南野左サイド起用の失敗を繰り返すな! 求められる三笘薫のライバル、中村敬斗が漂わせる雰囲気

後半終了間際でピッチに立った中村敬斗【写真:Getty Images】
後半終了間際でピッチに立った中村敬斗【写真:Getty Images】

【識者コラム】ウルグアイ戦は約4分のプレーも「出たか出ないか、僕の中では全然違う」

 森保一監督率いる日本代表は3月25日、ウルグアイ戦から一夜明けて練習を再開した。24日の先発組は室内で、そのほかのメンバーはピッチで観客たちの声援を受けながら1時間ほど汗を流した。

 時折、ウルグアイ戦の先発組の一部がピッチに現れ子供たちとハイタッチ。この日も一番人気は三笘薫だった。

 第1次森保ジャパンで、最大の誤算は、現在三笘が務めている左ウイングだったと言えるだろう。

 2018年のロシア・ワールドカップ(W杯)が終わって新チームがスタートした時、左ウイングは10番を背負った中島翔哉だった。トップ下の南野拓実、右ウイングの堂安律と絡みながら独特のリズムをチームに加えていた。

だが、中島が調子を崩すと、森保監督は同じタイプの選手を見つけられなかった。三笘が代わりになるかと思われたが、先発で出ると機能しなかったり、あるいはコンディション不良で途中からしか投入できず、結局森保監督は南野を左に置いて起用することにした。

 しかし、トップ下を得意とする南野を左に配置したことで、南野にとっても、チームにとっても、スムーズに機能しないという状態が生まれてしまった。

 実は、第2次森保ジャパンでも同じような問題が生じかねない状況だ。三笘があまりに存在感が大きく、このままでは三笘のコンディション不良や不調になった時、チーム力は大きく変わってしまう。そこで待望されるのが、日本代表の中での三笘のライバル出現だ。

 この日の練習では、A代表初招集の22歳・中村敬斗が飛び抜けて切れ味の鋭い動きを見せて、ライバルになり得る可能性を示した。

 G大阪から海外に渡り、トゥウェンテ(オランダ)、シント=トロイデン(ベルギー)、ジュニアーズ(オーストリア)を経てLASK(オーストリア)でプレーする中村は、森保監督が「得点という結果と、左ウイングとしてチーム内でも、そしてヨーロッパの舞台でも、存在感を放っている選手」と今回初招集した選手だ。

「初日の全体練習はとても緊張していました。でも、その日である程度そのフィーリングや手応えが分かったので、その日以降は自信を持って緊張なく自分を出せています」

 ウルグアイ戦では4分ほどの出場だったが、三笘に代わってピッチに立った。

「出たか出ないか、僕の中では全然違う。次の試合に向けての自信や、日本代表でのフィーリングを感じられた」

 トレーニングでの動きはこの言葉を裏付ける。次はもっと長い時間見たくなるようなプレーを中村は披露していた。

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森 雅史

もり・まさふみ/佐賀県出身。週刊専門誌を皮切りにサッカーを専門分野として数多くの雑誌・書籍に携わる。ロングスパンの丁寧な取材とインタビューを得意とし、取材対象も選手やチームスタッフにとどまらず幅広くカバー。2009年に本格的に独立し、11年には朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の平壌で開催された日本代表戦を取材した。「日本蹴球合同会社」の代表を務め、「みんなのごはん」「J論プレミアム」などで連載中。

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