「APPの起点ではない」 横浜FM×柏“決勝ゴール前”の接触、VAR介入は「必要なかった」と審判員会が見解

横浜FMと柏の試合が取り上げられた(写真はイメージです)【写真:高橋 学】
横浜FMと柏の試合が取り上げられた(写真はイメージです)【写真:高橋 学】

池内主審はVAR介入後のオンフィールドレビューでも「ノーファウル」と判断

 日本サッカー協会(JFA)の審判委員会は、7月4日にレフェリーブリーフィングを実施。いつかの事例を取り上げる中で6月10日に行われたJ1リーグ第17節、横浜F・マリノスと柏レイソルの試合が取り上げられた。

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 この場面は柏が最終ラインからロングパスを送ったところを、横浜FMのDFエドゥアルドがカット。ここからの逆襲でゴールまでつながった。しかし、エドゥアルドがカットしたパスに柏のFW細谷真大が抜け出しを狙っていたところ、横浜FMのDF永戸勝也との接触で転倒していた。ピッチ上ではゴールが認められたが、ゴールとなる攻撃の起点になる部分に反則の可能性があるとして御厨貴文ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)がオンフィールドレビューを進言。池内明彦主審は映像を確認したうえで、ゴールを認めていた。

 JFA審判マネジャー・リーグ担当統括の東城穣氏は映像を用いてこの場面を紹介したが、3-3で迎えた後半アディショナルタイムのプレーだけに緊迫感のある音声が残っていた。池内主審は起点の接触に対して「ここはない、ここはない、ここはない」と見てファウルと判断していないことが音声に乗っていた。そのうえで、御厨VARは「当たっているか? あ、今当たったな。流して、流して。リコメンドします」と、細谷と永戸の接触を再確認してオンフィールドレビューを進言。そして池内主審は「接触はあるんだけど、プレーはできるから。ノーファウル」と、オンフィールドレビュー中に説明していた。

 東城氏は「いくつかポイントがあるが、結論としてVARはどうするのがより良かったか。時間帯と点差で決勝点になり得るもので、VARが(映像を)見てもらわなければいけないというマインドになるのは理解してもらえると思う。緊張感のある中でやっている。プレッシャーもあるし、これを落としたらまずいという心理でやっている。ただ、結論としては介入する必要はなかったと考えている」と話している。

「現場のレフェリーが、『ノーファウル』という声があったと思うが、目の前で見ていたアシスタントレフェリーも接触は理解しているけどノーファウルと判定すると言っている。そこがベースになる。映像で見た時に、明らかにファウルとすべきものなのか、懲戒罰が必要なぐらいなのか、現場がノーファウルとしたことに対してサポートできないくらいのものかというどうかとなると、ファウルにする人もいるかもしれないけど、アクシデントに見えることもある。それはVARのコンセプトとしてどうなのか」

プレー映像を流すことで混乱を助長する可能性も?

 さらに、スポーツチャンネル「DAZN」の判定検証番組「Jリーグジャッジリプレイ」で取り上げられたこの接触場面がゴールにつながる攻撃のAPP(Attacking Possession Phase)に含まれるのかという点について「APPの考え方が、この選手が接触によってボールが奪われて攻撃が始まったのかという点で、APPの起点かというとそうではない。このあとのプレーが流れて縦パスが出たところからAPPがスタート。そうするとAPP外の出来事になるので介入はできない。もちろん状況次第でAPP外の介入がゼロではないが、この状況ではトータルで考えて介入の必要はなかった」と説明していた。

 また、質疑応答の際には試合を分ける大きな判定なので必要がなくてもオンフィールドレビューが行われたことが納得感につながるのではないかという意見について、東城氏は「例えば、選手、サポーターのみなさんも見る。『これを見て変えないの?』とか、より混乱を招くこともある。『じゃあ、なんで変えないの?』と、そこでなってしまう。それなら、見せないで決着をつけておいたほうが(ピッチの)中ではもうチェックが終わっているということでコントロールできる。このケースに限っては、絶対にファウルですかと聞かれたらどうですかと。このシーンに限ってはそのリスクのほうがある」と、すでに主審が判断できている微妙なプレーの映像を流すことで混乱を助長する可能性を指摘していた。

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