元日本代表FW佐藤寿人が語るインドネシア戦攻略法 相手の最終ライン突破の鍵は?【現地発】

佐藤寿人氏がインドネシアの攻略法を分析【写真:ロイター】
佐藤寿人氏がインドネシアの攻略法を分析【写真:ロイター】

引き分け以上で2位突破が決まる

 森保一監督率いる日本代表は1月24日にカタール・ドーハで行われているアジアカップ・グループリーグ第3戦インドネシア戦に臨む。引き分け以上でD組2位抜けが決定。「FOOTBALL ZONE」では中継リポーターとして取材を重ねる元日本代表FW佐藤寿人氏を現地で直撃。第2戦のイラク戦は1-2で敗れ、10連勝がストップした森保ジャパンの再スタートとなる一戦は、どのように臨むべきか。最終ラインの“突破方法”をアジアカップ全試合観戦している佐藤氏に解説してもらう。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小杉舞)

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 初戦のベトナム戦では4ゴールを挙げたものの、イラク戦では後半アディショナルタイムの1ゴールのみに沈んだ日本。インドネシアはFIFAランク146位。同17位の日本はアジア最上位だが、やはりランク関係なくアジアの差は縮まっている。どんな相手もリスペクトは必要だが、トップとしてプライドを持って戦いたい。

 そのなかで、佐藤氏はマレーシアのジョホール・ダルル・タクジム所属のスペイン出身DFジョルディ・アマトに注目。日本の攻撃陣がインドネシアの最終ラインを突破するには、がっつり引いて守ってくる包囲網をかいくぐらなければいけない。

「ジョルディ・アマトは高さも1対1の強さもあります。彼を引っ張り出すことで、結果的には守備のそれぞれの距離感というのが生まれるのと、スペースが生まれて2列目が入っていける。そうすると左(サイド)に開いている選手が入ってくるスペースもありますし、トップ下の選手とかもそこを使えるようになる」

 日本のシステムや布陣は不透明だが、FWの動き出しでアマトを揺さぶることで、トップ下でプレーするMF久保建英やMF南野拓実、左サイドのMF中村敬斗らにチャンスが生まれる。もちろん1トップ本人にも得点の可能性が高まる。

「5-4-1でやってくると思う。しっかり構えてというところは、間違いなく考えてくると思いますし、日本にスペースを与えると『自由にやられる』というのは考えていると思う。(インドネシアが)イラク戦で見せたような、両翼2番と7番が、(ディフェンスの)背後を取りに行くというところは間違いなくやってくる。その部分はイラクとの試合でも、インドネシアは守備一辺倒じゃなくてしっかりカウンターに出ていた。プランとして考えると思います」

 やはりゴールの鍵となるのは1トップ。アジアの固い守備に対して、例えば上田綺世をはじめ、FW陣の動き出しは武器となる。

「(21日の)サウジアラビアが(キルギス戦で)1人退場者が開始早々出て、(システム)5-4-1から5-4に変わっても、結局、ストライカーのプレーエリアで言えば、スペースはあまり変わらない。そこで何が必要かって言ったらある程度の動きで相手を動かすことと、そのスペースを作ること。もちろんさらに優勢を作るには高さとか、コンタクトしたところの強さとか、もちろん入るタイミングというところは、高さがなくても十分プラスにはできるんですけど、元々強さとかが備わって、なおかつ動きができると意味では構えられてもある程度、僕は仕事ができるんじゃないかと思います」

 上田のポストプレーだけでなく、動き続けることで相手をジリジリと動かす。どれだけ枚数をかけられても、その一瞬を突いて勝負することができる。

 日本はイラク戦からアジア杯優勝へ向けてのリスタート。ここで勝利を挙げて、決勝トーナメントへ進む。

「イラク戦の悔しさを考えるとしっかり勝ってその次のベスト16につなげたい。おそらくメンバーも多少入れ替えると思う。それを考えると、ここまで強化試合でも2試合でメンバーを入れ替えて、みんなが戦力になってきた。ここまでのチーム作りを考えると、やっぱり出ていない選手とか出場機会が短い選手は、この後のラウンド16以降の日程を考えるには見せておかなきゃいけない。誰が出てもやってくれるというか、やれるチームだと思いますし……あとはやれないと、厳しく言うと話にならない」

 ここまで積み上げた10連勝。それはストップしてしまったが、アジアカップ優勝への道が閉ざされたわけではない。いつかはどこかのチームに負けただろう。それは優勝した時にこそ「ターニングポイントだった」と言える。イラク戦をそうするためにも、まずはインドネシア戦で必ず勝利を掴み取る。

(FOOTBALL ZONE編集部・小杉 舞 / Mai Kosugi)



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