森保ジャパン、W杯前後に見られる決定的な“変化” 指揮官が第1次政権から積み重ねてきたものとは?【コラム】

森保ジャパンがW杯前後で見せた“変化”とは?【写真:徳原隆元】
森保ジャパンがW杯前後で見せた“変化”とは?【写真:徳原隆元】

カタールW杯前に対戦したカナダに快勝

 森保一監督率いる日本代表は10月13日、デンカビッグスワンスタジアムで国際親善試合カナダ代表と対戦し、4-1で勝利した。カタール・ワールドカップ(W杯)前には1-2で敗れた相手にゴールラッシュで完勝。ここ直近5試合連続で4ゴール以上を記録しており、計22得点と得点力が爆発している。第2次政権になり、森保監督の采配にも余裕が感じられるようになってきたなか、W杯前後での“変化”に注目する。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小杉舞)

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 昨年と違った姿を見せた。立ち上がりから攻勢に出た日本代表は前半開始早々に電光石火の先制点を掴み取った。前半2分、インサイドハーフ起用されたMF田中碧が先制点をマーク。カナダに攻め込まれ、4-1-4-1システムがハマらないシーンも見られたが、同40分にオウンゴール、前半42分には森保監督からMF三笘薫の代役に名指しされていたMF中村敬斗が技あり弾を決めてリードを広げた。後半4分には再び田中が決めて、終盤に失点したものの、最終的には4得点のゴールラッシュで快勝した。

 昨年のカタールW杯前に対戦した相手に雪辱を晴らす勝利。この日は4-1-4-1でスタートしながらも、ハマりきらずにダブルボランチに変更して、4-2-3-1に可変させた。これは選手が自発的に切り替えて、前半21分に相手に与えたPKのVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)で確認中にコーチ陣と意見をすり合わせ、4-2-3-1に変更することを伝えた。ミスマッチの中で主導権を握る戦いを選手が自ら発言していた。

 9月のドイツ戦でもハーフタイム後に3バックに変更。これもDF冨安健洋ら選手からの提案だった。

 森保監督は第1次政権から“臨機応変な対応”を選手に求めてきた。実際ピッチに立っている選手が考えて行動することを尊重し、意見を聞いて決断する。2018年に第1次政権を立ち上げてから5年をかけ、そのコンセプトが浸透してきた。

 現在の代表選手はプレミアリーグでプレーする冨安や三笘、遠藤航がいる。例えばリバプールのユルゲン・クロップ監督の教え子には遠藤だけでなく、南野拓実もいる。世界的な名将から指導を受ける選手が多くいるなかで、どんな意見も耳を傾けてまとめていくのが森保監督。カタールW杯を経て、強豪を倒すことで自信もつけた。その余裕が今の日本代表には感じられる。

 カナダ戦の終盤にはDF毎熊晟矢、MF旗手怜央をサイドハーフで起用。11月から始まるW杯予選や来年1月のアジアカップに向けて、さまざまなポジションをこなせるか“テスト”した。大量リードがあったことで多くのことが試せた。第1次政権の立ち上げ当初にはなかなか見られなかった光景が広がっている。

 森保監督は今回の10月シリーズ、大幅なメンバー変更をしなかった。連戦を強いられている海外組は長距離移動や時差ぼけもあるため、招集を見送る声もあった。だが、積み上げてきたコンセプトを継続させるためには、基本的にメンバーを変更することはできなかった。

 森保ジャパンは2026年北中米W杯の優勝を目指している。3年後の舞台に向けて、一戦一戦の経験を積み重ねていっている。

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