日本代表16選手…「最も低調」「軽すぎる」「唯一の朗報」は? 金田喜稔がアジア杯イラク戦採点

日本代表の16選手を5段階で採点【写真:ロイター】
日本代表の16選手を5段階で採点【写真:ロイター】

【専門家の目|金田喜稔】「前進」の冨安健洋、菅原由勢は「今後も狙われる可能性」

 森保一監督率いる日本代表(FIFAランキング17位)は、1月19日にカタールで開催中のアジアカップ・グループリーグ第2戦でイラク代表(同63位)と対戦し、1-2で敗れた。「天才ドリブラー」として1970年代から80年代にかけて活躍し、解説者として長年にわたって日本代表を追い続ける金田喜稔氏が、この試合に出場した日本代表の16選手を5段階(5つ星=★★★★★が最高、1つ星=★☆☆☆☆が最低)で採点した。

   ◇   ◇   ◇   

<GK>

■鈴木彩艶(シント=トロイデン)=★★★☆☆
 しっかり反応はしていたが、結果的に中途半端な対応となり失点を招いた。第1戦も同じように中途半端な対応から失点。それでも2戦連続で起用されたのは期待の証なのだろう。

<DF>

■菅原由勢(AZアルクマール)=★★☆☆☆
 はっきり言ってパフォーマンスは良くなかった。この日のメンバーで最も低調と言っても過言ではない。球際での軽すぎるプレーが2失点目に直結した。第1戦と同様に本来の良さを発揮できていない。不安定さが目に付き、今後も狙われる可能性がある。

■谷口彰悟(アル・ラーヤン)=★★★☆☆
(→ハーフタイムOUT)
 相手の起点を潰し切れず、球際で競り負けるシーンも。板倉との中央も強固とはいえず、対応で後手を踏んだ。結局、ハーフタイムに下がって冨安と交代したが、不完全燃焼だった。

■板倉 滉(ボルシアMG)=★★★☆☆
 谷口と連動するも、相手の攻撃を食い止め切れない場面も目に付いた。コンパクトな陣形を維持できず、こぼれ球への対応も甘くなった。谷口と同様、相手18番への対応に苦戦していた。

■伊藤洋輝(シュツットガルト)=★★★☆☆
 失点シーンでは相手に飛び込まれて失点。南野との縦関係が十分に機能していたとは言えないが、左MFとの相性は起用する側の問題。上がりは悪くないがクロスは改善の余地がある。

■冨安健洋(アーセナル)=★★★☆☆
(←ハーフタイムIN)
 まずはプレーできたこと自体が大きな前進。この日、チームにとって唯一の好材料であり朗報。2点ビハインドのなか、冨安にできることは限られていたが、後方から冷静にパスを捌いていた。

「起用法の問題」が見えた南野拓実、久保建英は「上向いてきた矢先に交代」

<MF/FW>

■守田英正(スポルティング)=★★★☆☆
(→後半29分OUT)
 組み立ての際に動き回ったものの、効果的な崩しに関与できず。2列目を効果的にサポートできないまま交代。中盤の攻防でもやや後手を踏むシーンもあった。前半、修正が施せない時間が長く続いた。

■遠藤 航(リバプール)=★★★☆☆
 終盤に今大会初ゴールを決めて意地を見せ、チームに勢いをもたらしたが時すでに遅しという状況だった。とりわけ前半はチームの歯車がやや噛み合わないなか、攻守の軸として上手く修正を施せなかった。

■南野拓実(ASモナコ)=★★★☆☆
 今回だけに限らず、基本的に左サイドでの起用は疑問。中央に入りがちで、トップの久保がプレーするエリアが狭くなり、結果的に攻撃が機能不全に陥った。後半トップ下に入ると、やはり彼の良さが戻った。第1戦でもトップ下で結果を出しており、起用法の問題が大きい。

■久保建英(レアル・ソシエダ)=★★★☆☆
(→後半16分OUT)
 前半は相手の厳しいマークに遭い、思うようにプレーできなかった。後半はチームで主戦場としている右サイドにずれて、徐々にプレーも上向いてきたと思った矢先に交代だった。上田を投入した際に久保も同じ時間帯で下がってしまったが、上田と久保の2人が一緒にプレーしていればと思わずにいられなかった。

■伊東純也(スタッド・ランス)=★★★☆☆
(→後半29分OUT)
 前半はかなり抑え込まれていたが、後半に入ってチャンスを演出。スピードで挑む場面が増えてくると、やはり本来の怖さが出てくる。相手もよく研究して、最後のところでやられないように上手く抑え込んでいた印象が強い。

■堂安 律(フライブルク)=★★★☆☆
(←後半18分IN)
 ゴール前で大きくふかしたシュートはあったが、堂安らしいプレーは随所に見られた。ゴールへの意識も強く、あと一歩でゴールという場面まで作った、最後のフィニッシュで精度が足りなかった。

苦しい展開で期待も…FW陣は「物足りない出来」「持ち味を出せなかった」

<MF/FW>

■浅野拓磨(ボーフム)=★★★☆☆
(→後半16分OUT)
 あと一歩でPKという場面があったものの、それ以外で見せ場らしいものはなく、1トップとしては物足りない出来。攻撃の起点となり切れなかった。前線からプレッシングするような展開でないと生きない。

■旗手怜央(セルティック)=★★★☆☆
(←後半29分IN)
 終了間際のコーナーキックから正確なキックで遠藤のゴールをアシストしたのは見事。彼の良さが出たワンシーン。流れのなかでも攻撃にアクセントを加えてほしかった。

■前田大然(セルティック)=★★★☆☆
(←後半29分IN)
 クロスに反応してシュートを放つシーンはあったものの、前田のスピードが生きる場面は限られた。相手が引き気味に守るような展開だと、前田のプレースタイル的に攻撃に変化を起こすのは難しかった。

■上田綺世(フェイエノールト)=★★★☆☆
(←後半16分IN)
 相手が守備を固めるなかで難しい展開なのは承知だが、ストライカーとしては、この苦しい場面でこそ強烈な存在感を示して日本を救ってほしかった。絡む場面が少なく持ち味そのものを出せなかった。

金田喜稔

かねだ・のぶとし/1958年生まれ、広島県出身。現役時代は天才ドリブラーとして知られ、中央大学在籍時の77年6月の韓国戦で日本代表にデビューし初ゴールも記録。「19歳119日」で決めたこのゴールは、今も国際Aマッチでの歴代最年少得点として破られていない。日産自動車(現・横浜FM)の黄金期を支え、91年に現役を引退。Jリーグ開幕以降は解説者として活躍。玄人好みの技術論に定評がある。

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