浦和スコルジャ監督の戦略奏功、リスクより“堅実”で掴んだアジア制覇 「誇りに思う」

浦和を率いるマチェイ・スコルジャ監督【写真:徳原隆元】
浦和を率いるマチェイ・スコルジャ監督【写真:徳原隆元】

今季就任のスコルジャ監督、ACL制覇に感慨「本当に光栄なこと」

 浦和レッズは5月6日にAFCチャンピオンズリーグ(ACL)の第2戦でアル・ヒラル(サウジアラビア)に1-0の勝利。2007年、17年に続く3回目のアジア制覇を達成し、マチェイ・スコルジャ監督は「本当に光栄なことだった。表現する言葉が見つからないくらい」と感慨深げに語った。

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 浦和は現地時間4月29日に敵地で初戦を1-1で引き分け、ホームに戻ってきた。強い南風が吹いたスタジアムでは、浦和は前半に風下となって立ち上がりから押し込まれた。しかし、そこを耐えると後半4分にセットプレーからDFマリウス・ホイブラーテンがヘディングでゴール前へ。飛び込んだFW興梠慎三の動きにGKが惑わされ、MFアンドレ・カリージョがクリアしきれずオウンゴールになった。

 残り時間も同点を狙うアル・ヒラルの勢いを受けながらもカウンターを繰り出し、MF伊藤敦樹のロングシュートが際どく外れた場面や、MF大久保智明が迎えた決定機もあった。追加点こそ奪えなかったが、最後まで規律は崩れることなく逃げ切って優勝を果たした。

 試合後の記者会見に出席したスコルジャ監督は「当初から素晴らしい選手たちがいてポテンシャルがあると思っていた。ACLがあると意識して準備をしてきた。難しいステージになると理解はしていたし、全員がハードワークしてくれた。素晴らしいサポーター、大きなクラブのためにタイトルを取れて嬉しい。本当に光栄なことだった。表現する言葉が見つからないくらいですね」と感慨深げな表情で語った。

 ポーランドでリーグ戦を4回制し、代表チームの監督候補として名前も挙がった名将は今季から浦和にやってきた。昨季まで2シーズン率いてACL決勝に導いたリカルド・ロドリゲス監督が作ったチームのベースを流用しつつ、守備組織の整理や攻撃にシンプルさを与えるなど、新築ではなく改築、増築といったニュアンスでチームをブラッシュアップしてきた。そして、開幕2連敗こそしたものの、決勝の初戦まで公式戦12戦無敗の安定感をチームにもたらした。

「余計なリスクを背負わないのも戦略。トロフィーを勝ち取るのが目的だった」

 戦術家の一面も持つ指揮官は、このゲームを「浦和には相手を分析する担当が複数人いて、全員が戦術のディテールを見ている。最近の試合も見ていた。スペースを与えてはいけないと分かっていた。1対1も強力で、コンパクトに守らないといけないと分かっていた。もっと攻撃的にプレーできたし、もっとキープできても良かった。ただ、アウェーで1-1だったので余計なリスクを背負わないのも戦略。トロフィーを勝ち取るのが目的だった。3点、4点、5点取れれば良かったかもしれないが、アル・ヒラルという経験豊富なチームに勝てたのはいつもできるようなことではないので、浦和の選手たちを誇りに思う」と、達成感のある表情で振り返った。

 元より、始動日からシーズン前半戦のビッグマッチとしてこのACL決勝を意識し、選手編成やメンバー起用も考えてきた。強豪アル・ヒラルとの対戦について「もちろん今日の試合を意識しながら準備してきた。いいスタートを切ったと思うがさらに発展しないといけない。より攻撃的なサッカーをプレーしたいが、最初からそうやっていた時に今日の相手にそれができたかは疑問がありますね」と、守備の整理から始めた理由の一端も話した。ここから、前人未到のACLとJ1の同一シーズン制覇に向け、浦和をどのように成長させていくのか期待が懸かる。

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