なぜ長谷部誠コーチがサプライズ入閣した? “同時並行”で現場経験も急ピッチ…森保監督「W杯も視野」
日本代表の最終予選メンバー発表で長谷部誠のサプライズ入閣が明かされた
森保一監督率いる日本代表は8月29日、千葉県内で2026年の北中米ワールドカップ(W杯)アジア最終予選で戦う9月の中国戦(5日=埼玉)、バーレーン戦(11日=リファー)に向けたメンバー27人を発表した。MF伊東純也とMF三笘薫が約7か月ぶりの復帰。なかでも最大のサプライズは長谷部誠コーチの招聘となった。JFA所属ではなく、フランクフルトのU-21コーチを務める長谷部氏の就任は超異例だ。
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森保ジャパンはミャンマー、シリア、北朝鮮と同居したW杯アジア2次予選で6戦全勝(アウェーの北朝鮮戦は3-0不戦勝扱い)を飾り、最終予選への切符を手にした。いよいよ始まる最終予選。だが日本は過去、2大会連続で初戦を黒星スタートで、UAEとのロシアW杯最終予選の初戦を1-2、オマーンとのカタールW杯最終予選の初戦も0-1で敗れた。中国、バーレーン、サウジアラビア、インドネシア、オーストラリアと侮れない相手ばかりが並ぶ“死の組”で、まずは初戦の勝利が求められる。
そのなかで、最大のサプライズは長谷部コーチの就任だった。2002年に藤枝東高から浦和レッズに入団した長谷部氏は、2008年にドイツ・ブンデスリーガのヴォルフスブルクに移籍。ニュルンベルクを経て、2014年にフランクフルトへと移籍すると、10年間プレーした。日本代表でも不動のキャプテンとして114試合に出場。昨季限りで現役を引退すると、今季からフランクフルトU-21でアシスタントコーチを務めている。
山本昌邦ナショナルチームダイレクターは「今回からなんですけど、フランクフルトの仕事もありますので、インターナショナルマッチデーウィーク(IW)の期間、お願いしていて、さまざまなディスカッションをしていければいいかな、と思っています」と説明した。また、森保監督は「私が協会の方々に要望させてもらった」と明かし「長谷部コーチが持っている彼のヨーロッパでの経験は間違いなく我々が前進するうえで刺激になり、前進するために必要だということでスタッフとも話し合って決めた」と、アジア、W杯を戦い抜くうえでの海外での経験値の豊富さを還元してもらいたいと考えているようだ。
森保監督は2018年4月にA代表コーチに就任。ロシアW杯に帯同しており、長谷部キャプテンと共に戦ってきた。日本代表のキャプテンマークを巻き続け、ドイツで384試合に出場。ロシアW杯後、東京五輪組が中心となり、チームも若返った。3月からは5大会連続でW杯最終予選に臨む37歳のDF長友佑都が復帰したが、今年のアジアカップではベスト8止まり。快進撃を続けてきた一方で、絶対的な経験値の還元は必要だった。
森保監督は期間を「最終予選はもちろんW杯も視野に入れて考えている」と本大会もコーチとして臨む可能性を示した。長谷部コーチにとってもA代表の現状を感じ続けることができる。
長谷部氏は現役引退会見で、日本代表監督を目指すかの質問に「まずは経験をしっかり積んで、将来的に日本かドイツかは分からないが、高いレベルでやれる監督になりたい」と答えていた。長谷部氏にとっても日本サッカー界トップの“現場”で大きな経験となることは間違いない。
(FOOTBALL ZONE編集部・小杉 舞 / Mai Kosugi)