西川周作がACLで「リベンジしたい」と語った訳 因縁アル・ヒラル戦で誓う“悔恨晴らし”

浦和の西川周作【写真:Getty Images】
浦和の西川周作【写真:Getty Images】

2019年の決勝で敗れた相手へのリベンジを胸に中東へ

 浦和レッズは4月23日のJ1第9節川崎フロンターレ戦を1-1で引き分けた。そして、会場をあとにするとそのままAFCチャンピオンズリーグ(ACL)決勝戦でアル・ヒラルとの初戦(現地時間4月29日)に臨むサウジアラビアに向けて出発。GK西川周作は、2019年の決勝で敗れた相手へのリベンジを胸に中東へと飛ぶ。

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 浦和は2007年に初優勝を飾ると、17年に10シーズンぶりの優勝。この時の対戦相手が、当時Jリーグ初代得点王のラモン・ディアス氏に率いられたアル・ヒラルだった。そして2シーズン後の19年はリーグ戦で残留争いに巻き込まれる苦境の中でもACLは決勝まで進出。しかし、この時はアル・ヒラルに手も足も出ないような敗戦で準優勝に終わった。クラブにもショックの大きな敗戦でもあり、浦和は翌シーズンから3年計画を打ち出して立て直しを図るに至った。

 17年、19年の決勝戦にいずれもピッチに立っていたのが、GK西川周作だった。17年の優勝は歓喜に浸ったが、19年は準決勝で対戦した広州恒大(中国)との第2戦で厳しい判定のイエローカードを提示されて決勝の第1戦は出場停止。さらに、そのゲーム中に相手選手と接触したことでGKにとって重要な手を負傷して必ずしも万全ではないコンディションで臨んだうえで悔しさを味わっていた。

 しかし、22年に浦和がジョアン・ミレッGKコーチを招聘すると、西川はベテランの年齢ながら再成長した。理論派のスペイン人コーチと今までの知識をフラットにしたようなところから作り直した結果、これまで弱点の1つとされていたようなクロス対応に格段の安定感が出た。西川自身もミレッGKコーチと出会って技術を磨き直して迎える今季の決勝戦には、「これ以上ない相手だと思ってます。本当にリベンジをしたい。自分たちは越えていかないといけない相手だと思っていて、2019年に感じたあの強さっていうのを、もう1回、自分たちがガチンコ勝負で経験できるのはすごいことだと思うので、そこに尽きる」とリベンジへの思いを強くしている。

 それに加えて「ジョアンと出会って、かなりGK全員がゴール前の空間をいかに守るかに集中してやれているので、(状況に応じた)解決方法があるのは、守備面はもちろん攻撃面でも非常に落ち着いていられる1つの理由にもなっている。アウェーでもそういった姿勢で落ち着いてやることができれば、勝つチャンスももちろん出てくると思うし、ジョアンがよく言う、『ゴールは存在しない』というのをうまく表現できれば」と、技術的な部分でも一回り大きくなった姿を見せるつもりだ。

アウェーでの第1戦を耐え抜き、ホーム埼スタへの帰還へ意欲

 チーム全体でも、デンマーク代表歴を持つDFアレクサンダー・ショルツとノルウェーの世代別代表でプレーしてきたDFマリウス・ホイブラーテンによる北欧コンビがセンターバックとして中央を固める。それに加え、スコルジャ監督による守備面の整理はポジショニングの整理が進み、大崩れする気配はない。アウェーでは押し込まれる展開を覚悟すべきだが、最後のところで西川を含む3人がゴールを死守する姿には大きな期待が持てる。

 そして、第1戦を乗り切れば5月6日の第2戦はホームの埼玉スタジアムで迎えられる。この決勝戦への過程でも、準決勝で全北現代(韓国)をPK戦で下したように何度も際どい勝負を制してきた本拠地での戦いが控える。西川は「間違いなくホームの雰囲気の力を借りながらやるということだと思うので、選手だけではない、戦っているのはファン・サポーターを含めて全員で戦うという意識で挑みたい。ホームでは本当に立つだけで、身震いするというか考えるだけで、痛いところがあっても本当に痛みを感じないぐらい、すごい力をもらえるので、そういった時間は本当に幸せに感じながら全員で思う存分やりたい」と話す。

 リベンジの思いを胸に臨む守護神が初戦のアウェーを無失点で乗り切ってくれば、浦和にとって3回目のアジア制覇はグッと現実味を帯びてくる。

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