日本がヒヤリ…一触即発の交錯は“ノーファウル” 元主審・家本氏がレフェリーの判定を絶賛「最初は『アッ』と思ったけれど…」【解説】
【専門家の目|家本政明】遠藤とシュロッターベックの交錯シーンを改めて検証
森保一監督率いる日本代表は、現地時間9月9日のドイツ代表戦で4-1の勝利を挙げた。元国際審判員・プロフェッショナルレフェリーの家本政明氏が、MF遠藤航とドイツ代表DFのペナルティーエリア内の交錯シーンについて見解を示している。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部・金子拳也)
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2022年以来、約10か月ぶりの対戦となった日本とドイツ。完全アウェーの地で主導権を握った日本が前半にMF伊東純也のゴールで先制する。その後MFレロイ・サネに同点弾を許すも、FW上田綺世の一撃で勝ち越し優位に試合を進めていった。
後半日本は3バックに変更。試合終盤に途中出場のMF久保建英の2アシストで、FW浅野拓磨とMF田中碧にもゴールが生まれて合計4得点で大勝を飾った。
ドイツ相手に見事な戦いっぷりを見せた日本だが、2-1で迎えた後半18分にはひやりとする場面もあった。自陣ペナルティーエリア内でルーズボールにチャレンジした遠藤と、ドイツ代表DFニコ・シュロッターベックが交錯。シュロッターベックが倒れるも笛は吹かれず、その後ボールを奪った遠藤に対するドイツ側のファウルが取られている。
遠藤へのファウルで試合が止まると、ドイツ選手はヒートアップ。直前のシュロッターベックとの交錯シーンについて抗議するシーンもあった。
家本氏はこの場面について「最初は『アッ』と思ったけれど、リプレイで2、3アングルを見る限りはレフェリーの判断はすごく適切と思った」と、ノーファウルの判定を支持している。そのうえで、細かいポイントをレフェリー目線で解説した。
「遠藤選手の足が後方から当たっているのは事実。ただ無理やり遠藤選手が相手を倒しに行ったというよりかは、ドイツの選手がボールにプレーするのではなく身体だけを入れてきたのでいわゆるノーマルフットボールコンタクト、サッカーのなかで許容される接触だと思う。またスローで見ると、ややファウルをもらいに行っている感じもある」
家本氏は接触までの流れを説明しつつ、「遠藤選手はボールをプレーしようとしているのに対してドイツの選手は、接触があることをわかっていながらボールにプレーするのではなく身体を入れ、かつもらいに行っている仕草もある。これはファウルとは判断しない。レフェリーはそこをよく見極めたと思う」と、試合を担当したジョアン・ピニェイロ主審の判断を称えた。
「レフェリーの基準は高い基準で安定していて良かった」
遠藤のシーンも踏まえ家本氏は「フレンドリーマッチとはいえ、全体的に判定のレベル、基準の高い通常の公式戦のような印象を受けた」と、ドイツ戦のピニェイロ主審の試合を通したレフェリングを絶賛している。
「判定基準、懲戒罰を含めてファウルコンタクトのところとか、ドイツ側に(判定が)寄る場面もなかった。細かい部分で気になる点がないことはないが、高い基準で安定していて良かったと思う。ドイツの状況も踏まえて、通常の基準にしたのかな」
前半早々には、ドイツ代表GKテア・シュテーゲンのキックミスを奪ったMF三笘薫が相手に倒される場面もあったがファウルは取られなかった。家本氏は「印象としてはファウルっぽい印象を持ったが、ほかの場面でドイツの選手に対しても同じようなシーンで吹かなかった場面もあったので、基準自体は一貫していたと思う」と見解を示す。
試合を通しブレのない判定基準で試合を裁いたピニェイロ主審。国際審判の経験がある家本氏も、公式戦さながらのレフェリングに賛辞を贈っていた。