日本代表OBが選ぶ「歴代日本人ストライカーTOP10」 「規格外」と称した怪物は?
【専門家の目|栗原勇蔵】現役の大迫勇也が総合力でトップへ
日本サッカー界にはこれまで、さまざまなタイプのストライカーがその名を轟かせてきた。相手との巧みな駆け引きから得点嗅覚を発揮した者や力強いポストプレーを武器にゴールへ迫ったハンターなど、特徴は多岐にわたる。「FOOTBALL ZONE」では今回、日本人ゴールハンターの系譜を振り返るべく特集を展開。横浜F・マリノス一筋で18年間プレーした元日本代表DF栗原勇蔵氏に、対戦した選手をベースに日本人ストライカーの歴代ランキングを作成してもらった。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)
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◇ ◇ ◇
1位:大迫勇也
■現所属:神戸
■年齢:33歳(現役)
■身長・体重:184センチ・75キロ
■今季J1成績:15試合11得点
■J1通算成績:191試合62得点
「大迫は、スピード、フィジカル、テクニック、高さ……、まさに歴代でもトップの万能ストライカーだと思います。身長を生かしたヘディング、両足でシュートを放つことができて、パンチ力もある。動き出しの良さ、アフリカ勢をはじめ外国籍選手に負けないポストプレーも含めて、総合力ではナンバーワンではないでしょうか」
2位:久保竜彦
■元所属:広島ほか
■年齢:46歳(OB)
■身長・体重:181センチ・73キロ
■J1通算成績:276試合94得点
「久保さんは歴代の日本人FWの中でも、身体能力はもう規格外です。名前の『竜』のようなジャンプ力で、豪快なボレーシュートやヘディングシュートを決めたのは選手やファンの記憶に残っていると思います。怪我に苦しんだ時期もありましたけど、ランキングには入れざるを得ない実力者だと思います」
3位:大久保嘉人
■元所属:川崎ほか
■年齢:40歳(OB)
■身長・体重:170センチ・73キロ
■J1通算成績:477試合191得点
「嘉人さんに関して言えば、まずはその気持ちの強さ。勝負どころで何かやってくれるんじゃないかという雰囲気に満ち溢れていました。時に熱くなりすぎてしまうこともありましたけど、対峙するディフェンスとしては、すごく危険な存在というか、厄介な相手でした。歴代1位のJ1通算得点がそれを物語っていると思います」
4位:佐藤寿人
■元所属:広島ほか
■年齢:41歳(OB)
■身長・体重:170センチ・65キロ
■J1通算成績:404試合161得点
「寿人さんの特徴は動き出し。ボールを見た瞬間にもう自分の視界からいなくなっていたり、自分の狙ったスペースにパスを引き寄せる力がありました。いくら動き出しても、そこにボールが来なければ得点にならないわけですから。シュートも相手GKを見て、GKを寝かしてからループをしたり、コースを的確に突いたり、バリエーションが豊富でした」
5位:前田遼一
■元所属:磐田ほか
■年齢:41歳(OB)
■身長・体重:183センチ・78キロ
■J1通算成績:429試合154得点
「日本人らしかぬ体格と幅があったので、ボールを奪いに行っても反転されたり、対応が難しい選手でした。ヘディングが強いし、シュートも上手かったので、歴代5位のJ1通算154得点も積み上げられたと思います。スピードはそこまでなかったですが、もし遼一さんにスピードがあったらランキングでもトップ3入りは間違いなかった気がします」
若手有望株の上田綺世が10位タイ
6位:岡崎慎司
■現所属:シント=トロイデン(ベルギー)
■年齢:37歳(現役)
■身長・体重:174センチ・76キロ
■今季成績:30試合1得点(ベルギー1部)
■J1通算成績:121試合42得点
「岡ちゃんの一番の印象は、献身的なハードワーク。(2016年に)レスターでプレミアリーグ優勝に貢献したあの活躍は、おそらく誰もが忘れないでしょう。Jリーグでプレーしたのは6年間、J1通算42得点と数字は際立ったものではないですが、抜群のゴール嗅覚と泥臭さ、一緒にやらせてもらった日本代表でのイメージや、ドイツ、イングランド、スペイン、ベルギーと海外で結果を残してきた実績も踏まえて、歴代でもトップクラスのストライカーだと思います」
7位:興梠慎三
■現所属:浦和
■年齢:36歳(現役)
■身長・体重:175センチ・72キロ
■今季J1成績:14試合3得点
■J1通算成績:494試合166得点
「慎三もなんでもできる万能タイプ。動き出しも速いし、身体の使い方はトップ10の中でも一番上手いかもしれません。サイズがあるわけではないにもかかわらず、キープが上手いのはその部分が大きいと思います。得点力があるのはもちろん、現役19年目とJリーグでこれだけ長く活躍できるのは、やはりサッカー面での賢さの賜物でしょう」
8位:金崎夢生
■現所属:琉球
■年齢:34歳(現役)
■身長・体重:182センチ・77キロ
■今季J3成績:8試合0得点
■J1通算成績:337試合71得点
「気持ちの強さと熱さは(大久保)嘉人さんクラスだと思います。総合力の高さ、フィジカルの強さを踏まえると、タイプ的には大迫(勇也)に似ている気がします。大迫よりも少しドリブル要素は入りますけど、頭でも、足でも、ゴールを奪えるイメージ。対戦した選手で本当に嫌な相手でした」
9位:大黒将志
■元所属:G大阪ほか
■年齢:43歳(OB)
■身長・体重:178センチ・71キロ
■J1通算成績:204試合69得点
「大黒さんは(佐藤)寿人さんに少し似ていますけど、より得点を取ることに特化したストライカー。常に動いていました。F・マリノスで一緒にプレーしましたけど、普段は寡黙な反面、『ここに出せ!』という味方への要求はすごかったです。寿人さん、(大久保)嘉人さんもですけど、そういう要求する選手がいると、FWの動きを常に見るようになるし、味方も成長させるようなタイプだと思います。ヤットさん(元日本代表MF遠藤保仁/ジュビロ磐田)も、大黒さんとのコンビでスキルが研ぎ澄まされたところはあったはずです」
10位タイ:上田綺世
■現所属:セルクル・ブルージュ(ベルギー)
■年齢:24歳(現役)
■身長・体重:182センチ・76キロ
■今季成績:39試合22得点(ベルギー1部)
■J1通算成績:86試合38得点
「唯一、今回の中では直接の対戦経験はないんですが、鹿島時代のプレーをスタンドから見ていて、ポテンシャルの高さを感じました。何せ日本人選手離れした馬力がある。動き出しがいいし、ジャンプ力もあって、テクニカルなのでシュートも上手い。もし自分が直接対戦していたら、フィジカルでかなわなかったんじゃないかなと思います」
10位タイ:小林 悠
■現所属:川崎
■年齢:35歳(現役)
■身長・体重:177センチ・72キロ
■今季J1成績:7試合2得点
■J1通算成績:356試合137得点
「小林は飛び抜けた能力はないかもしれないですけど、すべてに項目において、年々パワーアップしていったイメージがあります。なんと言っても、勝負強さが目を引きます。ゴールへの嗅覚はもちろん、ここで得点がほしいという時に決めるという、ストライカーに一番大事なものを持っていると思います。彼にはF・マリノスもよくやられて、手を焼きました」
(FOOTBALL ZONE編集部)
栗原勇蔵
くりはら・ゆうぞう/1983年生まれ、神奈川県出身。横浜F・マリノスの下部組織で育ち、2002年にトップ昇格。元日本代表DF松田直樹、同DF中澤佑二の下でセンターバックとしての能力を磨くと、プロ5年目の06年から出場機会を増やし最終ラインに欠かせない選手へと成長した。日本代表としても活躍し、20試合3得点を記録。横浜FM一筋で18シーズンを過ごし、19年限りで現役を引退した。現在は横浜FMの「クラブシップ・キャプテン」として活動している。