DF常本佳吾が欧州に挑戦した訳「引き出しを増やしたい」 “データ蓄積型”SBが目指す先は?【インタビュー】
今夏鹿島から欧州移籍を決断 セルベットで経験を積む常本佳吾
近年Jリーグから欧州クラブへ活躍の場を求める日本人タレントはあとを絶たない。「FOOTBALL ZONE」ではその顔ぶれを今一度おさらいすべく「NEXT欧州組」特集を展開する。今回は、今夏に鹿島アントラーズからスイス1部セルベットFCへ移籍したDF常本佳吾への現状に迫る。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小杉舞)
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今夏、鹿島からスイスへの移籍を決断した常本。現在、24歳のDFは2021年に明治大から鹿島入り。センターバックと右サイドバックをこなす万能型のディフェンダーとして戦力的価値を高め、一昨季リーグ戦26試合2得点、昨季は28試合0得点、今季は16試合に出場した。
新天地となるセルベットは、昨年鹿島を率いたレネ・ヴァイラー監督が指揮を執る。かつての恩師と再びピッチで出会い、新たなスタートを切る。現在思うことは何なのか。
「街並みもすごく綺麗。すごく過ごしやすい気候で空も綺麗。やっぱり、監督のことを分かっているから挑戦しやすい。僕自身、鹿島時代のサッカースタイル、切り替えの速さだったり、スプリント、運動量、そういう自分の長所を監督が求めていると思う。(新天地でも)生きると思っているので、そこは頑張りたい」
セルベットは昨シーズン2位でUEFAチャンピオンズリーグ予選から出場する。現在はチームに馴染むために語学を必死に学んでいる。
「今勉強しているんですけど、フランス語がよく使われていますね。でも英語も通じるので今自分は英語の勉強をしています。聞き取りはできるけど、喋りはまだまだなので練習していきます。(日本にいる時は)アプリで勉強したり、姉がもともと留学していたので、教えてもらっていました」
今夏に移籍を決断したのは、選手としてさらなる成長を望んだから。鹿島では「雰囲気が悪くなってしまうんじゃないかと思うぐらいこだわっていた」という練習の厳しさに衝撃を受けた。その環境からさらにステップアップを目指したのには理由がある。
「自分の引き出しを増やしたい。武器である守備の1対1をさらに高めていきたい。日本代表の試合を見ていても今の日本のサイドバックはレベルが高い。欧州でも結果を出して日本代表に選ばれれば誰も文句はないと思う」
欧州での屈強な相手と対峙することで自身を高めるだけでなく、新たなタイプのウインガー、ストライカーとの対戦は「楽しみ」だという。なぜなら、常本は毎試合前、自分とマッチアップする相手を徹底的に分析する。映像を見て、練習で近いボールの持ち方をする選手に“再現”をお願い。大学時代から何度もマッチアップしてきたMF三笘薫(ブライトン)は、当時からお互いプロ選手になっても常本を突破するのに苦労していた。
それは、常本の分析力、スカウティングが結果となって出ていたからだ。だが、新たな環境に出れば新たな敵との対戦が待ち受ける。常本の“データ”にない相手との対戦こそ経験として積み重なる。
「いろんな状況下でのプレーの選択、引き出しから出してくる時に間違えないために1週間前ぐらいから相手を分析する。だから新たなデータの選手に会えるのは楽しみの1つですね」
シーズンはすでに開幕し、出場機会も得ている24歳。将来は日の丸を背負うため――欧州で修業を積み、一皮も二皮もむける覚悟だ。
[プロフィール]
常本佳吾(つねもと・けいご)/1998年10月21日生まれ、神奈川県相模原市出身。横浜F・マリノスのアカデミーで育ち、ユースを経て明治大学へ進学。2021年に鹿島アントラーズに入団した。プロ1年目から26試合に出場し、右サイドバックが主戦場。J1リーグ通算71試合に出場、2ゴール。2015年にはU-17日本代表に選出された。