板倉滉への不安は「ずっと兆候あった」 英記者が辛辣評価…森保采配が「ツケを払うことに」【コラム】

守備で後手を取った板倉滉【写真:ロイター】
守備で後手を取った板倉滉【写真:ロイター】

イランに屈した日本、英記者がアジア杯8強の戦いぶりに見解

 森保一監督の率いる日本代表は2月3日、アジアカップ準々決勝でイラン代表と対戦し1-2で逆転負けを喫し、ベスト8で敗退した。かつてアジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ(W杯)を7大会連続で現地取材中の英国人記者マイケル・チャーチ氏は、この試合での采配に疑問を投げかけている。

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 日本のアジアカップの旅が終わった。イランとの対戦で、サムライブルーは後半に一方的に打ちのめされる格好となり、大会に幕を下ろした。

 試合を分けたのはアリレザ・ジャハンバフシュのPKだったかもしれないが、それはあくまで日本の欠点が露わになり続けた後半45分間における、1つのピリオドに過ぎなかった。

 板倉滉の明らかなミスに注目しないわけにはいかないだろう。彼はいつもなら運動能力の高さとフィジカルの強さを生かしてプレーする選手だが、エデュケーション・シティ・スタジアムでは悲惨な目にあった。

 後半アディショナルタイムに冨安健洋と交錯し、不注意な突進でホセイン・カナニを倒してPKを与えたが、そのずっと前から兆候はあった。

 前半の初めから板倉と毎熊晟矢はイランの創造性あふれる攻撃に苦しめられており、ジャハンバフシュの際どいシュートが日本のDFたちの心に疑念の種を植え付けたことからすべては始まっていた。

 前半24分、モハメド・モヘビに対する不注意なチャレンジで受けた警告は板倉の不安を増大させた。彼はそこから落ち着きを取り戻すことができなかった。
 
 板倉の本調子でないことはハーフタイムの時点ではもう明らかだったが、森保一監督は彼の90分起用に固執した。板倉を町田浩樹と交代させなかったのは間違いだった。

 中盤の流れるような展開から守田英正が奪った見事なゴールは、板倉が失いかけていた自信や70%以上のポゼッションを誇りながらも試合を支配しきれなかったチーム全体の欠点を補うものだったが、日本はそこからリードを広げることができなかった。

サンダル・アズムンは幻ゴールを含め、脅威になった【写真:ロイター】
サンダル・アズムンは幻ゴールを含め、脅威になった【写真:ロイター】

ASローマのFWは「最高のパフォーマンスを見せた」

 結局、日本はそのツケを払うことになった。

 イランは後半、サルダル・アズムンをめがけてロングボールを放り込む戦いに切り替え、それが試合の流れを大きく変えた。ASローマのFWはブレイクを遂げた2015年のアジアカップ以来となる最高のパフォーマンスを見せたと言っていいだろう。

 彼のフィジカルや巧みなボールタッチは日本を苦しめた。冨安をかわして、DFの裏へ出した絶妙なパスがモヘビの同点ゴールを導いた。

 実際、イランの20番はフィニッシュ精度があと少し高ければ、あるいは裏への飛び出しのタイミングをほんの一瞬でも遅らせていれば、自ら2点目を決めていた可能性があった。

 結果的には、日本の守備の臆病さは彼らの敗退につながった。私も含む、多くの人が優勝を期待していたチームは、まさかの準々決勝敗退となった。

 2023年の後半から今年にかけて続いた破竹の勢いは今となっては単なる思い出に過ぎないが、ワールドカップ予選で獲得した勝点6は少なくともチームを次のフェーズに進めるための目に見える形での報酬だ。

 しかし、日本代表は結果として失敗に終わった今大会から、トーナメントにおける教訓を学ぶ必要があるだろう。

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マイケル・チャーチ

アジアサッカーを幅広くカバーし、25年以上ジャーナリストとして活動する英国人ジャーナリスト。アジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ6大会連続で取材。日本代表や日本サッカー界の動向も長年追っている。現在はコラムニストとしても執筆。

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