「人の目に触れる数は違う」 アジア杯8強で地上波放送…代表OB吐露「今は反比例している」【見解】
【専門家の目|栗原勇蔵】普通は日本代表が強ければ試合も放送されていくが…
森保一監督率いる日本代表は、2月3日にカタールで行われるアジアカップの準々決勝でイランと対戦する。グループリーグでは第2戦イラク戦のみだった地上波放送が準々決勝以降は予定されており、元日本代表DF栗原勇蔵氏は「普段サッカーを観ない人も観てくれるはず」と期待を寄せている。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)
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今回のアジアカップでは、スポーツチャンネル「DAZN」が日本戦を含む全51試合をライブ配信。地上波では、テレビ朝日系列がグループリーグ第2戦の日本対イラク戦に加え、日本が決勝トーナメント1回戦バーレーン戦に勝利したことで、準々決勝、そして勝ち上がれば準決勝、決勝と地上波放送が予定されている。
グループリーグのベトナム戦とインドネシア戦、決勝トーナメント1回戦のバーレーン戦は地上波放送がなかったなか、日本代表OB栗原氏は「DAZNで配信されているのはありがたいこと。とはいえ、有料コンテンツとなれば観る人は地上波放送に比べると少なからず減る。スタジアムに試合を観に行くことを考えれば、(DAZNも)実際はそこまで高くはないと考えることもできますけどね」と語り、次のように続ける。
「もちろん、地上波で放送してほしいです。自分も地上波放送があった時、ゴールを決めたあとに『良かったね』と言ってもらえた経験があります。地上波放送のほうが、コアなサッカーファン以外も観てくれるのは間違いないですし、人の目に触れる数はおそらく大きく違いますから」
アジアカップで優勝したら状況も少しは好転するのでは――。そんな期待もあるが、昨年11月に中立地サウジアラビアで行われた2026年北中米ワールドカップ(W杯)アジア2次予選第2戦のシリア戦も地上波で放送されておらず、栗原氏も「アジアカップのタイトルを獲ったから変わるという段階の話でもない気がします」と現状に嘆く。
「普通は日本代表が強くなれば、右肩上がりで状況は改善していき、試合も放送されていくもの。強いチームをみんな観たいし、勝っているほうが観ていて楽しいからまた観ようとなる。だから放送も増えるけど、今は反比例してしまっている。バレーボールやフィギュアスケートの状況を考えると、サッカーも地上波放送をもっと宣伝してもいいのではないかと個人的には思います」
栗原氏は「サッカーファンの開拓・普及」も考え、かつてのように地上波放送が行われていくことを切に願っていた。
栗原勇蔵
くりはら・ゆうぞう/1983年生まれ、神奈川県出身。横浜F・マリノスの下部組織で育ち、2002年にトップ昇格。元日本代表DF松田直樹、同DF中澤佑二の下でセンターバックとしての能力を磨くと、プロ5年目の06年から出場機会を増やし最終ラインに欠かせない選手へと成長した。日本代表としても活躍し、20試合3得点を記録。横浜FM一筋で18シーズンを過ごし、19年限りで現役を引退した。現在は横浜FMの「クラブシップ・キャプテン」として活動している。