日本代表の低評価4人と「今後外す理由はない」1人は? コロンビア戦出場の全17選手を金田喜稔が採点

金田喜稔氏が日本代表のパフォーマンスを評価【写真:徳原隆元】
金田喜稔氏が日本代表のパフォーマンスを評価【写真:徳原隆元】

【専門家の目|金田喜稔】バングーナガンデ佳史扶の「思い切りの良さ」を評価

 森保一監督率いる日本代表(FIFAランキング20位)は、3月28日にコロンビア代表(同17位)とヨドコウ桜スタジアムで国際親善試合を行い、前半3分にMF三笘薫(ブライトン)のゴールで先制するも1-2と逆転負けを喫した。「天才ドリブラー」として1970年代から80年代にかけて活躍し、解説者として長年にわたって日本代表を追い続ける金田喜稔氏が、この試合に出場した17選手を5段階(5つ星が最高、1つ星が最低)で採点した。

   ◇   ◇   ◇

<GK>
■シュミット・ダニエル(シント=トロイデン)=★★★☆☆(3つ星)
 立ち上がりは好セーブを披露してかなり良かった。2失点目のオーバーヘッド弾は仕方ない部分もあり、責めるのは酷。ただ気になったのは、ビルドアップ時の判断やキック精度。コロンビア守備陣のパス回しは上手く、日本の参考になった印象がある。

<DF>
■板倉 滉(ボルシアMG)=★★★☆☆(3つ星)
 1失点目の場面ではドリブルを完全に食い止めることはできなかったが、全体として見れば及第点。キャプテンマークを巻いたなかでチームを牽引する自覚が垣間見え、縦パスも入れるなど後方で起点となっていた。

■伊藤洋輝(シュツットガルト)=★★★☆☆(3つ星)
 左サイドバック(SB)ではなく、センターバック(CB)に適性がある選手。ウルグアイ戦よりも冷静にパスをつなぎ、前方へつけるパスも見せていた。SBに比べてCBでの起用だとパスコースの角度が広がり、キック精度も生きる。

■菅原由勢(AZアルクマール)=★★☆☆☆(2つ星)
 前回のウルグアイ戦では際立つプレーを見せたが、この日は前半でイエローカードをもらった影響もあったのか、積極性を出し切れなかった。コロンビアの対応が速く、上手いのもあり、局面を打開できないシーンが散見された。まだ酒井宏樹(浦和レッズ)の粋には達していない。将来性は十分あるのだが……。

■バングーナガンデ佳史扶(FC東京)=★★★☆☆(3つ星)
→後半14分OUT
 A代表デビュー戦で思い切りの良さを感じさせた。三笘と初めて左サイドでコンビを組み、様子を見ながらのところもあったと思うが、要所でいい上がりも見せていた。練習後の「三笘塾」で理解を深めていたし、今後に期待が膨らむ。負傷交代は残念だったが、今回の出場経験を糧にFC東京でさらに研鑽を積んでほしい。

ボランチでスタメン出場した鎌田大地【写真:徳原隆元】
ボランチでスタメン出場した鎌田大地【写真:徳原隆元】

「形を出し切れなかった」鎌田大地、トップ下の西村拓真は「及第点」

<MF>
■守田英正(スポルティング)=★★★☆☆(3つ星)
→後半33分OUT
 開始早々に三笘への絶妙なアシストをマークしたのは評価材料。しかし、危険なボールロストに加え、パスカットされるシーンも散見され、安定していたとは言い難い。徐々にチームの土台が揺らいだ印象。

■鎌田大地(フランクフルト)=★★☆☆☆(2つ星)
→ハーフタイムOUT
 前回のウルグアイ戦はトップ下、今回はボランチで起用された。ボールに触る機会が増え、左右にパスを展開し、後方に下がってビルドアップに関与するなど幅広く役割をこなしたが、機能不全感は否めず。「鎌田の形」を出し切れなかった。

■伊東純也(スタッド・ランス)=★★★☆☆(3つ星)
 どんな相手に対しても「伊東の形」を出し切れるのは強み。プレーの安定感は日本代表の中でもトップクラスだろう。強烈な存在感とまではいかないが、技術とスピードはぶれないし、好クロスも供給。この日も一定水準のプレーを披露していた。

■西村拓真(横浜F・マリノス)=★★★☆☆(3つ星)
→後半14分OUT
 伊東のクロスに上手く反応した場面もあり、西村らしさも見られた。危険なスペースを果敢に狙い、ゴール前に必ず顔を出すという意識も高く、トップ下ながらストライカーのマインドを持っている。結果は残せなかったが及第点。今後、代表チームから外す理由は1つもない。

■三笘 薫(ブライトン)=★★★☆☆(3つ星)
→後半9分OUT
 開始早々のヘディング弾は称賛に値する。ジャンプ力、タイミング、入り方、すべてが良かった。その一方、パフォーマンス全般が突出していたわけではなく、左サイドの連係構築が今後の鍵となる。三笘の問題というより、三笘にパスを供給するまでのビルドアップの問題だろう。

<FW>
■町野修斗(湘南ベルマーレ)=★★★☆☆(3つ星)
→ハーフタイムOUT
 相手を背負い、しっかりとボールを落としたシーンでは町野らしさが光った。相手を背負った状態で質の高いプレーは強みであり、浅野拓磨や前田大然とは違う良さだ。ただし、相手の脅威になり切れず、決定的な仕事ができなかったのも事実。

後半途中から出場した堂安律【写真:徳原隆元】
後半途中から出場した堂安律【写真:徳原隆元】

堂安律は「本来もっとやれる選手」 上田綺世に「大きな可能性を感じた」

<途中出場>

■上田綺世(セルクル・ブルージュ)=★★★☆☆(3つ星)
←ハーフタイムIN
 圧巻のジャンプ力とフィジカルの強さを見せ、大きな可能性を感じた。得点の匂いは十分感じさせたが、最後のところで絡み切れない時間が続いた。空中戦の強さ、シュートの威力、安定したポストプレーなど、総合力で言えばもっと活躍してほしい選手だ。

■遠藤 航(シュツットガルト)=★★★☆☆(3つ星)
←ハーフタイムIN
 後半頭から出場したが、チームの方向性が定まらなかった印象。遠藤も本来の良さを発揮できず、中盤は安定感を欠いた。後半にリードを許して以降、追い付きたいというマインドとは裏腹に、攻め手を見出せなかった。

■堂安 律(フライブルク)=★★☆☆☆(2つ星)
←後半9分IN
 ドリブル、シュート、パスといずれも怖さがなく、カタール・ワールドカップのような輝きは放てず。パフォーマンス全般が物足りない。本来であればもっとやれる選手なだけに、辛口評価になってしまうのは致し方ない。

■久保建英(レアル・ソシエダ)=★★★☆☆(3つ星)
←後半14分IN
 途中出場のなか、自分で流れを変えるという意思が垣間見えた。「なんかやってくれそう」という期待を誰もが抱いたはず。その雰囲気も漂わせているし、ボールを預ければドリブルやクロスなどで可能性を感じさせた。高い位置で久保にボールを触らせる形を作れるかどうかは、チームの課題だろう。

■瀬古歩夢(グラスホッパー)=★★☆☆☆(2つ星)
←後半14分IN
 バングーナガンデ負傷により急きょ出場。直後のプレーで失点に関与するミスも。上手く試合に入り切れず、持ち味のフィードや力強いディフェンスは鳴りを潜めた。

■浅野拓磨(ボーフム)=短時間のため採点なし
←後半33分IN
 配置を変えて攻撃に打って出たが、効果的な仕掛けは見られず。見せ場もないまま終えた。

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金田喜稔

かねだ・のぶとし/1958年生まれ、広島県出身。現役時代は天才ドリブラーとして知られ、中央大学在籍時の77年6月の韓国戦で日本代表にデビューし初ゴールも記録。「19歳119日」で決めたこのゴールは、今も国際Aマッチでの歴代最年少得点として破られていない。日産自動車(現・横浜FM)の黄金期を支え、91年に現役を引退。Jリーグ開幕以降は解説者として活躍。玄人好みの技術論に定評がある。

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