中島翔哉の途中投入は「後手」の対応 FC東京戦の浦和に感じた「危うさの気配」

中島翔哉を投入も対応に後手の印象を残した浦和【写真:Getty Images】
中島翔哉を投入も対応に後手の印象を残した浦和【写真:Getty Images】

ギャップを埋めきれずにFC東京に1-2で逆転負け

 浦和レッズは4月3日に行われたJ1リーグ第6節FC東京戦で1-2の逆転負けを喫した。相性の悪いシステムを採用する相手に対して後手を踏んだところで修正も遅れ、先制点を生かせなかった。

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 浦和は前節にFC東京からの移籍後初ゴールを決めたFW渡邊凌磨を左ウイングで古巣対決に送り込み、左サイドバックにはU-23日本代表DF大畑歩夢が今季初スタメンのピッチに立った。立ち上がりは両者が攻撃的に出る展開だったが、浦和から見て危うさの気配は出ていた。

 前半12分に浦和は右サイドを切り崩され、最後はうしろから走り込んできたMF高宇洋が右足ミドルがゴールに吸い込まれた。しかし、この攻撃の起点になったところでパスカットした浦和MF岩尾憲にFC東京のMF玖生松木が遅れて飛び込んで接触した場面があり、ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)が介入。オンフィールドレビューの末、池内明彦レフェリーはFC東京のファウルとして得点を取り消した。しかし、この決定的な突破のスタートは松木が浦和のDFマリウス・ホイブラーテンの前で上手くボールを引き出して段差を作ったところだった。

 FC東京はFW荒木遼太郎とトップ下の松木が定位せず、代わる代わる列を降りながら浦和のMFサミュエル・グスタフソンの周辺でボールを引き出した。浦和のMF伊藤敦樹は「やる前からシステム上の噛み合わせで、少し自分たちの守備のウィークを突かれるというか、(浦和が)アンカーを置くので相手がゼロトップのような形で使われることは想定していた」と話す。前半はFWチアゴ・サンタナの超ロングシュートが決まるなど1-0で終えたが、後半に入るとギャップが埋めきれなくなっていった。

 そして後半5分、13分と連続ゴールを許して1-2と逆転された。伊藤は「もっとやれることはあったと思うけど、そこを改善できないまま失点してしまった。もう少しコンパクトにして、4-4-2や4-2-3-1にするのも1つの選択としてあったと思う。ただ、チームとしては4-3-3から4-5-1のブロックを作って守ろうという方針なので、中を閉める意識やプレスバックなど細部にこだわらないといけない」と話した。

チームの構造も大きく変わり、ハマり切らないままシーズンが進行

 ペア・マティアス・ヘグモ監督は試合後の会見で「1-2になったあとにダブルボランチにして、中島翔哉を入れて4-2-3-1に代えた」と話したが、それはそのまま対応が後手に回ったことを示したと言えた。グスタフソンの周囲でボールを受ける選手に対し、インサイドハーフを戻すのか、センターバックを前に押し出すのかがハッキリしないまま前を向かれる場面が多くなった。状況によって4-4-2のブロックを組む形になった瞬間は上手く守れていたうえ、これまでの試合中にダブルボランチにするパターンはあっただけに素早い対応が必要だったと言えるかもしれない。

 左のインサイドハーフに入ってスタメン出場していた岩尾はプレスに出ていく方針の前提として「ボールサイドのセンターバック(CB)は基本的に出て欲しい。それがプレスなので。出られないなら、出られないことを伝えて違うやり方をしないといけない。出にくい感じは見ていて感じたけど、それだけではなくてセカンドボールにも出てこられていなかった。そこで勇気を持って出ていかないとハイプレスは成立しない。特に偽9番がいるような感じのチームに対しては。それだけが原因ではないけど、よく見たシーンとして相手が上手く使っていたと思う」と話した。

 4-4-2の形になる瞬間の多くは、岩尾を含む中盤から1枚が飛び出してプレスに出たタイミングになる。一方で、中盤に5枚が並んで相手の攻撃を受ける形になると、これまでも人数がいる割りに突破を許してしまう場面が増える。岩尾は、「プレスに関してはいいシーンができてきているけど、ブロックを作った時の守り方は少しあいまいな雰囲気や立ち位置を感じている」とも話した。

 昨季はJ1最少失点だった浦和だが、中盤から自陣に強固なブロックを作って受け止めるやり方から高頻度でプレスに出ていくやり方に変えているため、システムなど人の配置以上にモデルチェンジの要素が強い。それを攻撃に生かそうとしているだけにチームの構造も大きく変わっている。それがハマり切らないまま進んできているだけに、優先順位を定めながらチームの基盤を早く固めたいところだ。

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