6クラブ争奪戦の末…川崎内定の超逸材 目標はW杯優勝、日本から悔しさ「僕もACLEに」

早稲田大の山市秀翔【写真:FOOTBALL ZONE編集部】
早稲田大の山市秀翔【写真:FOOTBALL ZONE編集部】

早大の山市秀翔「目標は日本代表に入って、W杯に出場をして優勝すること」

 ACLEにおける川崎フロンターレの躍進は多くのJリーグファンの心を熱くさせた。中2日の過酷な連戦、そしてアウェーの環境。多くの不利な条件のなかで、準決勝ではクリスティアーノ・ロナウド、サディオ・マネら世界的なスター選手を擁する地元アル・ナスルに3-2と勝利した試合は、川崎の選手たちの気迫と執念を感じさせるものだった。

 日本から感動とエールが送られるなか、決勝戦の当日にその姿に大きな刺激を受けていた選手が関東大学サッカーリーグ2部のピッチに立っていた。

 早稲田大の4年生MF山市秀翔は先月4日に来季からの川崎入り内定を発表したばかり。自分が進むクラブの躍進はいろいろな感情を刺激した。

「準決勝は相当な死闘でしたね。本当に凄かった。サウジアラビアの暑さに加えて、連戦というのもあってハードワークすることが相当難しいゲームだったと思います。でも、そのなかでみんな身体を張っていたし、3点を奪える得点力が凄いと思いました。でも、みんな凄いなと思っている一方で、僕は1年目からあの激しい競争のなかに食い込んでいきたいと思っているからこそ、正直めちゃくちゃ悔しい思いはあります。僕もACLEに出て、優勝やファイナリストになりたいという思いは当然あるので」

 関東大学サッカーリーグ2部・第5節の法政大学戦。ともに開幕から4連勝と好調を維持するチーム同士の天王山で、山市はボランチとして出場した。ボールを持つと、左足の繊細なボールタッチとずば抜けた俊敏性、初速の速さで相手を交わして味方にボールをつないでいく。守備面でも高い危機察知能力を駆使して、連続したプレスバックやセカンドボールの回収を見せ、攻守のリンクマンとして存在感を放った。

 結果は後半押し込まれてのスコアレスドロー。無敗はキープすることができたが、「もっとボールを強く要求したり、相手の前への圧力に対してビハインドをとってフリーでもらう意識を強く持つべきでした」と試合後は反省の弁が続いた。

 悔しさを浮かべるなか、ACLEについての質問を受けたことで、前述したとおり彼は素直な思いを続けたのだった。

「フロンターレ加入内定発表をして1か月。見られ方は大きく変わったので、自分の行動に対する責任を感じています。でも、それを背負いすぎて自分のプレーが出せないのは本末転倒なので、自分らしく表現していきたいと思っています」

 彼は神奈川県出身。あざみ野FC、横浜F・マリノスプライマリー、東急SレイエスU-15、桐光学園高と神奈川県でずっと育ってきた。昨年から今年にかけてJ1、J2の6クラブの練習に参加。激しい争奪戦を繰り広げるなかで、神奈川県の川崎でプレーする決断を下した。

「今年から長谷部茂利監督になって、鬼木達(現・鹿島アントラーズ監督)さんの頃のスタイルはありながらも、そこにハードワークする要素が加わった。ハードワークというベースの上にうまさがあるという形が僕の価値観にもマッチしていました」

 当然、ポジション争いは激しい。彼が得意とするボランチやトップ下のポジションには、橘田健人、脇坂泰斗、大島僚太、山本悠樹、河原創、ACLEで躍動した大関友翔とそれぞれに強烈な武器を持つライバルたちがたくさんいる。

「攻撃も守備も高いレベルでこなせる選手になりたいと思っています。ACLEの結果で、フロンターレの価値は着実に上がったと思いますし、(自分が越えなければいけない)ハードルも凄く上がったと思うからこそ、あのスカイブルーのユニフォームに袖を通してプレーをする者としてもっと成長しないといけないと思っています」

 山市にとって彼らとのハイレベルな競争はむしろ歓迎すべきことであり、自分を奮い立たせてくれる大きなモチベーション。だからこそ、「僕の最終的な目標は日本代表に入って、W杯に出場をして優勝すること。フロンターレで努力を重ねればその道につながると思った」と、彼は川崎を選んだ。

「スカイブルーは高校時代も桐光学園で着ていて、大好きな色なんです」

 大学屈指のボランチは、プロでの一歩を彩るスカイブルーと高まったハードルに心を踊らせながら、攻守において違いを見せられる選手への道を踏みしめている。

(FOOTBALL ZONE編集部)

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