森保ジャパンの論点「意外にも…久保建英への期待値が高くない」 日本代表OBが起用法を疑問視【見解】
【専門家の目|金田喜稔】久保はイラン戦後半22分に交代「相手は安堵しただろう」
森保一監督率いる日本代表(FIFAランキング17位)は、2月3日にカタールで行われたアジアカップ準々決勝でイラン代表(同21位)と対戦し、1-2で敗れてベスト8敗退が決まった。「天才ドリブラー」として1970年代から80年代にかけて活躍し、解説者として長年にわたって日本代表を追い続ける金田喜稔氏が、MF久保建英の起用法について持論を展開している。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)
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日本が1-0とリードして迎えた後半6分、日本が相手陣内でボールを奪うと、DF伊藤洋輝とMF遠藤航がパス交換をしている間、MF前田大然が左のタッチライン際で相手最終ラインをけん制。それによって生まれた左サイドのスペースを見つけていた久保は、中央からスルスルと左サイドへ移動し、伊藤からのパスを受けると、ワントラップから間髪入れずにファーサイドのFW上田綺世を狙って高精度のピンポイントクロスを送った。
上田のシュートは惜しくもゴール上へ外れたが、ゴールの匂いを感じさせる圧巻のクロスを供給した久保の存在感は際立っていた。トップ下で先発し、後半22分まで出場した久保の起用法について、金田氏は疑問を呈している。
「久保を生かすシチュエーションをいかに作るか。チームとして、その狙いが見えない。久保個人の発想や機転、スキルに頼った打開になっている感は否めない。後半は確かに徐々にチームが押し込まれて日本が劣勢となり、久保の突破やキープが見られるような場面は減った。そのなかで後半22分に南野と交代したが、久保は残したまま南野を入れるというのも選択肢だったし、久保をもう少し長く使っても良かったというのが正直なところだ。結局、日本は時間の経過とともにゴールの匂いもしなくなった。とりわけ久保が下がってからは期待感が薄くなってしまった」
森保ジャパンにおいて久保は2列目で起用され、主にトップ下を主戦場としている。金田氏はスペイン1部レアル・ソシエダで主力としてフル稼働している久保のアタッキング能力を高く評価している一方、日本代表での久保の起用法にはもどかしさも覚えているという。
「久保がいる・いないで、日本の攻撃の機能度はガラッと変わってしまう。後半早々のビッグチャンスも久保が作り出したものだ。一瞬で決定的なシーンを作れる選手がいると相手は嫌なものだが、久保が下がってくれて相手は安堵しただろう。意外にも、今のチームでは久保への期待値が高くない。今回の試合だけでなく、これまでの起用法などを見てもそんな印象を拭えない」
スペインで着実に評価を高める久保。そんな22歳のレフティーをどう組み込むのか。日本代表が抱える論点の1つと言えそうだ。
金田喜稔
かねだ・のぶとし/1958年生まれ、広島県出身。現役時代は天才ドリブラーとして知られ、中央大学在籍時の77年6月の韓国戦で日本代表にデビューし初ゴールも記録。「19歳119日」で決めたこのゴールは、今も国際Aマッチでの歴代最年少得点として破られていない。日産自動車(現・横浜FM)の黄金期を支え、91年に現役を引退。Jリーグ開幕以降は解説者として活躍。玄人好みの技術論に定評がある。