華麗な連続ワンタッチ…名将オシムが作り上げた“最高傑作” Jリーグ30年間「パスワーク」ベストゴール候補に注目

鮮やかなダイレクトプレーの中からゴールを決めたマリオ・ハース【写真:Getty Images】
鮮やかなダイレクトプレーの中からゴールを決めたマリオ・ハース【写真:Getty Images】

Jリーグ「J30ベストアウォーズ」、ベストゴール・その他部門(パスワーク等)は10候補

 1993年に開幕したJリーグは、今年の5月15日に30年の節目を迎える。Jリーグは「J30ベストアウォーズ」企画を実施中で、ファン・サポーターの投票を基に「MVP」「ベストイレブン」「ベストマッチ」「ベストシーン」「部門別ベストゴール」を決定するなか、Jリーグの特設サイト上で投票を呼び掛けている(投票期間:4月11日13時~4月21日18時/結果発表:5月15日の「Jリーグの日」)。ベストゴール企画では部門別にノミネートが分かれているなか、今回は「その他部門(パスワーク等)」を取り上げて紹介と選出予想をしてみたい。

 このゴールはフィニッシュの瞬間の鮮やかさだけでなく、それに至る過程も含めて評価されることが想定されているだろう。なかでも「絶妙アシスト」にカテゴライズされそうなのは、1995年にジュビロ磐田のFWスキラッチが決めたゴールでのMF名波浩によるループパスと、2012年にサンフレッチェ広島のFW佐藤寿人に合わせたMF青山敏弘のロングスルーパス。どちらも、その時代に黄金期を迎えたチームを支えたプレーメーカーの鮮やかなラストパスが光った。

 また、パスワークという点では93年にヴェルディ川崎(当時)のFW武田修宏が浦和レッズ戦で決めたものは、その前の段階でMFラモス瑠偉とMFビスマルクによるリフティングでのパス交換で浦和の中盤を突破した場面から生まれた。当時、連敗街道を歩んでいた浦和と黄金時代だったV川崎を対比する場面であり、Jリーグ創設期の1ページとして何度も振り返られてきたものだ。

 02年に京都サンガF.C.のMFパク・チソン(朴智星)が決めたものと、20年にヴィッセル神戸のMFアンドレス・イニエスタが決めたものは、最後の局面を正確なワンツーで突破して相手GKの届かない位置にシュートを蹴り込んだ。欧州でも名を轟かせた名手のゴールがノミネートされている。

川崎、清水、鳥栖のパスワーク弾もノミネート GK起点の圧巻弾が与えた衝撃

 川崎フロンターレが18年のヴィッセル神戸戦でMF大島僚太のゴールで締めくくったもの、清水エスパルスが19年の湘南ベルマーレ戦でMF西澤健太のゴールにつなげたもの、サガン鳥栖が21年の名古屋グランパス戦でMF小屋松知哉のゴールとして完成させたものは、いずれも相手に触らせることなく10本ほどのパスをつないだ。鮮やかなパスワークという点で、どれも甲乙の付けがたいものだ。

 そして、GKもチームの一員であることを攻撃面でも強く感じさせるものが、05年にジェフユナイテッド市原(当時)が鹿島アントラーズからFWマリオ・ハースのゴールとしたものと、22年に京都が柏レイソルからDF荻原拓也のゴールで締めくくったもの。いずれもGKが攻撃の起点になったところからパスをつないで得点までつなげていた。

 それぞれ色の違うゴールが並んだが、なかでも市原のハースが決めたゴールは注目の1つだ。GKがボランチにライナー性のパスを出した直後、4本すべてがワンタッチパスでつながり、ハースのシュートもワンタッチで決めている。当時チームを率いた故イビチャ・オシム氏の作り上げた千葉の最高傑作とも言えるゴールは、このノミネートの中でも技術の高さと美しさの双方でトップレベルなのではないだろうか。

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