歴代日本人ストライカー「シャドー&セカンドトップ」TOP10 大久保、三浦カズ、古橋…“最高レベル”の1位は?

「シャドー&セカンドトップタイプ10選」を独自に選定【写真:Getty Images & 徳原隆元】
「シャドー&セカンドトップタイプ10選」を独自に選定【写真:Getty Images & 徳原隆元】

【識者コラム】「決定力」「駆け引き」「アシスト」の3項目からトップ10を厳選

 日本サッカー界にはこれまで、さまざまなタイプのストライカーがその名を轟かせてきた。相手との巧みな駆け引きから得点嗅覚を発揮した者や力強いポストプレーを武器にゴールへ迫ったハンターなど、特徴は多岐にわたる。「FOOTBALL ZONE」では今回、日本人ゴールハンターの系譜を振り返るべく特集を展開。ここでは歴代日本人ストライカーの中から「シャドー&セカンドトップタイプ10選」を独自に選定し、紹介する。

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 どちらかというと前線に張るより、衛星的に動き回って抜け出したり、背後に抜け出すタイプから10人を厳選した。そうは言っても明確に区分しにくい選手もおり、例えばサンフレッチェ広島で1トップでもプレーしていた佐藤寿人や万能型アタッカーとして知られた呂比須ワグナー、セルティックで異色のセンターフォワード(CF)としてゴールを量産した古橋亨梧といった選手たちもここに区分した。

 フィニッシュの「決定力」とそこに至る「駆け引き」はCFと同じで、3つ目の項目として「アシスト」を加えている。シンプルにラストパスで味方のゴールをアシストする能力はもちろんだが、直接ボールに触ってなくても相手のディフェンスを混乱させたり、フィニッシュに関わる効果的なプレーでチームのゴールを引き出す能力を評価した。

 総合評価で最も高い「30」となったのが大久保嘉人。シャドーやセカンドトップだけでなく、1トップ気味の役割や時にサイドもこなせるが、いわば“9.5番”タイプであり、幅広い動きと一瞬の動き出しを使い分けてゴールに迫れるストライカーだ。抜群の「決定力」もさることながら、良い形でフィニッシュに持ち込むための駆け引きが絶妙で、全体で最高の「11」に評価した。それでいてチャンスメイカーとしての能力も高い。

 川崎時代には中村憲剛とのホットラインを構築して、2013から3年連続の得点王に輝いた。個人で打開する能力も備えながら、周囲の仲間とビジョンを共有するほどに、動き出しなどが研ぎ澄まされて行く。川崎で最後のシーズンになった2016年には小林悠と縦の2トップを組んで、ボランチのポジションだった中村憲とのトリオで躍動した。大久保が移籍した翌年に川崎が初めてJ1のタイトルを獲得したのは皮肉な面もあるが、J1通算191得点、J2も入れると209得点という数字を破る選手はなかなか出てこないかもしれない。

ワンタッチゴールの多さが際立った佐藤寿人、J通算得点は大久保、興梠より上

 キング・カズこと三浦知良は今回の3つの項目による総合値を「28」とした。Jリーグ30年の歴史を代表するレジェンドで、ポジションの枠に当てはまらない価値はあるが、ストライカーとしても三拍子揃ったタレントであり、相手ディフェンスにとって非常に危険な存在であっただろう。J1における1試合平均の得点率は0.426で、日本人選手の中ではCF部門に入れた中山雅史に次ぐ数字となっている。J2でのキャリアを含めれば得点率は落ちるが、歴代でも最高レベルのストライカーの1人と言える。

 大久保とカズに次ぐ評価になったのは佐藤と古橋だ。佐藤はJ1の通算得点で大久保、現役の興梠慎三に次ぐ3番目の161ゴールで、中山や前田遼一を上回る。典型的なターゲットマンではないのでこの部門に置いたが、広島ではチームの伝統的なシステムとなる3-4-2-1の1トップを担っていた。実際はどこにも当てはめにくいタイプで、そこは元アルゼンチン代表FWハビエル・サビオラなどに通じるものがある。

 相手と絶え間なく駆け引きをするというより、チャンスの起点としても稼働しながら、絶妙のタイミングで一瞬マークを外したり、裏に抜けて点で合わせるのが得意のパターンだった。いわゆるワンタッチゴールが多いため、左利きということを忘れてしまいがちで、右足のゴールも多い。グラウンダーを流し込むイメージが強いが、浮き球をボレーで捉えるシュートも絶品だった。前述どおりJ1の通算ゴール記録は3位だが、広島で1シーズン、若き日のセレッソ大阪とベガルタ仙台、キャリア終盤の名古屋グランパスとジェフユナイテッド千葉でJ2を経験しており、Jリーグ通算220ゴールは大久保、興梠を上回り1位となる。

 古橋は今季スコットランドのセルティックで得点王に輝くなど、国際舞台での活躍を踏まえれば、日本人FWとして金字塔を打ち立てる可能性もある。シャドー&セカンドトップに区分したが、裏抜けタイプのCFという位置付けが正しいかもしれない。2列目やサイドからもゴールを狙える選手だが、最大の武器である抜け出しを生かすならトップだろう。ただ、セルティックでこそ3トップのセンターを担うが、2トップでさらに輝きを放つ可能性もある。

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河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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