日本代表の「ベスト布陣」と生命線は? 16強バーレーン戦をOB展望「遠藤温存はリスキー」【見解】

バーレーン戦の布陣は?【写真:ロイター】
バーレーン戦の布陣は?【写真:ロイター】

【専門家の目|金田喜稔】森保ジャパンを支える「良い守備から良い攻撃へ」

 森保一監督率いる日本代表(FIFAランキング17位)は、1月31日のアジアカップ決勝トーナメント1回戦でバーレーン代表(同86位)と対戦する。「天才ドリブラー」として1970年代から80年代にかけて活躍し、解説者として長年にわたって日本代表を追い続ける金田喜稔氏が一発勝負の16強を展望し、日本代表の生命線を分析するとともに、ベストメンバーを予想した。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)

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 グループリーグでは冷や汗をかいた森保ジャパン。第1戦で苦戦しながらもベトナムに4-2と勝利し、第2選ではイラクに1-2と40年ぶりの黒星を喫するも、第3戦ではインドネシアに3-1と勝利してグループ2位通過を決めた。対するバーレーンはグループリーグ初戦で韓国に1-2と敗れるも、その後はマレーシアに1-0、ヨルダンに1-0と連勝して1位通過を決めている。

 日本は2011年大会以来、3大会ぶり5回目の優勝を目指すなか、バーレーン戦に向けて金田氏は「チームの生命線は、球際の強度、守備への切り替えの早さ、前線からのプレスと連動性、コンパクトネスとラインコントロール。詰まるところ『いい守備からいい攻撃へ』というのがベースにあり、『いい守備』の機能具合が最大のポイントだろう」と指摘する。

「2023年にドイツ代表やトルコ代表などを撃破した森保ジャパンは、その生命線が機能していた。もちろんアジアにはアジアの戦い方があり、日本の立場も変わるなかでスタイルの調整も必要だ。それでも生命線の根幹は変わらない。プレッシングがハマらず、コンパクトな陣形も保てないとなれば、敗れたイラク戦のように苦戦は必至だろう。第3戦のインドネシア戦では、特に前半途中まではその原点に立ち返ったようなプレーをしていたし、チームとしても好感触を得たはずだ」

 一方の攻撃面について、金田氏は「サイドの局面でいかに仕掛け、いかに崩すか」とポイントを挙げている。

「両サイドは日本のバロメーターと言ってもいい。右には伊東純也や堂安律、左には三笘薫や中村敬斗など、個で仕掛けてゴールも狙えるタレントが揃っている。この両サイドは日本の武器であり、調子を反映するバロメーターでもある。両サイドの幅を意識したパス回しで相手の意識も散らし、サイドバック(SB)もサポートしながら攻撃に厚みを出せるかどうか。両サイドで個人の仕掛けが増えてくると、攻撃のテンポも出てくるだろう」

右SBは「安定感も考えると毎熊がベター」 三笘は「強力な切り札として温存」

 日本のグループリーグ3試合を踏まえたうえで、金田氏はバーレーン戦に向けたベストメンバーを分析。「ベストメンバーで臨むと考えた時、GKは鈴木彩艶。インドネシア戦では自信を取り戻していた印象で、試合を重ねるごとに良くなっていく気配がある。後方でのパス回しに加え、キックやスローイングでも攻撃の起点となれるだけに、次も起用されるだろう」と見ており、続けて守備陣についても言及した。

「最終ラインは左から伊藤洋輝、冨安健洋、板倉滉、毎熊晟矢。右SBには菅原由勢もいるし、本来であればスタメンでも不思議ではない。ただ今大会は今のところ好調とは言えないだけに、安定感も考えると毎熊がベターだろう」

 また中盤と前線については、交代カードもイメージしながらベストメンバーの名前を挙げている。

「ボランチは遠藤航と守田英正の2人が鉄板。遠藤はイエローカードを1枚もらっており、累積警告の危険性を考えると温存したいところだが、今のチーム状況だと遠藤温存はあまりにリスキーだ。2列目は左が中村敬斗、トップ下が久保建英、右が伊東純也。三笘薫はまだ怪我明けでコンディションが万全とは言えないだろうから強力な切り札として温存し、ここぞという場面で投入する形。南野拓実は今大会2ゴールをマークしているが、総合的な脅威度を考えると久保を推す。展開次第で三笘、南野、堂安律の交代は考えられる。1トップは結果を残している上田綺世で決まりだろう」

 ここまでのところ遠藤、伊東、菅原、南野の4人がイエローカード1枚をもらっており、累積2枚になると次戦出場停止で、リセットされるのは準々決勝終了後だ。一発勝負のバーレーン戦。果たして森保監督はどの選手を先発として送り出すのか注目が集まる。

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金田喜稔

かねだ・のぶとし/1958年生まれ、広島県出身。現役時代は天才ドリブラーとして知られ、中央大学在籍時の77年6月の韓国戦で日本代表にデビューし初ゴールも記録。「19歳119日」で決めたこのゴールは、今も国際Aマッチでの歴代最年少得点として破られていない。日産自動車(現・横浜FM)の黄金期を支え、91年に現役を引退。Jリーグ開幕以降は解説者として活躍。玄人好みの技術論に定評がある。

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