「ルールを守らないと品が落ちる」 浦和、違反行為のサポーター処分で日本代表OBがマナーの在り方を再考【見解】

浦和がサポーターの行為が話題に(※写真はイメージです)【写真:Getty Images】
浦和がサポーターの行為が話題に(※写真はイメージです)【写真:Getty Images】

【専門家の目|栗原勇蔵】Jリーグ一番の浦和サポーターの「熱さ」もルールを守ってこそ

 浦和レッズは、8月2日にCSアセット港サッカー場にて行われた天皇杯ラウンド16名古屋グランパス戦において、浦和サポーターによる違反行為が発生したことを受け、計77名に処分が科された。浦和の田口誠代表取締役社長と、須藤伸樹マーケティング本部長も状況説明のための会見を開いた一件について、元日本代表DF栗原勇蔵氏に見解を訊いた。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)

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 浦和は8月3日、前日にサポーターが“暴徒化”したと反響を呼んだ事象に対し、「如何なる背景があろうとも違反行為が肯定される理由はなく、クラブ理念内に『安全・快適で熱気ある満員のスタジアム』を目指すことを謳っている私どもの価値観とは相容れない事象であると考えている」として、処分を発表した。

■処分対象者:立ち入り禁止エリアへの侵入を主導したサポーター(31名)
処分内容:8月3日以降に開催される浦和レッズの出場試合9試合への入場禁止(アウェーゲームを含む)

■処分対象者:立ち入り禁止エリアへ侵入したサポーターを統括するリーダー(1名)
処分内容:8月3日以降に開催される浦和レッズの出場試合16試合への入場禁止(アウェーゲーム、およびACL2023-24グループステージ進出時の出場試合も含む)

■処分対象者:立ち入り禁止エリアへ侵入したサポーター(45名)
処分内容:厳重注意

 現役時代に埼玉スタジアムで何度も浦和と対戦した経験を持つ元日本代表DF栗原氏は、「レッズは伝統あるクラブで、最も人気がある。ファン・サポーターの熱気は間違いなくナンバーワン。迫力も凄いし、埼玉スタジアムでのアウェーゲームはいつも苦しめられました。ファン・サポーターに支えられている部分は大きいと思います」とファン・サポーターの力を認めたうえで、「ただ、一部の人たちのせいで悪いイメージがついてしまう。クリーンで熱いサポーターを目指してほしい」と見解を述べる。

「スタジアムには子供もいるでしょうし、サッカーを見に行く場所が怖いところだと思われるのは避けたい。選手はサッカーで夢を与えるのが仕事ですけど、見る側のマナーによって、スタジアムに来るのを恐れられては元も子もない。自分も子供の頃、観戦に行って、大人の罵声にびっくりしたことがあるし、時にはトラウマにだってなることもあるかもしれない。熱くなること、気持ちが入って悔しい思いをすることはもちろんあります。難しさもあるでしょうけど、大人としてルールは守らないといけない。まったくカッコよくないし、何も生まれない。その行為で選手が奮起することも決してないです」

 処分の重さに関しては、栗原氏は「クラブも考えたうえで決定したはず」と明言を避けつつも、「繰り返さない対応が必要」と指摘する。

「まずはやった側、今回で言えば違反行為をしたサポーターが悪いと言わざるを得ない。クラブ側もそこまで統制がとれないし、クラブは被害者の一面もある。スタジアムの中でなんでもしていいわけではなくて、そうなると戦争と一緒でルールもへったくれもなくなる。選手たちはルールの中で戦っているので、ファン・サポーターもルールを守って応援してもらわないと品が落ちてしまうと思います」

 栗原氏はサッカーの魅力を維持するうえで、ルール遵守の重要性を訴えていた。

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栗原勇蔵

くりはら・ゆうぞう/1983年生まれ、神奈川県出身。横浜F・マリノスの下部組織で育ち、2002年にトップ昇格。元日本代表DF松田直樹、同DF中澤佑二の下でセンターバックとしての能力を磨くと、プロ5年目の06年から出場機会を増やし最終ラインに欠かせない選手へと成長した。日本代表としても活躍し、20試合3得点を記録。横浜FM一筋で18シーズンを過ごし、19年限りで現役を引退した。現在は横浜FMの「クラブシップ・キャプテン」として活動している。

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