欧州1部→浦和移籍も…陥った悪循環「良くない状況」 無得点がメンタルに与えた影響

浦和移籍後、初ゴールをマークした金子拓郎「正直、かなり焦りもあった」
浦和レッズのMF金子拓郎は、4月26日のJ1第12節サンフレッチェ広島戦で1-0の決勝ゴールをマーク。移籍加入後の初得点に「正直、かなり焦りもあった」という思いから、喜びを爆発させた。
ピンチが数秒後に決定機になっていた。後半12分、相手のコーナーキックはファーサイドに流れ、浦和MFマテウス・サヴィオが自陣右サイドのコーナーフラッグ付近でボールを確保すると、一気にドリブルを開始。追いすがる相手選手を引き離していくような脅威の高速ドリブルで約60メートル前進すると、ラストパスの先にいたのが金子。ゴール正面で受けるとGK大迫敬介をドリブルでかわして無人のゴールに押し込んだ。
そのまま浦和サポーターの集まるゴール裏スタンドの前まで走っていって喜びを爆発させた金子は「抜いたあとが一番緊張しました」と笑ったが、「やっぱり焦りがかなりあったので、それがああいう風に爆発したっていうところもあった。正直、感情を爆発させたのをあまり覚えてないですけど、嬉しかった」と喜んだ。
今季に向け、ベルギー1部コルトレイクから加入した。その前はクロアチア1部のディナモ・ザグレブでプレーしていたが、北海道コンサドーレ札幌から2023年夏に欧州移籍する前のハーフシーズンでは21試合8得点を記録していた。得点力のあるサイドアタッカーの補強はここ数年続く浦和の補強で毎年テーマになってきた部分だった。
開幕からコンスタントに出場する中で、決定機と言えるほどの場面がそこまで巡ってきたわけではないが、決めてもおかしくないシュートチャンスはあった。それだけに「正直、かなり焦りもあった。そういう焦りがある中でプレーするのは選手としては良くない状況だと思っていたので、なるべく早く点を取りたいという思いで毎試合をやっていた」というのが本音だった。
それも、この日で解放されることになりそうだ。マチェイ・スコルジャ監督も「彼にとって非常に大事な瞬間だったと思います。以前に彼と話した時に、まだ点が取れていないということを話していた。これでより落ち着いたプレーができると思います。練習で見ていても常にハードワークする選手ですから、今日は数字を残しましたが、この数字をより大きくできると思います」と、このゴールがもたらす精神的な好影響に期待を込めた。
浦和はこの勝利でリーグ4連勝となった。前線ではFW松尾佑介やMF渡邊凌磨の活躍に加え、前の試合ではサヴィオが直接フリーキックを決めていたところに金子も加わった。「選手としては気持ちの部分の影響が一番強いと思うので、このゴールを勢いに変えてさらに点やアシストの貢献ができたら嬉しいです」と話すレフティが本来の得点力を発揮すれば、全方位からゴールが生まれるチームになりそうだ。
(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)