U-23日本、8強カタール戦の勝算は? 海外見解…大岩采配へ警鐘「それが大きな代償に」【コラム】

U-23日本代表の8強突破に英記者が見解【写真:Getty Images】
U-23日本代表の8強突破に英記者が見解【写真:Getty Images】

英国人記者が見たパリ五輪予選U-23日本代表の歩み

 パリ五輪を目指すU-23日本代表は、4月22日にアジア最終予選を兼ねたU-23アジアカップのグループリーグ最終戦で韓国と対戦し、0-1で敗れた。かつてアジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ(W杯)を7大会連続で現地取材中の英国人記者マイケル・チャーチ氏はこの一戦を振り返りつつ、ベスト8のカタール戦に向けた采配に見解を示している。

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 大岩剛監督は公の場での発言であまり多くは語らない。多くの日本人監督の基準からしても、元鹿島アントラーズ監督はほとんど手の内を見せない。それは月曜日の韓国戦の敗戦のあとも同様だった。

 日韓戦の敗北によって日本は準々決勝で開催国のカタールと対戦することが決まった。大岩ジャパンはより困難な道へと進むことになったと言えるだろう。

 グループリーグは最小限の問題で乗り越えることが求められていたなかで、日本はひとまず当初の目標を達成した。1試合を残してベスト8進出を決めていたため、韓国戦で大きなプレッシャーはかかっていなかったと言えるだろう。

 必ずしも勝利が必要ではなかったなかで、大岩監督は選手を入れ替え、今後のより厳しい戦いに向けてより多くの選手に出場時間を与えることができた。それは韓国も同様であり、ファン・ソンホン監督は2-0で勝利した中国戦から10人を入れ替えていた。

 大岩監督が最強だと信じるチームは一体どのようなものなのか。UAE戦と韓国戦で顕著だったのは、松木玖生がクリエイティビティーな役割を果たすことでチームがよりうまく機能しているということだ。彼がベンチにとどまっていたのは、驚くべきことだ。

 韓国戦、日本は試合の4分の3の時間は低調だったが、途中投入されたFC東京のプレーメーカーが大きな違いを作り出した。

 日本は保守的で、確かに危機的な状況はほとんどないように思えた。しかし、キム・ミヌのゴールで状況は一変した。半田陸が背後の選手に気を付けていれば防げた失点だっただろう。

 守備の乱れによる失点はもどかしいいものだったが、それと同時に日本は攻撃のチャンスをものにできなかった。後半アディショナルタイムに佐藤恵允のシュートがポストを叩いた場面は同点に追い付く最大の決定機だった。

カタールに地の利があるベスト8へ「今こそ真の日本が立ち上がる時」

 今こそ真の日本が立ち上がる時だ。これ以上のローテーションや相互作用はないだろう。あらゆるトーナメントにおいて、試合ごとにメンバーを入れ替えようとする日本人監督があまりに多すぎた。

 それが大きな代償につながることは、1月から2月にかけて行われたアジアカップでも証明されているし、過去の年代別トーナメントでも悪影響を及ぼしてきている。より多くの選手たちに出場機会を与えるべきという議論はあるかもしれないが、今は勝利が求められている時なのだ。

 そのためには日本はできる限り全力で試合に臨む必要がある。賢さや公平さを求める時ではない。対戦相手のカタールには地の利があり、大観衆からあと押しを受けるだろう。

 オリンピックの出場権獲得は日本と同様、彼らにとっても非常に重要な問題だ。カタールはこれまで一度もオリンピックの舞台に立っていない。彼らにとってアジアカップの優勝に続くオリンピック出場の快挙を成し遂げることできれば、イリディオ・ヴァレ監督率いるチームにとってこれ以上ない刺激となる。

 日本に勝利してそれを実現するとなれば、その成功はより有意義なものとなるはずだ。大岩監督と彼のチームにとって、木曜日の準々決勝は非常に大きな試練となりそうだ。

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マイケル・チャーチ

アジアサッカーを幅広くカバーし、25年以上ジャーナリストとして活動する英国人ジャーナリスト。アジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ6大会連続で取材。日本代表や日本サッカー界の動向も長年追っている。現在はコラムニストとしても執筆。

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