森保ジャパン、メンバー選考から読み解く「10月シリーズ展望」 5人の“復帰”がもたらした3つのポイント【コラム】

10月シリーズを展望【写真:高橋 学】
10月シリーズを展望【写真:高橋 学】

13日にカナダ、17日にチュニジアと対戦

 JFA(日本サッカー協会)は10月4日、10月に行われる親善試合2試合に向けて日本代表メンバー26人を発表した。森保一監督は13日のカナダ代表戦、17日のチュニジア代表戦に向けて9月のメンバーから5人を入れ替えた。カタール・ワールドカップ(W杯)以来の招集となったMF南野拓実、負傷によりW杯を離脱したDF中山雄太らが復帰。一方で常連組のMF堂安律やMF鎌田大地が選外となった。11月からW杯アジア予選がスタートし、来年1月にはアジアカップが待ち受けているなか、“最後”の調整とも言える今回の展望を選考メンバーから読み解いていく。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小杉舞)

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 森保ジャパンは9月の欧州遠征でドイツ代表(4-1)、トルコ代表(4-2)と戦い2連勝を飾った。アウェーの地での強豪との対戦で現在地を図る目的があったが、W杯時に比べるとボール保持率も上げながらそれぞれ4ゴール、計8点を奪う試合運びを見せた。コンパクトでタイトな守備でも安定感を発揮。収穫の多い2試合となった。

 欧州相手に日本のレベルがワンランクアップしたことを示した9月。だが、ここからは対アジアの戦いを視野に入れていかなければならない。10月の対戦相手のカナダについて、森保監督は「監督が代わってどういう戦いをするのかは未知数だが、個々に能力の高い選手がいることはカタールW杯前の親善試合で把握できている。ただ、戦術は分からない」と、不透明な部分もあることを示唆。一方のチュニジアは「昨年6月に試合をして、堅い守備から攻撃を仕掛けてくる。その部分でアジアの戦いと共通する部分があると言える相手。チュニジア戦はアジアでの戦いをイメージしながら経験値を上げ、次の戦いの準備ができると思う」と、アジアを相手にするうえで重要な相手と捉えた。

 今回、各ポジションのなかで大きくメンバーを変えたのがGKだ。2021年以来の復帰となったヴィッセル神戸の守護神・前川黛也。父は元日本代表やサンフレッチェ広島で森保監督と共闘した和也さんだ。パリ五輪世代で今夏からベルギー1部シント=トロイデンでプレーする鈴木彩艶も復帰となった。特に21歳の鈴木はU-22日本代表も五輪に向けて合宿しているなかでのA代表招集。指揮官は「シント=トロイデンで試合に出続けて好パフォーマンスを見せてくれている」と説明した。一方で落選となったシュミット=ダニエルは今夏、移籍がかなわずクラブで厳しい立場に晒されている。9月のトルコ戦後には「チームに戻ってみないと分からないけど、戻って試合に出してもらえるか分からない状況。そういう中でも腐らずにちゃんとやっていれば見ている人は見ていると思う。1年後に報われるように頑張りたい」と、現況に理解を示していた。

 第2次森保ジャパンでは絶対的な守護神が不在。新たな候補を発掘するには10月の親善試合がぴったりのなか、思い切って2人も変更したことにはぜひ注目したい。大迫はドイツ戦で一定の評価を得ているため、復帰の2人にチャンスが回ってくるかもしれない。

10月で挑戦したい攻撃的な3バック…南野拓実の役割は?

 10月もこれまでどおり、ターンオーバーして2戦に臨む可能性が高い。対アジアをよりイメージできるチュニジア戦ではより攻撃的な3バックに挑戦することも考えられる。9月の遠征でMF守田英正が「攻撃的な3バックの作り方は、僕は1つ持っておかないといけないと思う。もっとうしろは3枚プラス、ボランチ1枚の4枚で守れるような形で、前に(3トップと両ウイングバックの)5枚プラス間に(ボランチの)1枚みたいなイメージがあれば。今はまだその配置のままでしかプレーできていない」と、アジアの鉄壁守備を突破するためのプランを思い描いていた。サイド攻撃、中央突破と臨機応変に組み立てながらも、さらなるオプションを構築していく2試合にするだろう。

 そしてもう1つの注目は南野がどこまでフィットするか。森保監督は「4-2-3-1であればトップ下のところがベースだと思っている。トップもウイングもできる。カタールW杯ではウイングでプレーしてもらいながら内側に潜り込んでくるプレーをしてもらったので、そういうプレーも期待できる。4-1-4-1の場合はインサイドハーフが基本的なプレーかなと思うが、トップもやってもらったこともあるしウイングから中に入るのも彼の良さを生かしてチーム戦術に組み込めると思う」と、想定した。

 2列目の競争は依然として激しい。堂安と鎌田の選外はコンディション不良で所属チームの活動に集中するため。南野にとっては、今後も代表で生き残るうえでは試練の2試合となるだろう。特に新たな挑戦となるインサイドハーフで真価を発揮することができれば、南野がプレーできるポジションの選択も増えてくる。そういう意味でも10月のテストマッチも今後に向けて大きな意味合いを持つはずだ。

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