昨季J1最少失点の守備は何処へ…浦和なぜ4失点?「フラットすぎ」と新加入MFが課題指摘

浦和は前半早々に先制するも4失点【写真:徳原隆元】
浦和は前半早々に先制するも4失点【写真:徳原隆元】

湘南ベルマーレとのアウェー戦で不安定な守備を露呈

 浦和レッズは3月17日のJ1第4節、湘南ベルマーレとのアウェーゲームに臨み、4-4の引き分けで試合を終えた。4失点した不安定な守備について、ペア・マティアス・ヘグモ監督は「最終ラインの前にスペースを与えてしまった」と課題を話した。

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 浦和は前半の立ち上がりから決定機を作っていたなかで、前半11分に今季加入のスウェーデン代表MFサミュエル・グスタフソンの浮き球パスを受けたFW前田直輝のアシストからFW興梠慎三がゴール前に詰めて先制点を奪った。さらにMF小泉佳穂にも決定機があったが決められずにいると、守備面の不安定さが顔を出すようになった。

 そして前半23分、同32分と立て続けに失点した。この時間帯は特に、4-5-1のブロックを組んだ浦和の中盤に対し、湘南の縦パスが選手の間を次々に抜けていき、ライン間でパスを受けた選手に対して浦和の最終ラインも強く押し出せずに前を向かれてしまう場面が頻発した。ハーフタイムの時点では1-2だったが、良い形でボールを奪うことができないことで自陣に押し込まれ、ロングボールを蹴らされては回収される時間帯になった。

 ヘグモ監督は「立ち上がり20分間は素晴らしかった。ビッグチャンスがたくさんあったが、そこでしっかり点を取らないといけない。その後、プレスを掛けないといけない場面で受け身になってしまった」として、「自分たちがボールを持った時もあまりつながずにロングボールが増え、イニシアチブを渡した。プレスのところも最終ラインの前にスペースを与えてしまった」と話した。

 ヘグモ監督が昨季まで指揮を執ったスウェーデン1部ヘッケンでも中心選手だったグスタフソンは、この状態について「そこはアグレッシブにプレスにいくしかない。ちょっと我々はフラットすぎて、プレスを掛けられずにカバーリングも難しかった。そこで果敢にボールに行くしかない。そうなればボールを奪うか、カバーリングをすることができたのではないかと思う」と話した。中盤の5枚が横並びで待ち構えながら相手ボールを網にかけられない状態から、修正することができないまま時間が流れていった。

 ヘグモ監督が「良いバランスが取れるように後半は岩尾を投入した。フィジカル的な強さもそこで上げようとした」と話したように、ハーフタイムに小泉からMF岩尾憲への交代を実施した。しかし、後半立ち上がりの1分にDFマリウス・ホイブラーテンからDF佐藤瑶大へのパスが弱く狙われると、そのまま失点。その後は攻撃的な選手を次々に投入し、オープンな展開の中で攻撃力は見せたが両チームとも全体に秩序を欠いた中でのゴールの奪い合いは4-4に終着点を迎えた。

守備の機能性を高める必要性を窺わせる一戦に

 岩尾は「1-3になって2点リードの湘南があまり出てこないでスペースを与えないやり方もあると思うが、向こうがリスクを背負ったスタイルでやってくれたからこそ、お互いのスタイルの中でああいう展開になったと思う。これがどう監督に映っているかはフィードバックがあると思う。ある程度、守備のところのオープンさに目をつぶってやるんだというなら今日は概ね良かったのかもしれないし、堅く守っていくなら改善の余地がある。そこはみんなで共有しなければいけないところが出ると思う」と話した。

 ヘグモ監督は「今後、トレーニングしなければいけないのは安定性。試合を通じてよりプレスをかけることができればと思う。本日は素晴らしいシュートを打てるチームと対戦し、負けなかったことが大切だった。負けなかったことは良いが、失点は望んでいない。しかし、本日の4得点で、開幕からアウェーが3試合あったが得点を重ねられたのは良いこと」と話した。

 昨季にJ1最少失点だった浦和が4失点を喫したのは、世界の舞台で戦ったクラブ・ワールドカップ(W杯)の3位決定戦のみだった。得点も失点も少なかった昨季の姿からは正反対のような試合展開になったが、少なくとも守備の機能性を高める必要があるのは間違いないと言えるだろう。

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