パリ五輪前に浦和から海外へ…「涙出た」 同僚、監督が後押し「ゴール量産してこい」

浦和でのラストマッチを迎えた清家貴子【写真:徳原隆元】
浦和でのラストマッチを迎えた清家貴子【写真:徳原隆元】

海外挑戦決意の浦和レッズレディースFW清家、WEリーグ最終節で2得点

 三菱重工浦和レッズレディースのFW清家貴子は、5月25日のWEリーグ最終節で日テレ・東京ベレーザとの試合にフル出場して2得点。すでに海外移籍へ向け浦和を離れることが発表された中でのラストゲームを終え、MF猶本光とFW安藤梢から花束を受け取った際には涙もこぼれた。

 浦和は前半だけで3失点する苦しい展開の中でも清家が1ゴールして1-3で前半を終えた。後半は風上も利して2トップへのロングボールを増やすとセットプレーから1点を返し、後半アディショナルタイム突入直後にゴール前のこぼれ球を清家が押し込んで3-3の引き分けに持ち込んだ。清家はこれが22試合のリーグ戦で20点目。シーズン途中に日本のプロリーグ、選手としての最多記録となる10試合連続ゴールを記録するなど、確実なものとしていた得点王も記録を伸ばして手中にした。

 その清家は、この最終節を前に海外移籍へ向けチームを離れると発表していた。場内のセレモニーでは爽やかな笑顔で感謝を伝えていたが、猶本と安藤から花束を受け取ると涙がこぼれた。その後に行われた記者会見で、「昨日チームメイトに挨拶して、その時も泣いてしまった。今日は試合後でアドレナリンも出ているし、泣くことはないだろうと思っていた。セレモニーで喋れたけど、あの2人を見ると。18歳の時に出会って怪我をして辛かった時期や自分のことを気にかけて成長させてくれた。思い出が蘇るより先に身体が反応して涙が出ていた」と照れ笑いした。

 その猶本と安藤は、ともにドイツでのプレー経験を持つ。昨年の同時期と冬の2回、海外からオファーがあったという清家は「悩んだし、行くギリギリだった。光さんと梢さんに相談したら、まだこのチームで学べることがあると。自分もそうだなと思って、この1年はこのチームで学べるすべてを吸収しようとプレーした」と話す。そして、シーズンを終えるタイミングで「自分の可能性を試したい、チャレンジしたい、短いサッカー人生なのでいろいろな経験をしたい、自分のレベルを上げたいという気持ちで決めた」のだと話した。

 そして、海外でのプレーについて安藤とは「さっき梢さんと話していて、外国人は日本人と考え方が違って自分勝手なところもあるから大変だけど、貴子なら気にしないかなと言われたので大丈夫かなと(笑)。サッカーの技術的な部分ではスピードやパワーも上がると思うので、さらにレベルアップしないといけないと思う」という会話もあったのだと明かした。

 まだプレーするクラブは決まっていないと話す清家だが、「点を取ることで自分を証明できる。そのための技術やフィジカルは大切になる」と話す。楠瀬直木監督も「チャレンジじゃなく、助っ人としていくんだからそのチームを勝たせる、ゴール量産してこいと送り出した」と、エールを送ったことを明かした。

 今後はパリ五輪に向けたなでしこジャパンでの活動もあるが、今季のWEリーグで見せた爆発的な得点力で世界に羽ばたいていく姿が期待される。

(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)



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