「熟練のギュンドアンを上回った」 ドイツ撃破、森保Jの“新リーダー”に英記者喝采「完璧だった」【コラム】

ドイツ代表から4点を奪い勝利した日本代表【写真:ロイター】
ドイツ代表から4点を奪い勝利した日本代表【写真:ロイター】

日本が4-1勝利のドイツ戦を英国人記者が総括

 森保一監督率いる日本代表(FIFAランキング20位)は現地時間9月9日に行われた国際親善試合で、ドイツ代表(同15位)と対戦し4-1の勝利を収めた。かつてアジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、昨年のカタール大会でワールドカップ(W杯)を7大会連続で現地取材した英国人記者のマイケル・チャーチ氏は、中盤で攻守を司った日本代表MFに賛辞を送っている。

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 日本代表はハンジ・フリック監督率いる不運なドイツ代表を撃破した。前半27分、遠藤航はピッチを掌握しているのが誰であったかを知らしめた。

 左サイドの三笘薫からのパスはリバプールのMFに届かず、イルカイ・ギュンドアンがボールを奪った。しかし、次の瞬間、昨季三冠を達成したジョゼップ・グアルディオラのマンチェスター・シティで中心選手だったギュンドアンは日本のダイナモの強さと決断力に屈し、芝生の上でひっくり返った。

 2人のデュエルを制したのは遠藤だった。その勝負はまるで両チームの間にある差をそのまま示しているようだった。ギュンドアンがあっさりと弾き飛ばされた一方で、遠藤は素早く体勢を立て直し、寸分の狂いなく正確なパスを右サイドの伊東純也へ送り、日本をドイツ陣内の深くまで攻め込ませた。

 強さ、決断力、ビジョン、バランス感覚、正確性。わずか3秒の間に遠藤が持つそれらの特性が存分に発揮され、熟練のギュンドアンを上回った。

 遠藤が期待以上の活躍を見せることはそう珍しいことではないが、30歳の今、キャリア最高のフットボールをしているように見える。

 2018年のロシア・ワールドカップ(W杯)後に長谷部誠が代表から退き、私も含めて多くの人が彼の代役は誰になるのかと考えていた。

 もちろん、遠藤はバヒド・ハリルホジッチ監督の下で代表デビューを飾り、ロシアW杯前の時点で12キャップを記録するなど台頭し始めていたが、W杯本大会の4試合を通じて1度も起用されなかった。

 しかし、すでに彼は才能の片鱗を見せ始めていた。2017年にアジア・チャンピオンズリーグを制した浦和レッズでは右サイドバックとしてもプレーするなど、現在のセントラルMFとしてプレーする以前から万能さを示していた。

 スタイル的には長谷部と遠藤と比較できる部分は少ないが、2人が似ているのはピッチの中央でチームを統率し、自らの行動によって周りを勇気づけ、自分たちの基準を高めていく能力の高さだ。

中盤で存在感を示した遠藤航【写真:高橋 学】
中盤で存在感を示した遠藤航【写真:高橋 学】

遠藤のエネルギーとアスリート能力は「今の日本の成功に欠かせない」

 森保一監督の就任以来、遠藤は着実にチームに中心的存在へと上り詰め、シーズンを重ねるごとに成長している。彼のエネルギーとアスリート能力は今の日本の成功に欠かせないものだ。

 この夏、遠藤は世界中のエリート監督が契約を希望するような年齢(30歳)ではなかった。それにもかかわらず、あのユルゲン・クロップが自らの傾向に逆らってでも遠藤を獲得した。多くのリバプールファンが獲得を疑問視していたが、彼は遠藤を獲得した理由を明らかにした。

「目を引くような移籍ではない。『オー・マイ・ゴッド!』でもなく、今この瞬間に彼のためにチャントを作っている人もいないだろう」。ドイツ人指揮官はシュツットガルトから1900万ユーロ(約30億円)で獲得した遠藤についてさらにこう語っていた。

「だが、待ってくれ。彼はリバプールサポーターから愛されるものを持っている。間違いない。彼がこのチームのシャツを身につければ、ピッチですべてを出してくれる。そしてみんなが彼のことを大好きになるはずだ」

 ヴォルフスブルクでのドイツ戦でも遠藤は闘争心むき出しのパフォーマンスで試合を支配していた。もはや驚くべきことではない。

 タックルだけでなく、読みの鋭さ、長短のパス、そして信頼できる守田英正との連係などあらゆる面が優れていた。成長を続ける選手による完璧なパフォーマンスだった。

 森保ジャパンが発展と成長を遂げるなか、遠藤は日本を世界の最上位へと押し上げられるリーダーとして開花したのだ。

マイケル・チャーチ

アジアサッカーを幅広くカバーし、25年以上ジャーナリストとして活動する英国人ジャーナリスト。アジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ6大会連続で取材。日本代表や日本サッカー界の動向も長年追っている。現在はコラムニストとしても執筆。

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