吉田麻也が語るMLSのリアル「ダービーで8万人入った」 米で奮闘FWの森保J入りも“推薦”「価値十分ある」

LAギャラクシーに所属する吉田麻也【写真:ロイター】
LAギャラクシーに所属する吉田麻也【写真:ロイター】

内田篤人氏の質問に回答

 日本代表の前キャプテンであるDF吉田麻也が、元日本代表DF内田篤人氏がホストを務めるスポーツチャンネル「DAZN」の番組「Atsuto Uchida’s FOOTBALL TIME」に出演。現在所属しているメジャーリーグサッカー(MLS)のロサンゼルス・ギャラクシーのことやアメリカのサッカー熱について語った。

 2010年に名古屋グランパスからオランダのVVVフェンロに加入した吉田は、その後も欧州でキャリアを続けた。2012年からはイングランド1部サウサンプトンへ移籍。その後、イタリア1部サンプドリア、ドイツ1部シャルケと渡り歩き、10年以上に渡って欧州で活躍を続けた。

 しかし、シャルケとの契約が満了を迎えた吉田は、LAギャラクシーに移籍する決断をする。内田氏に「そもそも、なんでアメリカにしたの?」と問われると、吉田は「ヨーロッパにいたかったし、探していた。ただ、年齢的にも状況的にもファーストプライオリティーで取られる状況ではなかった。『フリーだから取ろう!』という状況ではないから、もうちょっと待たなきゃいけないなと。ただ、待てば待つだけ自分でトレーニングをしないといけないから、プレシーズンが難しくなる。なるべく早く決めたいなと思っていたんです。7月の頭くらいに決めたいなと思った時に、(オファーが)来たのが中東だったり、日本だったり。ヨーロッパでもちょっと外れた国で、お金は出すけどリーグとしては……という感じだったので、それは自分が求めているものではないかなと思っていた時に、このオファーが来た」と、その経緯を切り出した。

 そして、「正直、僕もヨーロッパで結構長くやっているので、ヨーロッパで新しいものを発見できることが少なくなってきているんです。もちろん、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)とかに出れば、やったことがないことなのでいろいろ学べることはあると思いますけど。今さらオランダに戻るとか、シャルケから下にレベルを落とすことを考えても、オランダとかベルギーとか違う国に行ってもあまり得られるものがないのかなと。だったら何かしら人がやったことがないこと、新しいことをやりたいなと思っていた時に、この話が来て『ちょっと魅力的だな』と。もちろん街も、なかなか住める街ではないので家族のことを考えても、その方がいいかなと思ったので『行ってみよう』と」と、欧州を離れる決断を下した背景について説明した。

 内田氏は「(MLSのことは)意外にというか、あまり知らないですよね。吉田が行くって知ってから『あ、いいところに行ったな』って(思った)。『中東かな?』と思っていた時もあったし、『日本に帰ってくるのかな?』と思った時もあったけど、『アメリカですか。吉田さん、さすがです』と(思った)」と感想を口にし、「実際にどうなのレベルは?」と尋ねた。

 吉田は「レベルはイングランドとか、イタリア、ドイツとか、僕がやってきたところと比べると、もちろん劣るかもしれないですけど、日本にすごく似ているかなと思います。そんなにフィジカルが大きくない。あとはシーズンが同じなので、暑いんです。どうしても強度が、なかなか上がらない。その分テクニックが伸びる。(チーム数も多く西地区と東地区で計29チームあり、)たまに交流戦みたいなものもある。それもまた面白くて。だから、僕と(リオネル・)メッシのいるインテル・マイアミはリーグが違うんですが、戦う可能性もある」と、東地区のインテル・マイアミに所属するアルゼンチン代表FWリオネル・メッシとの対戦への希望を口にした。

アメリカのサッカー熱は…?「自由に生活できる」

 また、集客についても「入るチームには、入る」と言い「これがアメリカだなと思うのが、良くも悪くもエンターテインメントなんです。盛り上がる試合は、ものすごく盛り上がる。LAには2つチームがあって、LAFC(ロサンゼルスFC)とうちのギャラクシー。そのダービーがあって、8万人入ったんです。それが過去最高らしいんですけど、そのあとの試合も小さいスタジアムで4万人が入った。でも、プレーオフを逃した後の僕らの試合には1万人ちょっとしか入らなかった」と、試合ごとの差が驚くほど大きい状況を説明した。

 内田氏は「でも、1万人超で入るんだ。すごいね」と言い「でも、野球とか、アメフトとか、スポーツがデカいじゃん?」と、他の競技と比較した場合について、サッカーがどう見られているかを聞くと、吉田は「イギリスにいたり、イタリアにいたり、ドイツにいたりすると、『吉田さん』って(握手を求められたり)なるじゃん? 1回もならない。本当に声をかけられるのは日本人か、たまにイタリア人。それはそれで、ちょっといい。自由に生活できるし」と、これまで身を置いていた欧州とは、サッカー熱が大きく異なることを実感していた。

 そして、内田氏が「日本はアメリカを目指した方がいいのかな?」と聞くと、吉田は「ヨーロッパを見習いながら、アメリカのいいところを取り入れるのが一番いいと思う。僕が今回行ったことによって、日本人の選手がこれから増えて、いろいろな人が来るのもありなのかなと思います。いろんな人生の知見が広がるんじゃないのかなというのと、日本のサッカーがよりグローバルになる。元日本代表FW久保裕也が所属しているシンシナティのサッカーとか、ものすごくいいので。個人的なことを言えば、ドイツ2部の選手が(代表に)選ばれるんであったら、裕也が選ばれる価値も十分あると思うし、それくらいの結果を出しているので。そういう選手を1回、呼んでみても面白いなと個人的には思います。多分、協会もみんなと同じで、アメリカのことはあまり分からないと思う。だからアメリカで次のW杯はあるので、そういうのを含めていろんなことを見に来るのは協会もやらないといけないのかなと思います」と、MLSやアメリカに、より多くのことを知る価値があることを強調した。

(FOOTBALL ZONE編集部)



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