日本代表優勝で「風向き変わる」 アジア杯初戦の地上波放送なし…代表OB吐露「悲しい」【見解】
【専門家の目|金田喜稔】日本がアジア杯白星発信も…地上波放送なしに「複雑な心境」
森保一監督率いる日本代表(FIFAランキング17位)は、1月14日にカタールで開催中のアジアカップ・グループリーグ初戦でベトナム代表(同94位)と対戦し、4-2と勝利して白星スタートを切った。「天才ドリブラー」として1970年代から80年代にかけて活躍し、解説者として長年にわたって日本代表を追い続ける金田喜稔氏は、地上波での放送がなかったベトナム戦について「せめて日本戦ぐらいはすべて地上波でというのが本音」と語っている。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)
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今回のアジアカップでは、スポーツチャンネル「DAZN」が日本戦を含む全51試合をライブ配信。地上波では、テレビ朝日系列がグループリーグ第2戦の日本対イラク戦に加え、日本が勝ち上がった場合は準々決勝、準決勝、決勝と最大4試合の地上波放送を予定している。
初戦のベトナム戦は地上波放送がなかったなか、金田氏は「4年に1回のアジアカップだから、せめて日本戦ぐらいはすべて地上波で放送してほしいというのが本音」と語り、次のように続ける。
「第2戦は引き続きDAZNで配信され、テレビ朝日で地上波放送もあるのは良かったが、第3戦や決勝トーナメント1回戦は再び地上波放送がない。もちろんビジネスなのは理解している。以前も日本代表のアウェー戦で放映権が問題になっていたが、ビジネスである以上、交渉が難しかったのだろう。テレビ局からすれば、金額で折り合いが付かないのだから仕方ないのだが、サッカーを愛する1人として考えると地上波がない現状は悲しいし、複雑な心境になる」
金田氏がとりわけ危惧しているのは「サッカーファンの開拓・普及」という点だ。「その観点から考えるとマイナス面は非常に大きい。子供たちが日本戦を気軽に見られる環境がない、あるいは限られた環境でしか見られないのは、サッカー界にとって大きな打撃だ」と力説する。
「DAZNに入れば見られるという意見はその通り。ただ一方で、家計を圧迫するという意見があるのも事実。地上波で中継してくれるに越したことはない。今回のアジアカップでも日本が勝ち上がれば、準々決勝からは地上波中継がある。注目度が一気に上がるなかで優勝すれば、また風向きも変わってくる。サッカーが盛り上がりを見せ、日本全体でサッカー熱が高まるなかで優勝できるかどうか。日本サッカーの未来にとっても重要になってくる」
森保ジャパンは1月19日の第2戦でイラク、24日の第3戦でインドネシアと対戦。決勝トーナメントでは順調に勝ち上がれば4試合を戦うなか、金田氏は「将来を担う子供たちのため、そして日本サッカーの未来のため、是が非でも日本には優勝してもらいたい」と切望していた。
金田喜稔
かねだ・のぶとし/1958年生まれ、広島県出身。現役時代は天才ドリブラーとして知られ、中央大学在籍時の77年6月の韓国戦で日本代表にデビューし初ゴールも記録。「19歳119日」で決めたこのゴールは、今も国際Aマッチでの歴代最年少得点として破られていない。日産自動車(現・横浜FM)の黄金期を支え、91年に現役を引退。Jリーグ開幕以降は解説者として活躍。玄人好みの技術論に定評がある。