浦和監督が嬉しい悲鳴「私に頭痛の種を与えてくれた」 ターンオーバー成功の“舞台裏”は?「パスを出さないことには…」

浦和が川崎に逆転勝利【写真:Getty Images】
浦和が川崎に逆転勝利【写真:Getty Images】

ルヴァンカップ川崎戦で2-1の逆転勝利

 浦和レッズは5月24日にルヴァンカップのグループリーグ第5戦で川崎フロンターレと対戦し、2-1の逆転勝利を収めた。大会初勝利となったマチェイ・スコルジャ監督は「次の試合に向けて私に頭痛の種を与えてくれた」と、大きくメンバーを代えた試合での勝利を振り返った。

 浦和はこのルヴァン杯で4試合連続の引き分けできていた。直近のリーグ戦、アビスパ福岡戦から中3日のゲームでスコルジャ監督はスタメン11人を全て入れ替える完全ターンオーバーを実施。前線にはユース所属で二種登録の17歳MF早川隼平の他、FWホセ・カンテ、MFダヴィド・モーベルグ、MFブライアン・リンセンの3選手が名を連ねた。

 しかし、そのゲームは前半3分に先制点を与えてしまう。リンセンが入った左サイドでプレスが噛み合わずに簡単に前進されると、逆サイドに送られたクロスから失点。指揮官は「本日も最悪のスタートだった。失点からのスタートです」と厳しい表情を浮かべて、「できれば失点しないスタートの方がいい。本日の場合は、かなりシンプルなミスからの失点になってしまった。このメンバーの組み合わせでゲームをスタートするのは初めてで、ミスはつきものだろうと思っていた。これはメンタルとは関係なく、選手の個人的な、技術的なミスだった」と、試合の入り方に問題があったことを記者会見で話していた。

 一方で、ボランチに入ったMF平野佑一は「外国人の選手は、もたもたしないで早く(縦パスを)出せよ、みたいな雰囲気をすごく感じる。出してあげて取られたら、なんか言い返せるのかみたいな感じで自分も伝えるし、パスを出さないことには文句しか言われない。今日は出しまくることを意識していた」と話したように、よりシンプルな攻撃でゴールに迫る場面を増やした。それでも前半は機能性が低かったが、後半はその圧力が川崎の守備を打ち破った。

 後半8分には、中盤に降りたカンテに対して川崎のDF車屋紳太郎がついてきたところで平野がシンプルに背後への縦パス。リンセンが競り合ったこぼれ球を早川がモーベルグにつなぐと、モーベルグもシンプルにワンタッチでゴール前に走り込んできたカンテへ。車屋が戻る前にカンテが反転して左足シュートを決めての同点ゴールが生まれた。

 また、後半44分には途中出場のDF酒井宏樹が右サイドを駆け上がってクロス。ペナルティーエリア内に4人が詰めて途中出場のボランチ伊藤敦樹もフォローしてきた状況で、相手MFジョアン・シミッチのオウンゴールが生まれた。クロス自体は浦和の選手につながらなかったが、中央に飛び込んでくる迫力はこれまでのゲームではあまりないものが見られていた。

 スコルジャ監督は「本日はフレッシュな状態の選手にチャンスを与えることにした。毎日のように、誰がピッチに立ってもワンチームだと言っている。そして選手たちの仕事はピッチに立ったら全力を尽くすこと。本日はみんな頑張ったと思う。ホセ、ダヴィド、ブライアンも、次の試合に向けて私に頭痛の種を与えてくれた」と、外国人アタッカーたちの働きを評価した。

 浦和は5月6日に決勝第2戦を迎えたAFCチャンピオンズリーグ(ACL)で外国人枠が3人だったため、それを見据えてシーズン序盤に2列目に日本人選手の起用を優先してきた背景があった。その決戦が終わった今、スコルジャ監督は外国人アタッカーをより積極的にチームに組み込んで前線の迫力を増していきそうだ。

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