森保ジャパンへ「大胆提言」…3バック採用を推奨、6月シリーズ布陣&スタメン最適解を考察【コラム】

森保ジャパンに3バックシステムを提言【写真:ロイター】
森保ジャパンに3バックシステムを提言【写真:ロイター】

6月のミャンマー戦、シリア戦の向けた26人のメンバー発表

 日本代表の森保一監督は6月のミャンマー戦、シリア戦に向けた26人のメンバーを発表した。GK谷晃生(FC町田ゼルビア)とMF鎌田大地(ラツィオ)、旗手怜央(セルティック)が復帰、パリ五輪世代のMF鈴木唯人(ブレンビー)が候補合宿を除けば初招集となったが、すでに2次予選の突破を決めている状況で、前回から大幅な入れ替えはなく、継続路線の意味合いが強いメンバー構成になった。

 3月シリーズは北朝鮮とのアウェーゲームが相手の事情で“不戦勝”となり、1試合しかできなかった。9月にスタートする最終予選を前に、主力メンバーを含めたチームの共通理解と連係面の成熟、もしくは既存メンバーであまり試せていない組み合わせのチェックなどをしていきたい意図が見られる。森保監督は「いろんな選手を招集させてもらうという選択肢も持っていました」と前置きしながら、継続的に招集している選手たちがタフに戦いながら成長することにも期待を寄せる。

 見方を変えれば、固定的なメンバーだからこそこの2試合を生かして、何か大きなトライをするのかが注目ポイントだ。分かりやすいもので言えば3バックの本格的な導入がある。カタール・ワールドカップ(W杯)ではほぼぶっつけ本番のような形で採用し、ある意味、事前に対策できていない相手を驚かせる効果があった。その後の“第2次森保ジャパン”では昨年9月に行われた親善試合のドイツ戦で、2-1で迎えた後半から5バック気味の布陣を敷いて、カウンターを武器に2点を奪った。

 そうした手堅く守ってカウンターを狙う5バックは最終予選の勝負どころで使われる可能性はあるが、より継続的なオプションとして森保監督が3バック、3-4-3(3-4-2-1)を組み込む好機であることは確かだろう。森保監督も鈴木の選出理由に関して「4-2-3-1ならトップ下、4-1-4-1ならインサイドハーフだったり、3バックで戦うのであればシャドーのポジション。彼は今3バックのシャドーのポジションでやっているので、やってもらえれば」と語り、3バックの実用を示唆している。

 その観点から今回のメンバーと3バックの可能性を考えたい。2試合のどこでテストされるかは不明だが、アウェーのミャンマー戦の環境がそれほど良くないことを想定すると、テストしやすいのは広島でのシリア戦かもしれない。バックラインの候補は冨安健洋(アーセナル)、板倉滉(ボルシアMG)、谷口彰悟(アル・ラーヤン)、伊藤洋輝(シュツットガルト)、町田浩樹(ロイヤル・ユニオン・サン=ジロワーズ)の5人か。右は冨安と板倉、中央が谷口、左は伊藤と町田が候補になるが、板倉は中央のオプションにもなり得る。

最終予選に向けたオプションへ…攻撃的3バックへのトライも

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 菅原由勢(AZ)と橋岡大樹(ルートン・タウン)も3バックの右ワイドはこなせるが、基本的には右ウイングバックで想定する。左ウイングバックは長友佑都(FC東京)と相馬勇紀(カーザ・ピア)が候補になる。伊藤は4バックなら左サイドバックがメインになるが、3バックならウイングバックでの起用はあまり考えにくい。その分、旗手が中盤とのポリバレントとして、左ウイングバックも選択肢になりそうだ。

 ボランチは4-2-3-1と同じく、遠藤航(リバプール)、守田英正(スポルティング)、田中碧(デュセルドルフ)、左利きの川村拓夢(サンフレッチェ広島)、そして代表復帰の鎌田が候補となる。2シャドーは久保建英(レアル・ソシエダ)、中村敬斗(スタッド・ランス)、堂安 律(フライブルク)、南野拓実(ASモナコ)、そして森保監督も言及した鈴木、ポリバレントの旗手と選択肢が多い。

 鈴木は2列目ならどこでもこなせるが、2シャドーはA代表でも食い込んでいける可能性の高いポジションだろう。1トップは上田綺世(フェイエノールト)と3月から引き続き招集された小川航基(NECナイメヘン)が競う構図は変わらない。前田大然(セルティック)はサイドアタッカーとしての起用がメインになってきており、3-4-3でシャドーもしくはウイング的な起用が考えられる。

 3-4-3(3-4-2-1)の攻撃面でのメリットは主にビルドアップで、シンプルに幅広く展開できること。そこからクロスに前の3枚が飛び込んだり、サイドから中央に折り返してワンツーで崩すといった攻撃が有効だ。4バックでもいわゆる“3枚回し”というボランチの1人が最終ラインに落ちたり、横ずれでサイドバックの1人が前に上がるようなオーガナイズもあるが、3バックの場合はベースが3枚になる。

 守備のプレッシングは相手のシステムとの兼ね合いもあり、前からハメていく守備ができるかどうかで変わってくる。自陣に引き込む時は5バックになるが、昨年9月のドイツ戦のように、5バックから入っていくのか、3バックを基準に流れの中で5バックになるのかではコンセプトが違ってくる。これまで主に使ってきた4-2-3-1や4-3-3でも組み合わせのチェックやディテールをブラッシュアップできるところはあるが、最終予選に向けたオプションを増やしていく意味でも、守り切るための5バックではなく、攻撃的な3バックにもトライしてもらいたい。

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河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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