“1.5軍”で臨む覚悟も必要 森保ジャパン、2023年10試合を「総点検」 第2次政権で最大の課題「コンディション調整」問題【コラム】
2023年は8勝1分1敗で底上げに成功
森保一監督率いる日本代表は、北中米ワールドカップ(W杯)アジア2次予選のミャンマー代表、シリア代表と対戦した11月シリーズで2連勝を飾り、6月から連勝記録を8に伸ばした。これは日本代表の連続勝利記録で最多タイ。今年スタートした第2次政権で着実に実力アップを図っている森保ジャパンの2023年10試合を5つの項目に分けて「総点検」する。第5回は森保監督の「コンディション調整」について――。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小杉舞)
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第2次政権だけではなく、これまでもそして今後も付きまとう問題が「コンディション調整」。欧州クラブでプレーするだけでなくUEFAチャンピオンズリーグ(CL)やヨーロッパリーグ(EL)を戦う選手が圧倒的に増えた。そのなかで、2024年以降もアジア2次予選、最終予選を含めて欧州と日本、各アウェーへの遠征が連続する。
特にW杯予選がスタートした11月シリーズ、チームは同16日にミャンマー戦を終え、そのまま深夜便でサウジアラビア入り。到着した17日はホテルで汗を流し、18日からピッチで練習した。練習がスタートする17時半頃には日が暮れ始め、気温も30度を下回るが紅海に面する第2の都市ジッダは湿度の平均が60%にも上った。選手はやはり“蒸し暑さ”を感じていた。
暑熱対策で練習は普段カタールでプレーするDF谷口彰悟を除いてほとんどの選手が長袖を着用。日本にいる時からサウナに入り、調整してきた。普段欧州でプレーする選手はサウジでの戦いを見据えて、帰国時には時差ぼけを戻すことなく、ミャンマー戦に臨むなど工夫も凝らした。DF町田浩樹は「午前中とか完全に寝ちゃって、夜ちょっと夜ふかしするみたいな感じで調整した」と話していた。
それだけ、欧州組が1度帰国して再び中東への長距離移動するのは大変なこと。MF南野拓実は「ちょっと移動の疲れとか、そういうのは残っています。いつもより回復しきれていないなっていうのはある」と漏らしていた。
正直、サウジ入りしてからどの選手からも疲労の色が感じられた。CLを戦うDF冨安健洋は欧州から帰国したものの、ミャンマー戦はベンチ外。W杯初戦という事情はあったが、シリア戦の出場を予定していた欧州組はサウジでの合流がよりいいマネジメントだったのではないかと思う。
森保ジャパンは10月、11月シリーズと怪我人が続出した。来年以降もまだまだ2次予選は続くなか、完全な新チームで臨むことはこれまでの積み上げもあり、難しい。だが、なるべく長距離移動や時差など選手に負担がないマネジメントに挑戦するのも新たな一手となるかもしれない。
欧州で戦う選手、特にCLやELなどに出場して日程が過密になっている選手は多い。アジア予選にベストメンバーだけでなく、“1.5軍”で臨めるようになれば、日本もステップアップできるかもしれない。今回の調整が最終予選に生きてくる可能性もあるが、2024年以降はより選手が万全の状態で臨めるように調整していってもらいたい。