森保J、アジア杯地上波放送で連敗&8強敗退を代表OB危惧「優勝と途中敗退は雲泥の差」【見解】
【専門家の目|栗原勇蔵】イマイチな試合をテレビは「放送したくない」
森保一監督率いる日本代表(FIFAランキング17位)は、カタールで開催されているアジアカップの準々決勝でイラン代表(同21位)に1-2で敗れ、無念のベスト8敗退となった。今大会で地上波放送があったのは、5試合中2試合のみ。元日本代表DF栗原勇蔵氏は、「(8強敗退の)影響はゼロとは言えない」と危惧している。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)
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今回のアジアカップでは、スポーツチャンネル「DAZN」が日本戦を含む全51試合をライブ配信。地上波では、テレビ朝日系列がグループリーグ第2戦のイラク戦に加え、準々決勝のイラン戦を放送した。
結果的に地上波放送の2試合はいずれも1-2の敗戦で全敗。それ以外の3試合(第1戦ベトナム戦○4-2、第3戦インドネシア戦○3-1、16強バーレーン戦○3-1)は勝利しているなか、日本代表OB栗原氏は「あと2試合(準決勝、決勝)、地上波で見れる機会があったので、それが消えたのはもったいないと言えばもったいない」と、率直な意見を明かす。
「今回のアジアカップは、力を出し切れずどの試合も良くなかった。正直、選手たちからタイトル獲得への執念みたいのもあまり感じられず、実りのない大会になってしまった。サッカー人気を考えれば、勝ちたかったのは間違いない」
栗原氏は、放映権の高騰など複数の要素が絡んでいることは理解しつつも、「代表チームが強くなっているのに、地上波の放送が減っているのは問題。ただ、選手に責任はなく、選手たちはやることをやるしかない」と懸念する。
「今の日本代表のほうがかつてに比べて世界的に知られている選手もいるし、地上波でやれば注目度も増す。なおさら地上波放送をするべき。ただ、“負けられない戦い”と言いますが、日本は欧州5大リーグでプレーする選手も増えたがゆえに、『なぜこの時期にこの場所で大会をしなければいけないんだ』という思いもどこかに少なからずあったはず。モチベーションのバラツキはかなりあったと感じました。いろんな物を得てしまった反動というか。例えば、韓国代表のエースであるソン・フンミンからは、アジアの威信や力強さが感じられた。海外の選手は、大会になると目つきが変わる。やっぱりサッカーはメンタルのスポーツだなと。
値段が関係はするけど、優勝して終わるのと、不完全燃焼でのベスト8敗退は雲泥の差。正直、イマイチな試合をテレビは放送したくないのは当然でしょう。(放映権を買うのを)やめようかなと手を引いてしまう可能性もありますから。8強敗退の影響はゼロとは言えない」
日本は3月にワールドカップ(W杯)アジア2次予選で北朝鮮代表との2連戦が予定されており、2026年の北中米W杯に向けた戦いが本格化していくが、地上波放送の行方も引き続き注目される。
栗原勇蔵
くりはら・ゆうぞう/1983年生まれ、神奈川県出身。横浜F・マリノスの下部組織で育ち、2002年にトップ昇格。元日本代表DF松田直樹、同DF中澤佑二の下でセンターバックとしての能力を磨くと、プロ5年目の06年から出場機会を増やし最終ラインに欠かせない選手へと成長した。日本代表としても活躍し、20試合3得点を記録。横浜FM一筋で18シーズンを過ごし、19年限りで現役を引退した。現在は横浜FMの「クラブシップ・キャプテン」として活動している。