“超過密日程”浦和の厳しい台所事情 メンバーに夏補強選手が0人…指揮官が言及「今は出場時間がより長い選手の方が…」

浦和のマチェイ・スコルジャ監督【写真:徳原隆元】
浦和のマチェイ・スコルジャ監督【写真:徳原隆元】

優勝争いからは1歩後退

 浦和レッズは9月29日のJ1リーグ第29節・横浜FC戦を1-1で引き分けた。同日に勝利した首位のヴィッセル神戸とは勝ち点8差となり、残り5試合で優勝の可能性は大きく遠のいてしまった。

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 浦和は9月に入って公式戦が7試合目で、そこにはAFCチャンピオンズリーグ(ACL)での中国遠征も含まれる。7月後半の中断期間が明けた8月は公式戦6試合を戦っていたので、この2か月で13試合を戦った。その中では負傷者も連続的に出て、前節ガンバ大阪戦で退場処分を受けたFWホセ・カンテは出場停止と台所事情は苦しい。

 この日のスタメンは、最前線にFWブライアン・リンセンを配置し、2列目は17歳のMF早川隼平をトップ下、左右のサイドハーフはともに中央でのプレーが本来のものであるMF安居海渡とMF小泉佳穂だった。しかし、1点ビハインドの前半35分ごろにリンセンが左足の太ももあたりを気にする素振りを見せ、FW興梠慎三と交代に。ハーフタイムには攻撃的なポジションでは早川と小泉を下げ、FW髙橋利樹とMF関根貴大を投入するに至った。

 後半は押し込んだ状態で5バックの相手に手を焼き、関根のパスを興梠が受ける間際でファウルを受けてPKを獲得すると、これをDFアレクサンダー・ショルツが決めた。ラスト15分で1点差となり逆転勝利への機運も高まったが、そこから一押しができなかった。交代カードに攻撃的な選手は残っておらず、マチェイ・スコルジャ監督が以前「ストライカー登録の選手が4人同時にプレーしました」と話したような、点取り屋の人海戦術を繰り出すこともできなかった。そして、後半アディショナルタイムにあったビッグチャンスでは、安居のシュートがわずかに外れてしまった。

 その安居は右サイドでのプレーについて「自分が右になった時に監督と話して、『正直、自分はドリブルをするタイプじゃない』と伝えて、『それでも仕掛ける時は仕掛けるべきだし、周りをうまく使って自分でももう一回走って』と言われていた」と話す。しかし、「それを意識して自分が潰れてでも周りが生きるなら、そういうプレーをしたいなと思っていたけど、そういうプレーもなかなかできなかった。難しかったなとは思う」と、試合中のスクランブル的なポジションチェンジではなくスタメンから整理した状態でのサイド起用を振り返った。

 この2か月間で13試合の厳しい日程の中で、DF明本考浩が負傷して主将のDF酒井宏樹も万全ではないサイドバック、MF大久保智明とMFアレックス・シャルクが負傷離脱したサイドハーフ、カンテの出場停止とリンセンの負傷があった最前線は苦しい状態にある。また、MF伊藤敦樹とMF岩尾憲の組むダブルボランチも休みなく稼働している。

 その状況のなか、MF中島翔哉は8月から少しずつプレータイムを増やしていた中で負傷離脱するアクシデントがあったものの、今夏の移籍ウインドーで加入した選手はこの横浜FC戦の登録18人の中に1人も入らなかった。例えばサイドハーフでは、今夏にMFダヴィド・モーベルグとMF松崎快がともに期限付き移籍でチームを離れた。タイ代表MFエカニット・パンヤが期限付き移籍で加入したが、1試合あたり23人が登録できるACLの試合を除いて国内の試合ではベンチ入りもしていない。MF安部裕葵は約2シーズン公式戦から離れ、コンディションを上げるために練習強度を上げた時にリバウンドが出るなど調整の難しさに直面していることをスコルジャ監督が明かしていた。

 横浜FCとの試合を終え、スコルジャ監督は「1試合、1試合が非常に重要な時期にいる。シーズンの途中まではより多くの選手にチャンスを与えながら戦ってきた。今は出場時間がより長い選手の方が相互理解ができていると思って起用している」と話し、すでにチーム内での“オーディション”が半ば終了していることを示唆した。負傷者の戦列復帰を願うしかない状況に陥っている浦和だが、10月以降もルヴァンカップとACLと並行して戦う過密日程が待つ中を乗り切ることができるだろうか。

(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)



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