川島永嗣だけじゃない…磐田新加入「必見タレント5傑」 韓国から“逆輸入”選手に飛躍の予感【コラム】

磐田で必見の新戦力を紹介【写真:河治良幸】
磐田で必見の新戦力を紹介【写真:河治良幸】

磐田の重要な戦力になり得る気鋭のタレント5人をピックアップ

 J1昇格組のジュビロ磐田は補強禁止処分を科された昨季から“解禁”ということもあり、15人の選手が加入した。最も話題を集めているのは4度のワールドカップを経験し、14年ぶりのJリーグとなるGK川島永嗣だが、磐田の重要な戦力になり得る気鋭のタレントが揃っている。今回は筆者の目線で、期待の5選手をピックアップした。

■MF平川 怜(←ロアッソ熊本)

 ロアッソ熊本から加入。昨年のJ2ベスト11であり、天皇杯ベスト4の立役者でもある。強みは何と言っても、J1でもトップレベルのテクニックだ。熊本のハイテンポなサッカーで10番の役割を担っていただけに、ミニゲームなどで観ていても、ほとんどミスなく効果的なパスで周りの選手を前向きにさせる。

 最も得意なポジションは熊本でも任されたトップ下だ。ただ、FC東京でなかなか出番を得られなかった当時より、ディフェンス面やプレーの継続性にも成長を見せており、過去の自分に打ち勝つ意味でも、ボランチにも意欲的だ。そこには元同僚の久保建英(レアル・ソシエダ)が待つ、日本代表の舞台に立つ思いも込められている。昨年は熊本のキャプテンに立候補して、精神的な強さも身に付けた。横内昭展監督が昨季、要警戒選手に挙げていた平川が、磐田を歓喜に導く存在になれるか。

■MF中村 駿(←アビスパ福岡)

 昨年7位に躍進し、ルヴァン杯で優勝した福岡の主力として攻守を支えた。長期の怪我から復帰後は夏に加入した井手口陽介(ヴィッセル神戸)の存在もありスタメン復帰とはならなかったが、J1の基準をそのまま磐田に伝えられる貴重な選手だ。実際、まだまだ全体の強度を高めて行かないとJ1では通用しないことを指摘している。横内監督も「僕が要求するところの吸収が早い」と語り、中村の存在を頼もしく感じているようだ。

 中村は全体的な基準を上げるだけではない。キックの正確性が素晴らしく、一発で局面を変えるのも可能。そしてセットプレーのキッカーとしてもハイレベルだ。上原力也、藤原健介、そして新戦力の平川らがプレースキッカー候補となるが、練習試合では得点をアシストしており、メインキッカーになっていくポテンシャルは十分にある。そこの競争も今シーズンの磐田の楽しみの1つだ。

ブラジル人新助っ人FWはレアンドロ。ダミアンの類似タイプ

■DF高畑奎汰(←大分トリニータ)

 J2の大分から加入。左サイドバックから攻撃のクオリティーを高める存在として期待が懸かる。昨年終盤に負傷した松原后が予想以上に早い回復を見せているが、高畑もキャンプでアピールを続けており、今年の磐田のホットゾーンになっていきそうだ。

 左で縦のコンビを組む古川陽介も「ケイタくんとはイメージが合う」と語っており、彼の突破力を引き出したり、外側から追い越して左足のクロスを上げたりと、攻撃のバリエーションをもたらすはずだ。

 大分時代からの課題だったディフェンスにも成長を見せており、デュエルにこだわる横内監督の指導でぐんと伸びれば、さらに選手としての評価も上がっていくだろう。またセットプレーの左足キッカーとしての能力も格好のアピール材料に。高精度のコーナーキックはもちろん直接フリーキックでもゴールを狙える。

■FWマテウス・ペイショット(←アトレチコ・ゴイアニエンセ)

 ブラジルのアトレチコ・ゴイアニエンセから加入。190センチというサイズのイメージそのままに、長らく磐田にいなかったタイプのターゲットマンだ。「10ゴールというのは最低限の目標」と意欲を覗かせ、ゴールやアシストに関して、期待以上の数字を残す可能性は高い。

 本人も認めるように、昨季まで川崎フロンターレに所属していたレアンドロ・ダミアンに類似したプレースタイルを持ち、パワーと柔軟性が際立つ。前線で一度くさびのパスを受けて起点となり、味方へ展開後、クロスに合わせるダイナミックなフィニッシュが十八番だ。

 今オフに新加入したほかのブラジル人選手と同様に、日本人選手と積極的にコミュニケーションを取る姿勢が見られる。「自分が小さい時から、日本は素晴らしい国だと聞かされてきました」という言葉からも、日本で成功したいという気持ちが伝わってくる。

■MF石田雅俊(←大田ハナシチズン)

 Kリーグの大田ハナシチズンから加入。京都サンガF.C.でプロのキャリアをスタートも芽が出ず、韓国での5年間で名をあげた、“逆輸入”選手だ。2列目を本職とするが、ストライカー気質が強い。4-2-3-1システムであれば中盤から前線でプレーが可能。横内監督は1トップの起用も想定しているようだ。

「ゴースト」とも言われるディフェンスの視野を外し鋭く飛び出して、ボレーやヘディングで仕留めるフィニッシュを最も得意とし「“ごっつぁんゴール”も多いんですけど、そのポイントはある程度、理解している」と自信を語る。

 韓国ではウィークポイントだったフィジカルの強さを身に付けてきた。その一方で、相手を徹底的に分析して試合に臨んでいるという。J1にもあまりいないタイプの選手で、加入1年目からあっと言わせるブレイクがあってもおかしくない。

(河治良幸 / Yoshiyuki Kawaji)



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河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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