“アルベル東京”2年目の陣容コンセプトは? 主力・控えの差がない「競争力」でリーグ初優勝へ

アルベル東京2年目の陣容コンセプトは?【写真:(C) F.C.TOKYO】
アルベル東京2年目の陣容コンセプトは?【写真:(C) F.C.TOKYO】

【特集|番記者コラム】2チーム分の戦力の確保と将来性豊かな若手の獲得を優先

 アルベル・プッチ・オルトネダ監督を迎えた昨季を6位(14勝7分13敗)で終えたFC東京は、いい立ち位置を取り、ボールを保持するポジショナルプレーを今季も継続する。その新チームの補強戦略は、2つの点を重視した。まずはチーム全体の年齢バランスを意識し、2チーム分の戦力の確保と将来性豊かな若手の獲得を優先課題としてきた。

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 昨季の主力がほぼ残留し、横浜F・マリノスからFW仲川輝人、サガン鳥栖からMF小泉慶、J2のファジアーノ岡山からDF徳元悠平、ブラジル2部のシャペコエンセからFWペロッチを獲得。ここに大卒のMF寺山翼とMF西堂久俊、高卒のMF荒井悠汰が加入した。さらに、アカデミーからFW熊田直紀、MF俵積田晃太、DF東廉太、DF土肥幹太が昇格を果たした。

 ルーキーを除けば他クラブからの補強は4選手のみとなったが、いずれも働き盛りの中間層にターゲットを絞った。その理由を小原光城GM(ゼネラルマネージャー)はこう明かす。

「僕がこのチームに来た時に一番は、戦力というよりも年齢のバランスがいびつで偏りがあるように感じていた。いいベテランもいて、伸び盛りの若手もいる。でも、25~29歳といった、まさに働き盛りの層は若干薄いように感じた。その年齢構成を急激に変えるのではなく、この2年をかけて埋めていきたいという意識はあった。なおかつ、今の東京のスタイルにハマる選手たちの獲得を目指した」

 そうした狙いで集まったチームは、沖縄・国頭と、宮崎・都城の2度のキャンプを経て結束を強めた。主将のDF森重真人が「今までにないくらい意欲的に若手とベテランがコミュニケーションをとって、チームの雰囲気も含めていいキャンプだった」と振り返るほどだった。練習中のベテランと若手が話をする機会は多く、そのパイプ役として渡辺凌磨や今季獲得した中間層の選手たちが果たす役割は大きかった。

 そうしたプレシーズンを経てアルベル体制2年目は主力と控えとの差がほぼない競争力の高いチームとなった。

【画像:FOOTBALL ZONE編集部】
【画像:FOOTBALL ZONE編集部】

インテンシティーの高いプレーを自負

 そして、ここから上位進出、悲願のリーグ制覇へとチームを押し上げるには、若手の台頭も不可欠となる。昨季の青森山田高からプロ入りしたMF松木玖生のプレイクによって、今季のルーキーたちもそれを見習うように意気盛んだ。実際にキャンプではMF俵積田晃太やMF荒井悠汰らが猛アピールに成功し、開幕前に序列を上げてきている。彼らが主力を脅かす存在になれれば、確実にチーム力は一段アップするはずだ。

 悲願のリーグ制覇へ船出は明るいものとなっている。ここまでは今オフに描いたロードマップ通りで順調そのものだが、あくまでもこれは開幕前までの話だ。森重も34試合の長丁場の戦いに向け、こんな言葉を吐き出した。

「いい意味で1つの方向に向かって黙々と追求できるようになってきた。そういうところが今年は見えてきた。でも、それだけでは行き詰まる時がくる。でも、そこに(長友)佑都くんがいる。ああいうキャリアの選手が、あのキャラクターでチームにいることはやっぱり大きい。チームの雰囲気を和ませてくれるし、そういう選手がいることは俺にとっても相当ありがたい。より現実的に考えるからこそ、言えるのは一戦必勝に尽きると思う。どれだけ目の前の試合で、全員で戦い勝利できるのか。その繰り返しでしかない。長いスパンで考えるよりも、目の前の試合を命がけで戦えるかだと思う」

 これから始まる戦いには、必ず大きな壁が待ち受けている。だが、現役続行を決断した長友の底抜けにポジティブなマインドはそれを乗り越える後押しとなるだろう。勝利も敗北も糧に日進月歩の成長を遂げれば、30年目のJリーグに記録と記憶に残すチームができあがるはずだ。

(馬場康平 / Kohei Baba)



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