J1浦和、夏の積極補強で何が変わる? ポイントは“新10番”中島翔哉…トップ下定着→劇変の可能性も【コラム】

今夏浦和に加入した中島翔哉と安部裕葵【写真:Getty Images】
今夏浦和に加入した中島翔哉と安部裕葵【写真:Getty Images】

MF中島翔哉&MF安部裕葵の実力者加入、今夏の移籍ウインドーで積極補強

 J1浦和レッズは今夏の移籍ウインドーの間に4人の新加入選手(8月5日時点)が入った。なかでも、元日本代表MF中島翔哉と同MF安部裕葵の2人は、課題となってきた2列目の戦力構成に変化を与えることになりそうだ。

 浦和は今季マチェイ・スコルジャ監督が就任し、前任のリカルド・ロドリゲス監督が積み上げてきたチームのベースを流用しつつ、より攻撃にはスピード感を求める方針でスタートした。そうしたなかで2列目のメンバーには、ゴール前に飛び出していくプレーが要求され、実際にプレシーズンのキャンプではMF大久保智明やMF小泉佳穂も意識改革の必要性を話していた。

 シーズンが始まると、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)決勝が入っていたこともあり、昨季のメンバーからは大幅に変えずにスタート。その外国人枠の関係もあり、大久保と小泉、MF関根貴大にスタメン出場の機会が多く、本来ボランチのMF安居海渡もトップ下で出場回数を伸ばした。

 一方で、このポジションの選手たちのゴール数はあまり伸びず、ゴール前へフィニッシャーとして飛び込んでくる場面も当初の予想よりは少なかった。スコルジャ監督は、例えば安居について「海渡がボランチなのは知っているが、さらに彼のプレーを発展させようと思っている。モダンサッカーのボランチはファイナルサードに入ってチャンスに絡む。彼はトップ下にいるが、ビルドアップでは伊藤敦樹と2人でインサイドハーフをやるような形になる。裏に抜ける能力は海渡にもある。それを要求していきたい」と話し、大久保についても「あらゆる面で彼を成長させたい。彼には数字の部分を求めていきたい」とした。

 また、新加入した中島については「スキルが高くいいラストパスがある。シュート力もある。スキルがあるので、狭いところのコンビネーションでキープするのを期待している。今よりファイナルサードでのキープ力は高くなるだろう」と話し、安部についても「いいクロスやドリブル、高いスキルがあり興味深い」と話す。彼ら2人について「スタメン、レギュラーに入る存在になると期待している」としているうえ、同じく今夏新加入で合流が遅れているタイ代表MFエカニット・パンヤも2列目の選手だけにメンバー構成に変化が生まれてくることになりそうだ。

浦和でのトレーニングに打ち込む安部裕葵【写真:轡田哲朗】
浦和でのトレーニングに打ち込む安部裕葵【写真:轡田哲朗】

攻撃力の改善へ最前線の選手も含めてさらなる補強の動きの可能性も

 スコルジャ監督が「キャリアで多くのゴールを取ってきた選手が(興梠)慎三しかいないなかで、フィニッシュには改善の余地がある」と話すように8月18日までウインドーが開いている以上は、最前線の選手も含めてさらなる動きの可能性がある。特に欧州クラブの所属選手は移籍市場が開いている時期であり、浦和のオファーと他クラブからのオファーを比較検討するような選手はギリギリまで決まらない可能性もあるだろう。

 いずれにせよ、天皇杯の敗退こそ決まったがリーグ戦に加え、ルヴァン杯の準々決勝以降、プレーオフを勝利して本戦に進出すれば少なくとも6試合のACLグループステージ、12月にはサウジアラビア開催のクラブワールドカップへの出場と浦和のシーズン後半戦は試合数が多く、期間も長い。

 それでも、特にスコルジャ監督が「私たちが必要としている10番、トップ下タイプだと思う」という中島は、安居や小泉のように降りてビルドアップに参加するタイプとはかなりプレースタイルを異にする。中島がトップ下に定着するような構成が日常になると、浦和のサッカーはシーズン前半戦と違う表情を見せることになるのではないだろうか。

(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)



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