疲弊で平凡だったパフォーマンス U-23日本代表、2度目のアジア杯優勝を手繰り寄せた監督采配【コラム】

U-23アジア杯で2度目の優勝を果たした日本代表【写真:2024 Asian Football Confederation (AFC)】
U-23アジア杯で2度目の優勝を果たした日本代表【写真:2024 Asian Football Confederation (AFC)】

決勝まで無失点だったウズベキスタンに苦戦

 U-23日本代表は現地時間5月3日、パリ五輪のアジア最終予選を兼ねたU-23アジアカップの決勝でウズベキスタンを1-0で下し、2大会ぶり2回目の優勝を果たした。かつてアジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ(W杯)を7大会連続で現地取材中の英国人記者マイケル・チャーチ氏がこの試合を総括している。

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 ドーハのドラマは遅れてやってきた。今ひとつ活気のない決勝戦は山田楓喜の冷静なフィニッシュと小久保玲央ブライアンのPKセーブによって後半アディショナルタイムに突如として息を吹き返し、日本がウズベキスタンになんとか勝利を収めた。

 2013年に始まったU-23アジアカップで2度の優勝を果たした国はこれまでになく、日本が史上初の快挙を成し遂げた。日本は前回のカタール開催だった2016年、手倉森誠監督が率いたチームに続いてトロフィーを母国に持ち帰ることになった。

 この結果は、今夏のパリ五輪出場権獲得という最大の目標を達成するための3週間にわたって努力してきた末に、疲れ切って平凡だったパフォーマンスの不足を覆い隠すものとなった。

 大岩剛監督が率いたチームはウズベキスタンを相手に印象的なプレーを見せることはできず、イラクとの準決勝で見せた今大会最高のパフォーマンスには遠く及ばなかった。

 しかし、ウズベキスタンとの対戦はいつもこうして困難なものだった。ティムル・カパゼ監督率いるウズベキスタンはこの前の5試合で1点も失っておらず、流れるような見ている者を楽しませるサッカーで相手を押し込むことができる。

 アブドゥコディル・フサノフ、アボスベク・ファイズラエフ、ホジマト・エルキノフというキープレーヤーたちを失ったことは、彼らのクリエイティブな中盤と強固な守備陣の両方に大きな影響を与えたことは間違いないが、カパゼのチームはよくオーガナイズされ、上手くボールを保持していた。

山田楓喜と荒木遼太郎の投入がチームを活性化

 試合が日本の優勢に傾いた要因は、大岩監督のベンチの使い方だった。サプライズ先発だった藤尾翔太と佐藤恵允が期待外れだったこともあり、大岩監督は交代を決断する。

 山田、そして荒木遼太郎の投入はチームに勢いを与えた。

 彼らによって活力とエネルギーが与えられ、試合のペースは上がった。それによってウズベキスタンのディフェンスのミスを誘発し、生まれたスペースを上手く利用した。そして、その時がついに訪れる。山田の素晴らしいフィニッシュに対し、ウズベキスタンのGKアブドゥバヒド・ネマトフは成す術がなかった。

 ウズベキスタンのPK? VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)の導入以降、一般的になった判定だった。関根大輝にはどうしようもないことで、ムード・ボニーアディファード主審も当初はプレー続行を許可したように見えた。

 しかし、いつものように、一度審判員がピッチサイドのモニターに呼ばれると、決定は覆される可能性が高くなる。そして、実際にそうなったが、小久保はヒーローであることを証明するためにウマラリ・ラクモナリエフのPKを見事にセーブした。

 これはウズベキスタンのMFにとって残酷な打撃となったが、最終的に日本は勝利にふさわしかったと言えるだろう。

(マイケル・チャーチ/Michael Church)



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マイケル・チャーチ

アジアサッカーを幅広くカバーし、25年以上ジャーナリストとして活動する英国人ジャーナリスト。アジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ6大会連続で取材。日本代表や日本サッカー界の動向も長年追っている。現在はコラムニストとしても執筆。

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