常の空間ができる」

味の素スタジアムを視察した森保一監督【写真:徳原隆元】
味の素スタジアムを視察した森保一監督【写真:徳原隆元】

FC東京対神戸の試合を視察

 日本代表の森保一監督は、5月10日に味の素スタジアムで行われたJ1第16節のFC東京とヴィッセル神戸の試合を視察した。試合はホームのFC東京が、アディショナルタイムにFWマルセロ・ヒアンのPKで決勝点を挙げて1-0で勝利。試合後、日本代表監督は、あらためて日本にサッカー専用スタジアムが増えてほしいという思いを強くしたと振り返った。

 都内は前日まで雨予報だったが、キックオフ時には雨も止み、サッカー観戦にはもってこいの環境だった。満員になれば4万8,013人を収容できる味の素スタジアムだが、この日の観客数は24,837人で空席も目に付いた。

 試合について森保監督は「なかなか両チームともゴールをこじ開けられない展開でしたが、そのなかで引き分けで終わらせてOKではなく、両チームとも勝利に、ゴールにこだわった展開だったと思います。そこでFC東京が得点につなげた。最後まで勝利にこだわる姿勢がゴールにつながって、勝ちにつながったと思います」と振り返った。

 Jリーグを視察するたびに報道陣の質問に応じてくれている森保監督だが、質疑応答の形で話している。「森保監督が試合を見て、本当に話したいことを話せているんでしょうか?」という質問が出ると、森保監督は自身が最も気になったことを語りだした。

「今日、2万5000人の方々がいらっしゃってくださったことはありがたい限りですけど、ひょっとしたら雨予報で来ていなかった方もおられるのかなと感じました。チケットの実際の売れ行きと、観客の実数がどうなのかはわからないのですが。何を言いたいかというと、サッカー専用スタジアムで、屋根がしっかりついているスタジアムがいっぱいできるといいなと思います」と、思いを切り出した。

「というのも、もちろん行き来する際には傘をさしたりはするかもしれませんが、試合を見る時には天候に左右されずに『雨だから見に行かない』とかではなくて。ピッチ上の選手たち、チームは濡れてもいいと思いますが、サポーターファーストになればいいなと思います。サポーターのなかには『一緒に戦うから濡れてもいい』と覚悟している人もいると思いますが(笑)、それでも天候に観客動員が左右されないようなことがあればいいなと思います。昨日の時点では、今日も大荒れの天気予報だったと思うので」

 そして、全国各地のスタジアムで試合を見ていて感じることを続けた。「今日は好転したほうだったと思いますが、この間も柏で試合を見ていた時に、雨はちょっとパラパラ降ったりやんだりしていたんです。『もともとのチケットの売れ行きと実際の動員数は違うんだろうな』と思って見ていたのですが、試合中に雨が強くなったら、サポーターのみなさんが帰りだしたんです。こんなことは、ないほうがいいなと思いました。そのあと神戸に行った時、神戸は屋根が開閉式のスタジアムなのですが、運営の方に聞いたら『チケットは完売に近いくらい売れて、実際に来場者も9割くらいでした』とおっしゃっていたんです。屋根があれば、(雨が降っても)観客動員に影響がないということを言われていたので、サポーターの皆さんが雨で濡れるとか、濡れないとか、そういう影響がないスタジアムができると、もっとサッカーで街が盛り上がるとか、サッカーで街が潤う環境を安定して作っていけるのかなと思います」。

 また、屋根付きスタジアムはピッチにいる人たちにも影響があると言う。「あと屋根があって、ヨーロッパみたいにせり出していると、音がさらに響くんです。サポーターもパッションが上がるし、選手たちのパッションも上がる。試合全体のパッションももっと上がって、より非日常の空間ができると思います」と言い、「これを一番言いたいです」と笑顔を見せた。

 FC東京のクラブ関係者に聞いたところ、雨天になると当日券の売り上げが落ち込むという。Jリーグができて30年以上が経ち、確実にサッカーは日本人にも定着しているが、もう一歩先に進むためにもサッカー専用スタジアムが増えていくことが必要なのかもしれない。

(河合 拓 / Taku Kawai)

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