現役Jリーグ助っ人「No.1」は誰? ドリブル、キャプテンシー、日本語習得力…5つの“キング”を厳選

左からキム・ジンヒョン、マテウス・カストロ、マルシーニョ【写真:Getty Images & 徳原隆元】
左からキム・ジンヒョン、マテウス・カストロ、マルシーニョ【写真:Getty Images & 徳原隆元】

【コラム】現役助っ人選手たちの「No.1」を独自に選定し、項目ごとに紹介

 Jリーグは今年で30周年の節目を迎えた。リーグのプロ化により、日本サッカーは紆余曲折を経て発展を遂げてきたなか、レベルの向上へ一役買ってきた存在として忘れてはならないのが、世界各国から日本にやって来た外国人助っ人たちだ。今回、「FOOTBALL ZONE」ではJリーグ助っ人特集として複数コンテンツを展開。ここでは現役助っ人選手たちの「No.1」を独自に選定し、項目ごとに紹介していく。

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■「身長」No.1
ネデリコ・ストイシッチ(GK/FC町田ゼルビア)

 身長が202センチで、Jリーグ全体で最も大きな選手だ。体重も96キロで大型選手と言える。ただ、現在のところ町田は192センチのポープ・ウィリアムが正GKになっており、ストイシッチは公式戦に出られていない。2番目がやはりGKの中野小次郎(ツエーゲン金沢)の2メートルで、外国人では196センチのGKマイケル・ウッド(京都サンガF.C.)が続く。

 フィールドプレーヤーではオランダ人FWラルフ・セウントイェンス(FC今治)が194センチで最長身だ。ただ、悪性リンパ腫からリハビリを行っており、まだ今シーズンの公式戦には復帰できていない。193センチになるとDFヴァンイヤーデン・ショーン(横浜FC)、GKランゲラック(名古屋グランパス)、FWオ・セフン(清水エスパルス)、MFカイオ・セザール(V・ファーレン長崎)と、お馴染みの助っ人を含めて一気に増える。

■「ドリブル」No.1
マテウス・カストロ(FW/名古屋グランパス)

 一口にドリブルと言っても突破力、推進力、キープ力など基準はあるが、ドリブルの能力が最も高いのはマテウスだろう。スピードがあり、その中で正確にボールをコントロールしながら左右に方向を変えられる。単純な1対1で彼を止め切ることは不可能に近い。

 推進力にかけてはアダイウトン(FC東京)も負けていない。一度スピードに乗られると、そのパワーも相まってフィニッシュまで行かれてしまう。32歳だが、衰えないどころか迫力が増してる感すらある。ルーカス・フェルナンデス(北海道コンサドーレ札幌)はするするとサイドを持ち上がるので、1対1で対応するのが難しいタイプのドリブラーだ。マルシーニョ(川崎フロンターレ)はやはり左からのカットインの鋭さが強みで、柔らかさも持ち合わせている。現在ハムストリングの負傷で離脱しており、復帰が待たれる。

セレッソ一筋15年GK、親日家レッズDF…日本への適応力を見せる助っ人たち

■「日本語習得力」No.1
キム・ジンヒョン(GK/セレッソ大阪)

 セレッソ一筋で15年目ということもあり、外国生まれの選手としては文句なしにナンバーワン。大学の時に練習参加したのが最初で、加入当初はもちろん通訳が付いていたが、家庭教師を付けて勉強を続け、日本の生活にも溶け込んだことが大きいようだ。

 パトリック(京都サンガF.C.)は川崎フロンターレに加入したのが2013年で、一時帰国はしたもののほぼ10年、異国で生活を送りながら日本国籍の取得を目指して、日本語の学習に励んでいる。会話だけでなく読み書きにも熱心で、個人のツイッターにアップしてはフォロワーに正誤を尋ねるのが習慣となっている。

 短期間で急速に日本語が上手くなっている選手と言えばアレクサンダー・ショルツ(浦和レッズ)だ。もともと親日家で知られることもあり、通訳を先生に日本語でのコミュニケーション能力をアップさせており、納豆を箸で食べるなど、浦和に加入する外国人選手に日本の生活文化を伝える役割も担っている。

 J2水戸ホーリーホック戦(4月8日)の衝撃的な2得点で話題をさらったドゥドゥ(ジュビロ磐田)も熱心に日本語を勉強しており、サッカーで成功するだけでなく、日本の生活に順応しようとする健気な姿勢は好感が持てる。

■「キャプテンシー」No.1
ヨルディ・バイス(DF/ファジアーノ岡山)

 Jリーグに来日した外国人で、根っからのキャプテンといえば元ブラジル代表のドゥンガだが、現役選手ではバイスだろう。2018年にV・ファーレン長崎の選手として初来日、その後、徳島ヴォルティス、京都サンガF.C.、岡山と渡り歩いているが、キャプテンマークを巻く、巻かないに関係なく味方を鼓舞する姿が目を引く。

 現在のJリーグで、外国人ながらチームキャプテンを担っているのはガブリエウ(横浜FC)とアンドレス・イニエスタ(ヴィッセル神戸)だ。またエドゥアルド(横浜F・マリノス)もサガン鳥栖時代はキャプテンを任され、F・マリノスでも加入2年目にして副キャプテンを務めており、やはり精神的な影響力の強い外国人選手の1人だ。

 キャプテンシーというのは基本的には味方を鼓舞して1つにまとめられることが大きいがキム・ジンヒョン(セレッソ大阪)やアレクサンダー・ショルツ(浦和)が副キャプテンを務めていることからも、やはりコミュニケーションも問われるだろう。ノルウェー人FWのタリク(湘南ベルマーレ)もチームの兄貴的な存在で、キャプテンマークを巻かないリーダーの1人だ。

■「スプリント回数」No.1
マルシーニョ(FW/川崎フロンターレ)

 日本人選手のイメージが強いデータだが、現在のJ1でナンバーワンの数字を叩き出しているのがマルシーニョだ。開幕節の横浜F・マリノス戦で35回を記録した。続くのがルキアン(アビスパ福岡)で、第5節の湘南ベルマーレ戦で28回をマーク。また、驚異的なオーバーラップを武器としているジエゴ(柏レイソル)は昨シーズンのサガン鳥栖時代、ディフェンスの選手ながら41回のスプリントを記録している。柏では左太腿の手術で離脱しているが、走り回る姿を見たい。

(河治良幸 / Yoshiyuki Kawaji)



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河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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