堂安律、今季4点目の真相 「ストレスも溜まってた」状況で好判断…ドイツ代表DFも称賛【現地発コラム】

フライブルクでプレーする堂安律【写真:Getty Images】
フライブルクでプレーする堂安律【写真:Getty Images】

ボルシアMG戦、フライブルクの堂安が今季4点目「出してくれる選手って分かってた」

 フライブルクでプレーする日本代表MF堂安律が、ブンデスリーガ第27節のボルシアMG戦(3-0)で見事なゴールを決めた。

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 チーム3点目となるゴールが生まれたのは後半12分。ペナルティーエリア右外でマクシミリアン・エッゲシュタインからパスを受けると、対峙する相手左サイドバックのルカ・ネッツを短いドリブルからタイミングもコースもいいヒールパスで翻弄し、そのまま流れる動きでゴール前へと飛び込んでいく。

 ゴール前ではボルシアMGの守備陣がまだ4人残っていたが、堂安の勢いとコース取りの上手さはその誰をも上回っていた。ゴール前にフリーで飛び込んでもパスが届かないこともあれば、相手選手が動きを察知してパスコースを消されてしまう時もある。だがこのシーンでは堂安の動きの良さが上回った。

「あそこで彼(エッゲシュタイン)だったら出してくれる選手だって分かってたんで。そういう味方の特徴も知ったなかで走り込めて良かったです」(堂安)

 前半から何度もチャンスがあるなかで決めたゴールではない。どちらかというと前半は守備に追われる時間が長く、チームがボールを持つ時間帯でもこの日のフライブルクは全体的にミスパスが散見し、堂安へボールが渡るシーンも稀だった。「(守備の役割が多くて)大変ですね。面白くなかったです、今日」(堂安)と思わず口にするほど、ゲームに上手く絡めていなかった。

 それだけに、この日初めて訪れたオープンな状況で得点を生み出したのは大きい。

「なかなかボールをくれなかったので、1回しかくれなかったなかで1得点。ゴールにつなげられたのは良かったなと思います」

 運動量豊富に動き回っていても、なかなかいい形でボールが受けられなかっただけに、ようやく訪れたチャンスでは強引にでもシュートに持ち込もうという思いが出てきても不思議ではない。堂安自身も、「受けた時はチャンスがなかったんで、ストレスも溜まってましたし、シュート打ってやろうと思ってたんですけど」と、そのつもりもあったことを明かしている。

 結果として堂安は走りこんだ味方を生かし、そこからの折り返しを受けてゴールへと結びつけた。身体に染みこんでいたものがそこにはあった。

「感覚っすね、あんまりそれほど考えてはいなかったです。まあ身体が勝手に反応して。コンディションのいい証かなと思います」

ドイツ代表ギュンターも賛辞を送った「エッゲとリツのコンビ」

 素晴らしいコンビネーションでのゴールだっただけに、キャプテンのドイツ代表DFクリスティアン・ギュンターも手応えを感じている。

「チームとしてコレクティブな守備ができて、それから上手く攻撃に持ち込むことができた。それがあって決定的なアクションが必要になる。3点目のエッゲ(エッゲシュタイン)とリツのコンビは本当に良かった。チームとしてコレクティブにプレーするのが僕らの強みだし、それをこれからも取り組んでいく」

 チームのために何がより良い選択肢なのかを考えながら選手はピッチで戦う。終了間際には味方からのクロスが跳ね返ったボールが堂安のところにこぼれてくる場面もあった。そのままダイレクトで打っても不思議ではなかったが、堂安はトラップから味方へのパスを選択。その意図はどこにあったのだろう?

「まあちょっとバテてたのもあって。あと、あそこで逆に(ボールを)失うとチーム的にもラストワンプレーってことできつかったですし。もちろん(あの場面でまだ)1-0とか、自分が点を取ってなかったら打つとは思いますけど。あそこはああいう判断しました」

 好調を維持する堂安とともに、フライブルクはここからラストスパートをかけていく。

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中野吉之伴

なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。

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