【専門家の目｜金田喜稔】ドイツ戦は途中出場で2アシスト、トルコ戦もゴールに関与

　森保一監督率いる日本代表（FIFAランキング20位）は、9月12日にベルギー・ゲンクでトルコ代表（同41位）と対戦し、4-2で快勝した。「天才ドリブラー」として1970年代から80年代にかけて活躍し、解説者として長年にわたって日本代表を追い続ける金田喜稔氏がMF久保建英のプレーを分析し、「スペインで活躍できているのも頷ける。やはり希有な才能だ」と称賛した。（取材・構成＝FOOTBALL ZONE編集部）

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　9日のドイツ戦（4-1）で後半29分から出場した久保は2アシストをマークし、続くトルコ戦ではトップ下でスタメン出場。チャンスメイクし、ゴールに関与する働きを見せるなど存在感を放った。

「久保がほかの選手と決定的に違うのは独特のボールタッチで、それは久保ならではのものだ。細かいボールタッチをしながらボールを保持し、ドリブル、パス、シュートのどれでも選択できるような体勢を常に作っている」

　そう語った金田氏はトルコ戦のパフォーマンスについて「1試合のなかで消える時間帯もあるが、それでも決定的な仕事を成し遂げるのだから頼もしい限りだ」と評し、次のように続ける。

「日本の2点目は中村敬斗が決めたが、敵陣でボールを拾った久保が数タッチして持ち込み、ドリブル、パス、シュートのどれでも選択できる状況を作りながら強烈な無回転シュートを放った。選択肢が多いため相手守備陣の対応はどうしても遅れるし、コンパクトなフォームから打たれた左足シュートは相手GKにとって厄介だっただろう」

　また日本の3ゴール目では久保の周囲を生かすランニングが際立った。DF毎熊晟矢が右サイドからドリブルで持ち込んだなか、中央を駆け上がった久保はニアサイドを走り抜け、ファーサイドのMF中村敬斗が生きるスペースを生み出した。

「ピッチ全体を俯瞰したように視野を確保し、仲間のポジションも常に意識している。トルコ戦の3点目のシーンでは、毎熊がドリブルで持ち込んだなか、久保が斜めに侵入して相手の意識を引き付けて中村をフリーにした。あれも周りが見えている証拠だ」

　現在22歳の久保はスペイン1部で5シーズン目を戦う。昨季レアル・ソシエダでリーグ戦35試合9ゴールをマークし、今季も開幕4試合で圧巻の3ゴールと好調をキープしている。

「ドイツ戦でもそうだったが、わずかにボールに触って動かした直後にクロスを送り、田中碧のゴールをアシストしていた。あの絶妙な1タッチ、2タッチが世界レベルでは効いてくる。しかもそれを一連のプレーのなかで淀みなくやるのだから、相手はどうしても後手を踏む。久保がスペインで活躍できているのも頷ける。やはり希有な才能だ」

　日本代表でも輝きを放ち始めたレフティーに金田氏も舌を巻いていた。