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「今日も一睡もしていない」 小柳ルミ子が明かす“サッカーへの流儀”「そうでないと、感動も怒りも味わえない」【インタビュー】
圧倒的な“試合観戦量”「どの解説者よりも多い自信があります(笑)」
小柳ルミ子は、歌手や女優として活躍してきたのはもちろん、芸能界屈指のサッカー好きとしても知られている。福岡県出身ということもあり、国内ではアビスパ福岡を応援し、海外ではアルゼンチン代表FWリオネル・メッシ(インテル・マイアミ)の大ファンと公言しており、いつどこにいても欠かさず試合を観戦するほどの熱狂ぶりだが、彼女が重んじる“サッカーへの流儀”はどういったものなのだろうか?(取材・文=城福達也/全4回の1回目)
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公式X(旧ツイッター)のプロフィール欄には、「メッシ命」「サッカー命」、公式インスタグラムのプロフィール欄には「football!! 年間2000試合観戦」と明記されている。そんな小柳ルミ子は、故郷のクラブであるアビスパ福岡を応援し、選手と接する機会が増えるうちに「いつの間にかアビスパのお母さんのような存在になっていた」という。アビスパ福岡の魅力は「いい意味で未完成で、伸びしろや成長を楽しめるところ」であり、注目している選手は「山岸(祐也)選手と金森(健志)選手、GKの村上(昌謙)選手、紺野(和也)選手……。全選手かな(笑)」と回答した。
今では自他ともに認める“サッカーオタク”だが、本格的にサッカーへの愛に目覚めたのは、メッシが2004年にスペイン1部FCバルセロナでトップチームデビューを遂げた瞬間だったという。それから19年が経てもなお、メジャーリーグサッカー(MLS)のインテル・マイアミでプレーするメッシのプレーを欠かさずに確認している。
「睡眠時間を削っているので、見ている試合数は、どの解説者よりも多い自信があります(笑)。今日も一睡もしていないんですよ!」
今回の取材は夕方に行われたが、同日の早朝にインテル・マイアミの試合が開催していたため、寝る間を惜しんで観戦していたという。もちろん、チェックしているのはメッシの試合だけではない。欧州各国リーグや日本人選手の活躍まで網羅しており、昨年のカタール・ワールドカップ(W杯)も、全64試合のライブ視聴を宣言していた。そこには、小柳ルミ子が重んじる“サッカーへの流儀”があるようだ。
サッカーは“90分間のドラマ” 「ピッチ上の人間模様が映し出される」
「どの試合も必ずライブで見るようにしています。むしろハイライトを見たことがありません。録画も一切しません。絶対にリアルタイムでないとダメなんです。そうでないと、感動も怒りも味わえない。ライブの熱量は全然違いますし、90分間を通して見ないと意味がないと思っています。ゴールがどこを起点に生まれたのか、この選手がここで踏ん張ったから、このパスが通ってこういう展開になったんだ、だとか、ゴールの10個前のプレーがポイントになっていることだって多い。ゴールシーンだけ切り取られているハイライトは、見る気もしないです(笑)」
90分間の映画で考えると、より分かりやすいかもしれない。映画では、例えば主人公が最も信頼していた人間に裏切られ、例えば最も愛した人間が殺害されてしまったり、あるいは亡くなったと思っていた存在が実は生きていたりと、節々にストーリーの肝となる場面がある。しかし、そういった内容が5、6分間のダイジェストにまとめられたとしたら、どうだろうか? 実際は、感情移入も何もできたものではないだろう。
「フルタイムで見ると、ゴールだけではないピッチ上の人間模様が映し出されるわけです。この選手はこんな意地悪なことするんだ、だったり、こういう優しい一面があるんだ、だとか。カタールW杯で『三笘の1ミリ』が話題になりましたが、あのシーンは三笘(薫/ブライトン)選手だからこそ成し得たことだと思っています。あのボールの距離感では、もう間に合わないに決まっているだろうと諦める選手が多いと思うんです。そこを諦めずにボールに喰らいつく三笘選手の姿勢は、ほかの試合でも90分間通して確認できるわけです。三笘選手はもちろんトップクラスのスピードを備えているわけですが、あのアシストはなにより彼の人間性が映し出された場面だったなと。そういった楽しみ方は、毎回フルタイムで見ているからこそ味わえるんです」
小柳ルミ子は、サッカーという“90分間のドラマ”をライブで見届けることに矜持を抱いていた。だからこそ、たとえ深夜2時のキックオフでも、必ずライブで観戦する。そのまま仕事へ向かい、帰宅してからもまた夜中に開催する試合を楽しみに迎える。今年で71歳を迎えたが、「本当に、自分の身体が健康で良かった」と笑顔を見せていた。これからも“誰よりもサッカーを愛する日本人”として、その情熱を注ぎ続けることだろう。
(文中敬称略)
[プロフィール]
小柳ルミ子(こやなぎ・るみこ)/1952年生まれ、福岡県出身。15歳で宝塚音楽学校に入学。首席で卒業後、芸能界入り。テレビや配信を中心に、1日に5試合、仕事がない日は10試合、年間で約2000試合を観戦。Jリーグや高校サッカーなどの国内サッカーをはじめ、海外サッカーもサッカーノートをつけながらチェックしており、“日本で一番サッカーを見てる芸能人”とも言われる。好きなサッカー選手はアルゼンチン代表FWリオネル・メッシ(インテル・マイアミ)。
(城福達也 / Tatsuya Jofuku)