第2次森保ジャパンが3月シリーズで見せた“新スタイル”検証 「強力な個を生かしきれていない」

第2次森保体制の戦術を検証【写真:徳原隆元】
第2次森保体制の戦術を検証【写真:徳原隆元】

森保監督の第2次政権は2試合で未勝利に終わった

 森保一監督の率いる日本代表(FIFAランキング20位)は、3月28日にキリンチャレンジカップ2023のコロンビア代表(同17位)戦に臨み、1-2で逆転負けした。カタール・ワールドカップ(W杯)以降初めての代表シリーズで、森保ジャパン第2次政権の初陣となった24日のウルグアイ戦(1-1)から2試合未勝利。今回はW杯からの上積みとして「ボール保持」をテーマに掲げて戦った。ウルグアイ、コロンビアとの強豪相手に白星はつかめなかったが、今後この戦術を突き詰めていくべきだろうか――。第2次森保ジャパンのスタイルを検証する。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小杉 舞)

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 コロンビア戦で日本は前半3分、MF守田英正(スポルティング)の右クロスからMF三笘薫(ブライトン)が高打点のヘディングシュートを叩き込み先制。だが同33分、ボールロストからFWジョン・ハデル・ドゥランに同点ゴールを許して1-1のままハーフタイムを迎えた。後半も追加点を奪えないまま迎えた同16分、FWラファエル・サントス・ボレに豪快なオーバーヘッドキックを叩き込まれ失点。日本はその後、FW上田綺世(セルクル・ブルージュ)が高い打点からのヘディングシュートを放つなどゴールに迫ったがそのまま1-2で敗れた。

 今回の代表シリーズでは、吉田麻也や長友佑都、酒井宏樹らベテラン勢が未招集となるなかで、最終ラインは26歳の板倉滉(ボルシアMG)が最年長というフレッシュな顔ぶれとなった。そこで見せたのは新たな挑戦。サイドバック(SB)が中に入っていき、相手サイドハーフをつり出したなかでサイドを切り崩す……。新しい攻撃パターンで相手を翻弄し、タレント揃いな2列目を生かす戦術だ。

 そこで、日本は「ボール保持」を大きなテーマとした。W杯ではドイツ、スペインと強豪に勝利したものの、実際実施したのはリアクションサッカー。もう1歩先のベスト8へ進むためには、ボールを保持したうえで展開していく力が必要となった。

 だが、コロンビア戦ではポゼッション率こそ51%と相手を上回っていたが、自陣でのボールを持つことが多く、脅威とはならなかった。

 試合後、堂安律(フライブルグ)は的確なコメントを残している。

「もっと縦パスを入れるべきだと思う。後半、少しずつ縦に(パスが)入るシーンもあった。リスクはあるけど、そういうシーンがないとセーフティー、セーフティーでは前に進めない。相手も馬鹿じゃないので。Jリーグを批判するわけじゃないけど、Jリーグっぽいサッカーをしている感覚があった。ヨーロッパは縦に速い、ゴールに向かって、歓声が常に響いて、好守も入れ替わる。やりたいことはあるけど、その中でプライオリティーは忘れてはいけないのかな、と。

 この2試合、センターバック(CB)が持つ時間が長く、ボランチも降りてきてやっていた。やりたいことはトライしているので収穫はあるけど、よりシンプルにゴールへ行けたと思う。(前半出場した)これほど強力な個が前に3人(三笘、西村、伊東)いるのに生かして切れていない。ゴールは素晴らしいもの。1本の簡単なクロスで競り勝てばゴールにできる。恐らく皆さんはそういうのを見たい。ボール保持率を上げるのもいいけど、もっとトライできることもあると思うし、チームだけでなく個人的にもいけたと思う」

W杯でもボール保持を突き詰めるべきか

 W杯で勝利するためにボール保持にこだわったが、一方で縦に速い攻撃ができず脅威が低下してしまった。

 堂安は「厳しい意見をチーム内でも言わないといけない」と話す。三笘は「最初の自分たちも行こうというところは上手く取れるところもあったけど、蹴られて下げられて収められた時に、出て行けなくなって徐々に相手に握られながら押し込まれて守備で走らされた。それをどうしていくか。1人でも流れを変えられるのも必要」と、今後の課題を語った。

 3年後には北中米W杯が待ち受ける。この3年間、日本は「ボール保持」を突き詰めていくのだろうか。森保監督のプランに今後も注目が集まりそうだ。

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