森保監督、続投早々に渦中へ 今をときめく三笘薫への“注文発言”の切り取りを考察

日本代表の森保一監督【写真:ロイター】
日本代表の森保一監督【写真:ロイター】

【識者コラム】森保監督は「研究されたなかでできると積み上げてほしい」と三笘に言及

 日本代表の森保一監督は2月8日、ヨーロッパからオンライン取材に応じて視察の様子などを明かした。監督は渡欧前に今回の視察の目的をこう語っていた。

「ワールドカップ(W杯)の振り返りと今後の我々をやるべきことの整理ということで。そうですね。1つ大きなテーマとすれば、W杯に出た選手を中心に会っていきたいと思いますので、W杯の振り返りということで成果と課題を、我々スタッフが考えているということではなくて、選手目線のW杯の振り返りを聞ければ」

 これはこれで大切な話ではあるが、今回のコラムの主旨とはちょっと違う。今回問題にしたいのは、こういう一連の発言をどう切り取るかという話だ。

 たとえば森保監督の上記の発言は、文字数をできる限り少なくして整理して出したい原稿だと、以下のように要約されるだろう。

「W杯に出た選手を中心に、大会の成果と課題を選手目線で振り返ってもらおうと思います」

 森保監督は丁寧に事細かく話そうとしているので、どうしても発言が長くなる。字数制限があると省略せざるを得ない。そして、その省略が森保監督への批判を招いている部分があるのだ。

 2月8日の監督の発言で、切り取り方によっては「炎上」を狙える話題があった。それは三笘薫に関する部分だ。

 現在、プレミアリーグでプレーする三笘薫は絶好調。先発フル出場し、多くのチャンスを作り出すとともに素晴らしいゴールを挙げ続けている。

 その三笘を森保監督はカタールW杯の4戦とも先発させず、交代で出場させた。果たして「温存」采配はどうだったのか。森保監督が選手起用を間違ったのではないかという議論も起きている。

 そんななか、「もし3日後に試合があったら先発か」と聞かれた森保監督はこう答えた。

「もちろん、そうですね。ただ、シーズンをとおして、これを1シーズンだけじゃなく、2シーズン、相手に研究されたなかでできるということをさらに積み上げてほしいと思います」

「質問の答えで言うと、W杯では途中出場で、五輪の時もそういう起用が多かったですけど、先発でプレーできるだけの力はあると思って見ています」

「薫のような選手が、同じポジションで2人、3人、もっともっと出てきて来てほしいと思います。先発で出ても、ジョーカーとして出ても相手が嫌がる、チームの勝利につながるプレーのできるような選手にもっともっと出てきてほしい」

 この答えに対しても「森保監督が三笘に上から目線で語っていた」などという意見も出てきそうだが、実は前後にこういうやり取りがあったのだ。

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森 雅史

もり・まさふみ/佐賀県出身。週刊専門誌を皮切りにサッカーを専門分野として数多くの雑誌・書籍に携わる。ロングスパンの丁寧な取材とインタビューを得意とし、取材対象も選手やチームスタッフにとどまらず幅広くカバー。2009年に本格的に独立し、11年には朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の平壌で開催された日本代表戦を取材した。「日本蹴球合同会社」の代表を務め、「みんなのごはん」「J論プレミアム」などで連載中。

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