日本代表の最低&最高評価は? 「孤立していた」「プライドを見た」…金田喜稔がウルグアイ戦出場の全17人を採点

金田喜稔氏がウルグアイ戦出場の17選手を採点【写真:徳原隆元】
金田喜稔氏がウルグアイ戦出場の17選手を採点【写真:徳原隆元】

【専門家の目|金田喜稔】スタメン抜擢の瀬古や菅原が「上々のパフォーマンス」

 3月24日に国立競技場で行われたキリンチャレンジカップ2023で、森保一監督の率いる日本代表(FIFAランキング20位)はウルグアイ代表(同16位)と1-1で引き分けた。「天才ドリブラー」として1970年代から80年代にかけて活躍し、解説者として長年にわたって日本代表を追い続ける金田喜稔氏が、この試合に出場した17選手を5段階(5つ星が最高、1つ星が最低)で採点した。

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   ◇   ◇   ◇

<GK>
■シュミット・ダニエル(シント=トロイデン)=★★★☆☆(3つ星)
 足もとの技術はあるものの、相手からプレッシャーを受けた時にサイドへのパスが精度を欠く場面が数回あった。ああいう場面でも、後方でしっかりつないでプレッシャーを回避できるようにならなければいけない。

<DF>
■板倉 滉(ボルシアMG)=★★★★☆(4つ星)
 最終ラインの柱である吉田麻也が不在のなか、経験の浅い瀬古歩夢のサポートもしながら、チームに安定感をもたらしていた。ビルドアップはソツがなく、1対1の対応も冷静沈着。今後、冨安健洋と板倉が最終ラインの軸になっていくという印象を強く受けた。

■伊藤洋輝(シュツットガルト)=★★★☆☆(3つ星)
 パスセンスは備えているだけに、もう少し三笘薫や浅野拓磨、鎌田大地らを生かすパスを通したかった。精度の高いパスをつなげず、攻撃の厚みも生まれなかったため、そこからの展開も大きく変わってしまった印象。三笘が相手に警戒されている分、サイドバックのパスは決定機に直結する。その1本が通るかどうかが生命線で、その点で課題を残した。

■瀬古歩夢(グラスホッパー)=★★★★☆(4つ星)
 センターバックでA代表デビューを飾り、堂々たるフル出場。ビルドアップの面で光る部分もあり、今後が楽しみな逸材。このまま成長していけば、間違いなく計算ができる戦力になるはず。スライディングで突破を阻止し、クロスにも身体を張った対応を見せており、上々のパフォーマンスだった。

■菅原由勢(AZアルクマール)=★★★★☆(4つ星)
→後半44分OUT
 立ち上がりは緊張していたかもしれないが、浅野拓磨への決定的なパスを通すなど存在感を示した。身体を張った守備で要所を締めていたし、計算できることを印象付けた。攻撃参加が光るなか、まだまだブラッシュアップできる余地はありそうだ。堂安律や伊東純也とのコンビネーションや距離感は今後の課題だが、それでも着実に成長している姿を見せた。

鎌田大地は悪戦苦闘で攻撃停滞、三笘薫は「もっと輝けるはず」

<MF>
■遠藤 航(シュツットガルト)=★★★☆☆(3つ星)
 最終ラインの間に降りて、両サイドを上げつつ組み立てに関与する形はあったものの、ポジショニングとタイミングが今ひとつだった。結果的に両サイドを前に押し出すのが不十分となり、サイド攻撃の怖さも半減してしまった。

■守田英正(スポルティング)=★★★☆☆(3つ星)
→後半29分OUT
 攻撃への思い切りがあまり見えず、ポジショニングもやや中途半端だった。もっと高い位置を取る場面があっても良かったし、メリハリに欠けた分、攻撃がやや単調になった印象。遠藤とともに、鎌田のサポートという点でも物足りなさが残った。

■鎌田大地(フランクフルト)=★★☆☆☆(2つ星)
→後半29分OUT
 とりわけ前半は孤立していた。なかなか鎌田にボールが集まらなかったし、鎌田自身もポジショニングに悪戦苦闘していた。どこで、どのタイミングでボールを受けていいのかという感じだった。ボールを受けようとしてもパスが出てこない場面もあり、攻撃が停滞する要因となった。

■三笘 薫(ブライトン)=★★★☆☆(3つ星)
→後半44分OUT
 能力の高さはイングランドで証明済みだが、一方で相手から警戒され、伸び伸びプレーできたとは言い難い。それでもドリブル突破で相手ゴールを脅かし、局面打開からチャンスを創出したのは、さすがの一言だが、周りのサポートがあればもっと輝けるはずだ。

■堂安 律(フライブルク)=★★★☆☆(3つ星)
→後半16分OUT
 決定的なシーンを作り切れず、相手に脅威を与えたとは言えない出来。ボールを持てば1対1では簡単に奪われない強さを見せるが、その先に課題を残した。後半に途中出場した伊東純也が存在感を示しただけに、スタメン争いにおいては一歩後退したか。

<FW>
■浅野拓磨(ボーフム)=★★★☆☆(3つ星)
→後半16分OUT)
 前線からのプレッシングは効果的。菅原からパスでチャンスを迎えたがゴールを陥れることはできなかった。守備や裏への抜け出しでスピードが光る場面もあった一方、ビルドアップのなかで上手く関与できず、ジレンマを抱えるパフォーマンスとなった。

光った西村のがむしゃらなプレー「日本はさらに成長できると確信した」

<途中出場>
■上田綺世(セルクル・ブルージュ)=★★★☆☆(3つ星)
←後半16分IN
 ゴールシーンでは、飛び出しで相手を引き付け、西村が入るスペースを上手く作り出した。伊東との連係も上々だったが、パフォーマンス全体を見ると、もっとできるというのが率直な印象。攻撃の起点となりつつ、シュートまで持ち込むシーンをどれだけ作れるか。そこでこそ上田の良さが発揮できる。

■伊東純也(スタッド・ランス)=★★★★☆(4つ星)
←後半16分IN
 チームの雰囲気をガラッと変え、リズムを一変させるパフォーマンスを見せた。スピードに乗ったドリブル突破だけでなく、クロスからもチャンスを演出。西村の同点ゴールも伊東のアシストから生まれた。脂が乗り、成熟した選手であることを見せつけた。

■西村拓真(横浜F・マリノス)=★★★★☆(4つ星)
←後半29分IN
 ファーストタッチで同点ゴールを流し込み、限られた出場時間のなかでしっかりと結果を残した点は好印象。魂の入ったプレーを終始見せていたし、Jリーガーのプライドを見た。西村のがむしゃらさは最高のお手本。この姿勢をモデルとしてチーム作りを進めれば、日本はさらに成長できると確信した。

■田中 碧(デュッセルドルフ)=★★★☆☆(3つ星)
←後半29分IN
 コンディションの問題なのか、プレーにあまり勢いを感じなかった。同時に投入された西村の躍動感が目に付いた一方、田中はやや積極性を欠いた感が否めない。攻守両面で上手くゲームに入れないまま終わった。

■中村敬斗(LASKリンツ)=採点なし
←後半44分IN
 海外リーグでゴールを量産し、勢いは十分あるのだから、もっと長い時間見たいというのが本音。初招集でA代表デビューを飾ったが、チャンスを与えるならば、もう少しプレーさせてほしかった。

■橋岡大樹(シント=トロイデン)=採点なし
←後半44分IN
 短いプレー時間で関与する場面が限られた。次戦でチャンスが与えられるか。

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金田喜稔

かねだ・のぶとし/1958年生まれ、広島県出身。現役時代は天才ドリブラーとして知られ、中央大学在籍時の77年6月の韓国戦で日本代表にデビューし初ゴールも記録。「19歳119日」で決めたこのゴールは、今も国際Aマッチでの歴代最年少得点として破られていない。日産自動車(現・横浜FM)の黄金期を支え、91年に現役を引退。Jリーグ開幕以降は解説者として活躍。玄人好みの技術論に定評がある。

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