今季凋落の一途をたどるリバプール その裏にある3つの要因

“デリケート”な存在となっているジェラード

 

 2つ目は、ロジャース監督の哲学にある。昨季は縦パスを主軸とした流動的なポゼッションサッカーで旋風を巻き起こしたが、今季は見る影もない。昨季の世界最高峰の2トップが不在であるのに加え、戦力の入れ替えもあったものの、北アイルランド人指揮官は自身のポリシーに固執しすぎている印象が強い。

 バーゼル戦でも、0-1とビハインドという状況の中で、FWリッキー・ランバートをベンチに下げた。確かに前半ランバートがボールに絡む機会は多くはなかったが、残りの時間で2得点が絶対条件の状況下で、終了間際にパワープレーが必要になる可能性も大いにあった。だが、指揮官はFWスターリングを中央にコンバートし、あくまでゲームの主導権を握る選択をした。試合の流れこそ改善されたものの、ボックス内が手薄なこともあり、ゴールにはつながらなかった。

 先日のチェルシー対ニューカッスルを引用すると、チェルシーは結果的に1-2で敗れはしたものの、終了間際には闘志みなぎるパワープレーで相手のゴールマウスに喰って掛かった。勝利への執念、そのために手段を選ばぬ貪欲さ、それがロジャース監督のサッカーには決定的に欠けている。

 3つ目は、スティーブン・ジェラード。実はこの点が最もシビアな問題でもある。キャプテンは、昨季途中から中盤の底でプレーしているが、晩年を迎えたこともあり、ハードワークに苦しんでいる姿が多々見受けられた。

 最後の局面でマークをフリーにしてしまい、失点に絡む機会も増えた。指揮官自身が提案したコンバートでもあったが、今季途中から本来のトップ下に戻した。それからの主将は確かに及第点以上のパフォーマンスを発揮している。

 しかし、4-2-3-1システムを採る現在のチームは、守備時に4-4-2にシフトし、ジェラードが最前線に残る。この場合、攻撃の起点を担うスターリングに守備時の負荷を与えてしまっており、それが攻撃の連動性にも影響を及ぼしている。

 もちろん、バーゼル戦での圧巻のFKや精神的支柱であることを考えれば、不可欠な存在であることに疑いはない。今のリバプールがジェラードなしに向上していくとも思えない。だが、ジェラードがクラブにおいて極めてデリケートな存在になっているのも確かな事実なのである。

「リバプールは予選突破にふさわしくなかった。今日のパフォーマンスのみで敗退したわけではない。6試合で突破を争うものであり、僕らは十分でなかった」

 CL敗退が決定した直後のインタビューで、ジェラードは虚ろな表情でそう口にした。04-05シーズンの1次リーグ最終節オリンピアコス戦、2点差での勝利が絶対条件であった中で、ジェラードが圧巻のシュートを叩き込み予選突破を遂げ、最終的には優勝を果たした。当時と類似したシチュエーションであった今季のCLに、サポーターは再び奇跡を信じた。しかし、今のリバプールには奇跡を呼び込む力はなかった。雨が降りしきるアンフィールドで、背番号「8」は静かにピッチを後にした。

【了】

サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

 

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